談合は検察サイドにも?
霞ヶ関談合・架空議事録

 国発注の鋼鉄製橋梁工事の入札をめぐる談合事件で、6月15日東京高検は関係者8人及び26社を起訴しました。道路公団発注分の捜査はこれからですから、被起訴者はもっと増えることでしょう。はてさて、どこまで解明が進むか? 誰もが、談合をやっていることを知っていて、なぜ手入れが「いま」なのかを疑問に思っています。
 企業が、役にも立たない官僚の卒業生(何事にでも例外は認めますが)を雇うのは、彼らが元の職場から仕事を取って来るのを期待するからです。金融機関の場合は、検査を大目に見てもらうためです。卒業生同士が談合することなど、常識の世界です。民間は、みんな承知の上で「卒業生別名渡り鳥」を引受けているのです。
 本気で談合をやめさせたいのだったら、天下りを完全に廃止すればいいだけのことです。
 知っていて知らないふりをするのも本当につらいでしょうね。談合そのものが、官庁から天下りした人々の間で仕切られていたこと自体、霞ヶ関官僚全部が、談合の存在を知っていることを証明しています。道路公団発注分も、企業に天下った公団OBたちが談合していたわけですし、そのOBも、もとをただせば官僚だったのですから。
 ところが、この種の役人がらみの起訴事件の多くが、霞ヶ関まで捜査の手が届きそうになると、霧散霧消してしまいます。なぜでしょうか?
 答えは明瞭です。各省のトップ官僚の間にも談合があるからです。その談合の中に、法務省も含まれてしまうところが、救いようもなく悲しい日本の現状です。解明できるのは国会議員だけなのですが、その無能なことは国民みんなが承知。
 トップ官僚たちが、「談合」捜査の進捗状況について、機密の会議を持ちました。もちろん、議事録は作られませんでした。

幻の議事録(架空)   (表記註) 国土交通省…国土、法務省…法務、財務省…財務。
国土 「法務省さん、検察に言ってくれよ。もうここらでやめようって」
法務 「いや、ここでやめたら、世論が許さない」
国土 「いいかげんにしてくれよ。こっちは、JR西日本の尼崎事故とか、JALやANAのトラブルでてんてこまいなんだ」
法務 「おれたちの知ったことじゃない。身から出たサビだろう。日頃の行いが悪いからだ」
国土 「やけにがんばるな。その訳を当てようか?」
法務 「訳などない。粛々と捜査を進めている」
国土 「談合は昔からある。いまになって、なぜ捜査を始めた?」
法務 「たれ込みがあったからだ。底意などない」
国土 「北海道や福岡で、捜査費の流用がばれたろう。がんばっているところを見せて焦点ぼかしを図っているんだ。役人みんなが知っているぞ」
法務 「だまれ! 正義は我らにある」
国土 「おれたちが、あんたがたの裏を知らないとでも思っているのか。お互い痛い目にあうことになるぞ」
法務 「なんだ、その痛いこととは?」
国土 「建設会社が、どれだけ警察OBを雇っているか知ってるのか。自由に喋らせようか」
財務 「国土も法務も、少し冷静になれよ。時の氏神が仲裁に立ってやろう」
法務 「仲裁するからには、案でもあるのか。こちらは世論が味方だ」
財務 「検察は、道路公団までで立件を打ち切る。霞ヶ関の手前ですべて完了とする」
法務 「それじゃ、法務が譲歩するだけじゃないか」
財務 「献金の貢献度を考えろ。あんたんとこの省が、国土以上に金を集めてきたら、譲歩しないでもすむ」
法務 「最後は金がモノをいうのか」
財務 「何事にも潮時というものがある。窮鼠猫を噛む譬えもある。役人は相身互いだ」
法務 「もったいぶらないで、次を言えよ。国土を喜ばすだけの案じゃないだろう」
財務 「分かってて聞くのか? この狸め! 来年の予算配分で、○億円ほど、国土の分を削って、あんたんとこへ廻すよ」
国土・法務「しかたがない。時の氏神の仲裁案を呑もう」
法務省の独り言…この次は財務省のアラを探して、もっと獲得予算を増やそう。

 アメリカでは、ニクソン大統領失脚の情報源、ディープ・スロートがFBIのNo.2だったと、ある雑誌が明らかにしました。家族が「うちのおじいちゃんは英雄だ」と持ち上げていますが、同時に、雑誌社から提供されたお金も考慮に入れたと述べています。ニクソンが彼を長官にしておけば、彼がディープ・スロートになることはなかったかも知れません。ジャーナリズムの勝利の陰には、どろどろとした背景が介在しています。
 このNo.2は、フーヴァー長官を崇拝していたそうです。大統領やセレブたちの秘密を探り、それをちらつかせて自らの保身を図ったことで著名な人です。
 上が上なら下も下、日本のトップがアメリカべったりだから、法務省もFBIの真似をしているのでしょうか?

2005.06.18.記

追加メッセージ
 奥田経団連会長が、一度は「天下り停止」と言ったものの、7月11日、前言を翻し「いますぐは困難」と態度を後退させました。談合も、当分続くだろうとの見解も示しました。ありていに言えば「わしゃ、知らん」と、サジを投げたのでしょうね。それほど、病根は深いと言うべきなのでしょう。
 民間側から「天下りしないで下さい」とは言えないのですよ。利益を上げて、配当していかなくちゃ生きて行けないのですから。
 官僚側に反省がない限り、日本が滅びるまで、この悪弊は続くのでしょう。

2005.07.12.記

追加メッセージNo.2
 予想通り、道路公団はアンタッチャブルではないと見えて、副総裁と理事が逮捕されました。威勢良くバンバンと花火を打ち上げているようで、まことに結構です。ですが、ことの発端は「国発注の鋼鉄製橋梁談合」であることをお忘れなく。国土交通省に比べれば、道路公団など雑魚に近い。
 だけど、結局はここまでで終わってしまうのでしょうね。マスコミも忘れっぽいし…。

2005.08.2.記


もとに戻ります。