SUZUKI HUSTLER TS400 72年式



17歳の時、親父の買ったMT250(通称エルシノア)に乗りたくて速攻で中免を取りに行き、無謀にも最初の自動2輪として選んだのがこいつ。TS400。ハスラー400の1型です。世界最大の2スト単気筒としてデビュー。当時としては驚異的な34馬力を発揮するエンジンに魅せられ買ってしまいました。
店から出てアクセルをあけると、そりゃあもうすばらしい加速。ギュルギュルというようなエンジン音と、バリバリという耳をつんざくような排気音。そして後ろが見えなくなるような排気煙。即、店に戻ると、このバイクはこんなもんだよとのお言葉。まだ未熟だった私は、納得して帰ったのでした。かえってすぐいつもするようにエンジンの点検。ギアオイルが半分しか入ってない。シリンダーとヘッドのすきまからオイルが吹いている。マフラーの先のテールパイプを引っこ抜くと、そこにあるべきサイレンサーが無い。まずシリンダーヘッドをはずすと、6本あるスタッドボルトのうち、1本が雌ねじ、つまりシリンダーのアルミごと抜けてきました。店に戻して1週間、クランクケースのセンターパッキンを交換し、正規のサイレンサーのついた状態で帰ってきたハスラーは、1リッター15KMという燃費とくそ重たいキックをのぞけばとっても乗りやすいよい子となっておりました。もし手に入れようとしている人がいれば以下のことに注意してくださいませ。
 

  1. 1,2型は手動のディコンプがあり、キックするとき圧縮の一部を排気管に逃がしますが、ここがカーボンで固着します。閉じっぱなしで固着していれば、キックが重たいだけだけど、開きっぱなしで固着していると圧縮がぬけパワーが出ません。掃除しましょう。
  2. 爆発圧が半端じゃないため、シリンダーとヘッドを止める6本のボルトの雌ねじ部分(シリンダーに直接雌ねじが切ってある)がへたります。できたらヘリサート加工をした方がよいかも。
  3. 初期のタイプは、ほとんど間違いなくシリンダーが焼き付いてます。たしか3型からはシリンダーがボーラスメッキになっているため、購入するなら3型以降(アルミリムで21インチのタイプ)をおすすめします。おそらくオーバーサイズのピストンなんぞ手に入りません。よってボーリングしてもピストンがありません。
  4. 基本的にCCISのエンジンは排気煙は少ない方です。白い煙が多いのは、クランクケースのセンターパッキンが破れギアオイルを吸い込んでいるかもしれません。ギアオイルが減っていくようだったら要注意。腰下のオーバーホールが必要です。
  5. 昔の2サイクルはレッドゾーンを守りましょう。確実に焼き付きますから。
  6. 昔の2スト単は低回転型です。(当時は4ストの方が低速がなかったのです。)高回転まで回らなくても許してやってください。
  7. キックは思い切り、全体重をかけ思い切り踏み切ってください。中途半端だと、ケッチン(死語ですねー)をくらい、足首骨折で病院がよいということに。冗談じゃありません。実話です。特にヤマハのRT360はすごかった。知ってる限りでも2人足首やられたもんなー。
  8. 3型とそれ以前では共通部品はおそらくありません。違いを述べると
    *フレームがシングルクレードルからダブルクレードルになった。
    *Fホイールが19インチから21インチになり鉄リムからアルミリムになった。
    *シリンダーがメッキになり焼き付きにくくなった。(昔の2ストは焼き付くのがあたりまえだった)
    *ディコンプが自動になった。(手動のバルブから、シリンダーに小さな穴が開きっぱなしのタイプへ変更された。なんか圧縮が漏れそうなシステムだが大丈夫らしい。)
    *重量が6KG軽くなったにもかかわらず、サイレンサーが大型化されたこともあり、おとなしくなった。

SUZUKI TS400 (たぶん)1型 1972年式 空冷2サイクルピストンバルブ 最大出力34PS 最大トルク4.2KGM 145KG
F 3.25-19 R 4.00-18 シングルクレードルフレーム
 そういや、弟が3型買ったっけ。すぐ手放したから、すっかり忘れてました。

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