83’HONDA XL250R

上は93年に北海道へ行ったときの装備。こいつは現地でおち合った弟です
いやあ、750に追いつくのはしんどかった。
下が原型。全ばらしを行い、フレームから塗りなおしました。
工作を記録した写真がどっかにあるので、見つけ次第載せます。

北海道。ライダーだったら必ず行ってみたい北の大地。
ただ、数年前までのわたしは、北海道にはほとんど興味がなかった。
ツーリングは信州にきまっとるがね。

ところが、弟が北海道へ行き、みせてもらったビデオの中の世界にすっかりとりこになり、翌年行く事に決定。
北海道へ行くためのマシンがほしい、と痛切に願うようになった。
ロードマシンじゃしんどいぞ、と散々聞かされていたため、燃費との兼ね合いもあり、250CCのオフロード車を探すことにする。
でも、フェリー代等、約10万円かかる費用を考えると新車なんてとてもとても。
というわけで雑誌の売買覧をすみずみまで目を通し、やっと見つけたのが4万円のホンダXL250R。
横浜まで取りに行き、遠くからきたということで1万円値引きしてもらい結局3万円で手にいれたのだ。(もっとも交通費をいれたら約5万円のお買い物。決して安くはなかったけど)
北海道ツーリングまであと3カ月。
とりあえず自分で登録を済ませ、荷物を満載し、1泊2日の南紀、和歌山、奈良ツーリングを決行。
これで悪いところをさらけ出そうというわけだ。

まず、チェーンがだめ。
スプロケットも前後とも駄目。
荷物が乗らないからキャリアがいるなあ。
スポークもゆるんでる。
タイヤも溝がない。

でも一番の問題は、アイドリングが不安定なこと。
アジャストスクリューをいっぱいにゆるめても、アイドリングが下がらないうえにアクセルに回転がついてこないことがある。(つねに、ではないのだ)
しかも燃費が悪い。
20KM/L前後しか走らないのである。
このエンジンはXL250Sの改良型だから30KM前後走るはずだ。

さて、初日はR23からR42号線にはいり、伊勢をぬけ、海岸沿いを尾鷲まで走った。調子は悪くない。
しかし、走っていくうちに良くなるだろうと思っていたアイドリングは、相変わらず不安定で、エアスクリューをいくら調整してもだめだった。燃費もよくならない。
尾鷲の海岸線から山の中に向かうため、ジャスコで稲荷寿司とインスタントの味噌汁を買う。
ここで、先ほど満タンにしたばかりだったので迷ったが、30KM走行しただけでもう一回ガソリンをいれた。1リッターしかはいらないので、ハイオクにした。気を使ったのである。

ここから先、山の中は、ほんとになにもない。
南紀へ行く人は、山の中に向かう前に必ず満タンにしようね。
山村ではスタンドがあっても、あいてないことが多いから。
実際このときも、約150KMもの間、スタンドがあいていなかった。
このときは長年の経験で、スタンドがありそうな場所を嗅ぎつけることができたため、何とか帰ってこれたのである。

さて、部品を換え、キャリアをつくり、フレームに補強をいれ、なんとか形になったXLだが、あいかわらずエンジン不調のまま。
ある日、何度目になるかわからないキャブ分解で、キャブのサイドにあるエアカットバルブのダイアフラムに小さな穴があるのを発見。このダイアフラムをはずし、とりあえずエアカットバルブを塞ぐと、うそのようにアイドリングが安定したのだった。燃費も一気に30KM/Lになった。
さっそく、ダイヤフラムを発注・・・しようとしたのだが、この部品XL250SとXL250Rにしか使われておらず、1個6000円というとんでもない値段になっていた。
ばからしくなって、結局、ガソリンに強い樹脂シートをバルブの形に切り抜き、エアカットバルブを塞いだ形で固定した。
これを塞いでも、アクセルを戻したときにパンパン吹き返すだけで、エンジンに何の支障もないのである。(現在はエアカットバルブのない、CB250RSのキャブをつけている。)
このときすでに北海道への出発まで後1週間というところになっていた。
ただ、これで終わった訳じゃなかったのである。

出発の6日まえに、仕事で、右手の親指と人差し指の間を、4針縫わなくてはならないほど切ってしまったのだ。
これではアクセルをあけられない。
医者に泣きつき(フェリーの予約があるからね)ふつうより多く縫ってもらい、1週間以内に道内の医者に消毒してもらうという約束をさせられ、どうにか出発の準備はできた。
だが、私の運はとことんついてなかった。
出発前日、サイドスタンドの先端部分が地面にめりこまないように、鉄板を溶接したのだが、うっかり左腕を押しつけてしまったのである。溶接直後の真っ赤なサイドスタンドに。
いやー見るも無惨な、おおやけど。
目の前が真っ暗になりましたね、あんときゃ。
結局、出発当日、包帯でぐるぐる巻きにした両腕をそおっとジャケットに通し、右手はどらえもん状態でグローブ無しのままレイングローブの中に納め(つまり、雨だったんだよお。もお、好きにして状態。)左手はジャケットの裏地にさわらないように、そおっと動かしながら名古屋港へ。
痛いし、暑いし、むれるし、もう大変。

