必読・総検証「特殊法人」の真実

総検証「特殊法人」の真実(講談社)を読んだばかりの大家さん、店子をつかまえて八つ当たり。

大家「おい、お前さんは、「特殊法人」て何か知ってるかい」
店子「なめちゃ困るな。道路公団とか日本育英会とか、民間では難しいことをお上がやってくれるところでし
   ょう」
大家「見損なったね。常識があるんだ」
店子「ほめておいて、家賃を上げようって寸法じゃないでしょうね」
大家「そんなけちな料簡はないよ。ほら「総検証・特殊法人の真実」て本を貸すから読んでみな。税金を納め
   るのがいやになってくるぜ」
店子「お上のする事に、不平を言っちゃいけませんよ」
大家「だってさ、売れもしねえ「苫小牧、むつ小川原の大規模開発」で北東公庫が655億円の債権を放棄し
   たり、石油公団は1兆4000億円の回収不能額を抱えているし、年金福祉事業団は「グリーンピア」な
   んぞというリゾート事業を始めて1兆8000億円の赤字を抱えたりとか、きりがないねえ」
店子「誰がそんなバカなことをやってるんで」
大家「決まってるだろう、お役人さ」
店子「行政改革とやらを、やってらっしゃるんじゃないんですかい」
大家「いったん作ったものを、そうやすやすと消滅させたりするもんか。大事な天下り先だ。」
店子「民間では、55歳で第一次定年とか、給料ダウンとかやってますぜ。お上も当然やっているんでしょう」
大家「下々の苦労はご存知だが、知らん振りだよ。農畜産業振興事業団なんてのは、1996年まで蚕の管
   理をやってたんだ。緑資源公団てのは昔農用地整備公団と言ってたんだが、休耕田を一杯作ってて
   なにが農地開発だ。肝腎の農地改正法案は廃案にしてしまうしな」
店子「そうアツくならないで。用済みなっても、なかなか引退しないところは大家さんに似てますね」
大家「バカな、おれは現役だ。道路公団は、日本と名のつくものから、首都高速阪神高速と、やたらと
   あるんだが、その下にファミリー企業がわんさとあって、仕事は全部そこを通さないといけない仕組みに
   なっている。高くついても、お国から補助金をもらえばいいって寸法さ。公団の偉いさんの天下り先でも
   あるしな」
店子「道理で、いつまでたっても料金が安くならない。補助金てのは税金じゃないかな」
大家「そうだよ。ついでに言えば、お金を貸してくれるところはサラ金だけだと思っていないかい」
店子「それと、大家さんも…」
大家「バカを言え。お金を貸してくれるところはな、商工組合中央金庫国民生活金融公庫住宅金融
   公庫
農林漁業金融公庫なんてのはおなじみだが、各地の農協さんだって貸してくれるし、殆どの
   特殊法人は金貸し業をやっている。金を貸すからと言っても、全部大蔵省の管轄って訳じゃねえ。貸し
   た金のどれだけが不良なのか、金融監督庁が調べる訳でもない。おれは心配で夜も眠られないよ」
店子「なにも、大家さんに心配してもらわなくてもいいって言ってますよ」
大家「景気対策で、赤字国債ばかり発行しないで、特殊法人を全部閉めちゃえば予算はいくらでも
   算段出来る

店子「で、どうして閉めちゃわないんで」
大家「お役人に閉めろって言ったって無くなる訳はない。政治家の仕事だ」
店子「出来ますかね」
大家「いまの仕組みでは、利益誘導型から抜け出せねえ。日本の議会制度は、イギリスを真似たんだが、
   議員の義務意識が違いすぎる。おれは、アメリカ式の大統領制がいいと思う。行政は専門家が国会の
   監視の元に行うようにすればいい」
店子「そんな、一気に変えるなんて、無茶な事が出来ますか」
大家「出来ねえこたあねえ。やる気があればな。第一段階で、議員は大臣にならねえ、全部民間の専門家
   にまかせる…ことにすればいい。議員さんは本来の立法に専念出来る。だがな、議員さんが、元官僚
   か二世ばかりじゃ望み薄だろうな」
店子「出来もしねえことを言うところは、選挙前の誰かさんに似てますね。ところで、借家の雨漏りはいつ直
   していただけるんで」
大家「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然と昔から言うだろう。お上がツケを子どもたちに廻して
   いるんだ。大家も同じと言いてえところだが、いいよ、直してやるよ」

大家さんは公約通り、雨漏りを直しました。
選挙前になって、ようやく行革を推進すると言ったどこかの幹事長さん、終わってからも忘れないでね。

2000.6.22.記

必読併読・検証「特殊法人改革」

 お役人というのは、自分たちより頭が良い者はいないと思っているから、勉強しないんでしょうね。
 総検証「特殊法人の真実を読んでいれば、存続させようなんて勇気は出てこないと思うのですが、みんな公的役割を言い立てた挙句、屁理屈の列挙。
 ついでに、追い討ちで出版された検証「特殊法人改革」も、きっと読まないのでしょうね。
 コスト意識のないお役人には、なにを言っても無駄なのでしょうか。

2001.12.3記

もとにもどります。