改悪年金法案に厚生労働省お役人の高笑い

6月5日早朝、野党のムダな抵抗も空しく、年金法案が国会を通過しました。国会に詰めていた厚生労働省のお役人が雑談中。悪いと知りつつ、つい盗み聞きしてしまいました。
役人A「年金改正法案が、やっと国会を通ったな」
役人B「世の中では、改悪だとか、問題の根幹をなおざりにしているとか、いろいろ言ってますよ」
役人A「言わせておくさ。法案成立の最大の貢献者は、管さんだな」
役人B「あの未納三兄弟の発言ですか」
役人A「彼のおかげで、焦点がボケたろう。年金資金がカラッポなことや、運用の失敗や、制度の欠陥などが表に出なかったし、一元化もボケたままだ」
役人B「小泉さんは、何か役に立ちましたかね」
役人A「実はな、彼の未加入の問題も、オレが週刊誌にリークしたんだ。記者が、本人に確認しに行ったんだな。衆院通過前だ。想像つくだろう、見栄だけで
     生きているようなお方だ。衆院通過まで待つよう記者に頼んだらしい。金も要ったろうナ。通過した後、未納と未加入は違うと強引に言い抜けたのは
     君も知っての通りだ」
役人B「それが、なぜ貢献者なんで」
役人A「いくら、面の皮が厚くても、言い抜けがいつまでも通用するとは思わなかったからさ。その上、自称改革派だろう。内心本人も年金は一元化がいいと
     思っているんだ。だけど、弱みがあっちゃ自民党のいいなりさ。それに、人気回復起爆剤の北朝鮮訪問が、期待以下だったしな。国会運営に、一言も
     口を挟めなかったんだ。貢献者第2号だ。もし、廃案になってみろ、明日の年金支払にも困るところだったんだから。いま彼の頭の中はサミットだけさ」
役人B「だけど、ホントにお金が足りませんね。これでしばらくは、枕を高くして眠れますよ。下っ端の我々は、資金繰りに苦労してたんですから」
役人A「分かっていたよ。だけど、先輩の方々も、グリーンピアとか、いろいろと豪勢に使ってくれたもんだなあ。これほど、帳面ヅラと実際の金額が違うとはな」
役人B「オレたちも、官舎とか省の車とか、いろいろ理由をつけて使ってきましたよ」
役人A「小さい小さい。オレたちのやっていることは、先輩の足許にも及ばん。それにしても、議員の先生方が、オレたち役人のために、これほど汗をかいて頑
     張ってくれるとは思わなかった。期待以上だったよ。まだリークできる火種はいくつかあったんだが、使わずにすんだ」
役人B「お互いギブ・アンド・テイクですからね。ところで、野党の言っている一元化は、ホントのところ、どう思っておられるんですか」
役人A「もし、オレが巷のしがない民間会社の勤め人だったら、一も二もなく一元化に賛成する。だが、オレは天下の厚生労働省のキャリアだ。特権を渡してな
     るものか。国会議員の先生方だって同じさ。自分たちで作った議員年金を、屁理屈つけて存続させようとしてるだろ」
役人B「世の中がうるさい筈ですね」
役人A「野党の案では、国民年金対象者も、所得に応じた納付が必要となる。今回は一応、所得把握が困難と屁理屈で言い抜けたし、野党のオメデタイ議員
     さん方も、それ以上突っ込まなっかったが、税の申告の方から掴めないことはない。だけどそれをしてみろ、徴収権が財務省に移っちまう。オレたちの
     金ずるがなくなるじゃねえか」
役人B「官舎を出なきゃならなくなる」
役人A「年金のコンセプトを、根底から変えるって方法もないことはない。単純に、基礎年金は税金で賄って、報酬比例分は積んだ期間と金額に比例させりゃ
     いい。消費税を上げて、福祉目的税にすればすむことは百も承知だ」
役人B「オレたちの共済年金は、もともと税金でしょ。消費税を、厚生年金や国民年金の資金に当てたら、オレたち買物したとき損しちゃう」
役人A「大丈夫だよ、いずれ消費税は上げることになるが、財務省が福祉目的に用途を固定するような、不自由なことをするわけがない」
役人B「よかった。家内に怒られずにすむ」
役人A「少子高齢化だって、国籍承認基準を少し下げさえすりゃ解決する。一元化だってやってやれないことじゃないが、やってはならん」
役人B「簡単なほうが、経費もかからないって野党が言ってますよ」
役人A「手間隙掛けるのがお役人の生き甲斐だ。一元化するにしても、順序がある。まず、公務員まがいで、赤字の共済年金のグループが幾つかある。オレ
     たちのお宝を食いつぶしている奴らだ。まず、それを厚生年金の仲間に入れる。議員さんの年金も、いずれは廃止だろうな。道路公団や、郵政の連中
     の分も、遠い将来、厚生年金の仲間入りすることになる。どうしようもなくなったら、地方公務員もその仲間入りだ。最後まで、国家公務員の分だけは
     死守する。分かったろう、一元化するには、これだけの手順を掛ける。簡単にやれるもんか。そのうち、国民が諦めるさ」
聞いている方が、だんだん気分が悪くなって、ついトイレに駆け込んでしまいました。乱闘騒ぎまでしていた議員さんたちが、ここまで役人に操られていたなんて、なんだか可哀想に思えて来ました。
今晩、夢の中まで、役人たちの高笑いが追いかけて来そうな悪い予感がします。

2004.6.6.記

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