夏休みの2日前に有給を取ったため、港への道は大渋滞。
どらえもんの手じゃ、アクセルをうまく微調整できないため、すり抜けは冷や汗もんだった。
何とかフェリーに乗り込むと、入り口にたっているクルーが一言。

「痛々しいですねー。事故でもやったんですか」

両腕とも包帯巻きだ。そう思われても当然か。
雨の中走っていたため、汗で気持ち悪い。
さっそく風呂へ。
困った。・・・両腕とも濡らせない。万歳したまま入っている私をみんなどう思っただろう。
しかし、フェリーはとってもありがたい。
乗船中の2日間で、十分アクセルを回せるぐらいには回復したのである。

さて、初めての北海道は、私の将来を暗示するように波乱万丈な物語を用意してくれていた。
滞在4日間のうち2日は雨。
雨の日の気温9度。真夏の日中で、である。
逆に晴れた日の旭川では気温35度。
そして4日目、とどめに台風の上陸。
最終日、釧路から400KM先の小樽まで、土砂降りの横殴りの雨の中、必死に走った。
・・・のに・・・。
表のドアにフェリー欠航のお知らせ。

それから2日間をフェリーターミナルで過ごすこととなった。おかげで、小樽名物をたっぷり味わうことができたのだが。
2日後乗ったフェリーは、台風の影響で荒れ狂う海を一路舞鶴へ。立ち上がれないほど酔ったのはいうまでもない。なにしろ、小便が便器に命中しないのだ。狭いターミナルの中ですごした2日間は、いい思い出になった。翌年、このターミナルは高層ビルとなったから。
このとき、近くの若い連中が面白かった。女の子1人と男2人だったのだが、女の子が、男が使っていたすすき野のソープランドのマッチに興味を持ち、しつこく質問していたのだ。再現すると、

女「ソープランドって何」
男「あ、あのね、お、お風呂かな」
女「あ、私もいきたあい。お風呂入りたいの」(注、今はあるけど、このときのターミナルに風呂はなかった。)
男「た、高いよ。1万5千円とられた。」
女「えーっ。どうしてそんなに高いの」
男「・・・・・・・・。」

さてと、ここでXL250Rの話へ戻そう。
このときの燃費は33KM/L。
同行のアフリカツイン750が15KM/L。
最高速は荷物満載では100KMどまりだったため、750と一緒に走るのはしんどかった。
ただオイルにカストロールのRSをおごってやったため、ぜんぜんん熱だれなし。
エンジンの構造上いいオイルをいれるにこしたことはない。
焼き付きやすいのだ。
オイルフィルターもないので、こまめのオイル交換が必要だがこのエンジン自体、信頼性は高い。
焼き付いても走ってしまう。
ただし、今でもときどき走っているのを見かけるが、年式から行ってもオーバーホールしてから乗るほうがいいとおもう。


これから、購入を考えている人へ。
そのまま乗れるのは少ないし、いずれ壊れるので、次の点に注意しよう。

1.アイドリングがおかしかったら、そのまま乗らないこと。キャブ内部のエアカットバルブが破損している可能性大。そのまま乗ると、ガスが薄くなっているため、いずれエンジンが焼き付くのだ。
エアカットバルブ(6000円もする)を交換するか、ふさぐか(ふさいでも走行に支障はない)、キャブをCB250RSあたりのものと交換しよう(ボルトオンでつく)。

2.オイルは1000KMぐらいで交換する。オイルフィルターがついてないのだ。できればカストロールのRSクラスを。安いオイルはエンジンがだれる。

3.Fサスペンションはオイル交換し、Rスィングアームはリンクを分解し、グリスアップしておこう。キイキイいったまま乗ると、リンク自体が破損してしまう。

4.12ボルトのレギュレータはXLRのものが使えるので、ヘッドライトがすぐ切れるようになったら、即交換。部品サイズもかなり小さくなるし。(このバイクのヘッドライトは、発電機と直結であるため、レギュレーターが壊れると球が切れるようになる。この球が専用で高いためできればヘッドライトをXLRと交換したほうがいい。そうすれば一般のハロゲン球がつかえるようになる。)


250Sと比較して、ブレーキは強力だし、電装は信頼できるし、サスペンションは比べものにならないぐらいいいし、基本的に現役で十分通用するバイクなので、今のレーサーレプリカみたいなオフロードバイクを必要としない人なら、このバイクはとってもいい相棒になれる事を保証します。
もっと詳しい事を知りたい人は、メールをください。
修理等でわからない事がある人もサービスマニュアルがありますのでご連絡を。

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