なぜ食料自給率の向上や年金制度改正が政治家や役人に出来ないのか
かわって神様と明治の偉人が案を提供します

食料自給率の向上(海彦・山彦のおしゃべり)

山彦「兄ちゃん、ぼくらの子孫が住んでいる日本では、食料を輸入しないと食べていけないみたいだよ」
海彦「お前が竜宮から持ち帰った「潮満ちの珠」「潮干の珠」の使い方を忘れたんじゃないのか」
山彦「それより大事な、種の蒔き方から育て方、採り入れのやり方の基本を忘れてしまったらしい」
海彦「そりゃまたどうしたことだ」
山彦「兄ちゃんは相変わらずだな。自分で考えようとしないんだから。竜宮から帰ってきたぼくが、田植えをしても、畑を作ってもうまくいくのに、
   そのとき、兄ちゃんはなぜ自分には出来ないのかって考えなかっただろう」
海彦「そんな古いことを持ち出すなよ。頭がいいのは弟の方だってのは、今も昔も変わらぬことさ」
山彦「人間てのは、神代の昔から欲が深い。だけど、政治家も役人も自分の欲だけに目がくらんで、農家の欲を利用してこなかった」
海彦「欲が深いのは神様も同じだ。オレも、いかに多くの賽銭を集めようかと日夜頭を痛めている」
山彦「真理は飴と鞭だよ。ギブ・アンド・テイク。権利と義務。霊験あらたかな神社にはお賽銭もたくさん上がる」
海彦「最後の例が一番わかりやすい」
山彦「ついでに自給率を上げるために何をやればいいか、わかりやすくいうと、農地には税金をまったく掛けない代わり、生産物を市場に出す
   義務
を与えるってことかな。勿論売る値段は市場価格に合わせなきゃならない。ついでに遺産相続の際も、農業を続けるかぎり税金免除
   にする」
海彦「そんなことで、中国や他の開発途上国からの安い農産物と競争できるかい」
山彦「そのために関税てのがある。関税の率も国際間の競争原理の一つだ。500%の関税を掛けても競争に勝てないとしたら、敗者の方に何か
   重大な欠陥がある。どんな言い訳が残っていると言うのか」
海彦「なんか鞭ばかりのように聞こえるな」
山彦「現実を見てみろよ。お米が余るようになっても、お役人が体制維持のために食管会計を残して米価を決めてきたから、農家は儲けの多い
   米しか作らなくなった。価格は高止まり、外国との競争力を失った。ここで「見えざる神の手」に任せればいいものを、票の欲しい政治家と、
   天下り先を減らしたくない役人が結託して、減反という天下の愚策をやっちゃった。農家が休んでいても金になる仕組みだ」
海彦「霊験あらたかな神社にはお賽銭もたくさん上がる…の逆だな。金を配れば、票が手に入る」
山彦「さっき、農地には税金をまったく掛けないと言ったけど、ちょっと自信が無いのは、いまでもタダみたいに税金が安いんだ。ということは、
   いままでも十分に甘い汁を吸わせてきたことになる。だからゼロにするだけでは、飴として甘さが足りないかも知れない。だけどな、言って
   おきたいのは、そのような甘い汁で、政治家と役人が、農家を守って、農業を守ってこなかったと言うことだ」
海彦「神様のお前でも、政治家と役人には勝てないのか」
山彦「いや、税金をゼロにすることで、義務を思い出させる必要がある。いまでも、なぜ安いのかってことを履き違えている奴が多い」
海彦「いきりたつほど、説得力がなくなるぞ」
山彦「いま、安い税金の対象となっていて、市場にまったく生産物を出していない農地がどれだけあるか知っているか」
海彦「知らんぞ、そんなこと」
山彦「実を言うと、ぼくも知らない。役人に聞いたがそんな統計はないという。やつら調べる気もないんだ」
海彦「神様も知らないことがあるんだ」
山彦「農家がやっているみえみえの手口はわかっている。農地としておくため、梅とか柿とか無花果とか手の掛かからんものを植えておいてな、
   収穫なんてしないんだ。生産物を市場に出さない名目上の農地ばかりで、自給率が上がるはずがないだろう。自分たちの生活はアパート
   経営と給料取りになることで賄う。農業は趣味みたいなもんだナ」
海彦「オレもだんだん腹が立ってきた」
山彦「農地に最低市場供給額を金額で義務付ける。市場が要求しない作物を作ってもダメ。ここに市場競争が発生する。同時に農業法人
   も認める。株式会社が農業をやれる仕組みだ。いろんな事情で農業が出来ない農家が、株式会社に農地を貸し、その会社が最低市場
   供給のノルマを果たす限り、農地への課税はゼロのままとする。もちろん、農地を貸すことによって得る収入は所得税課税の対象となる。
   当り前のことだ」
海彦「それでもダメだったらどうする」
山彦「豊葦原瑞穂の国だぞ。できないことはあるまい。もしダメなら、最後の頼みはひいおばあちゃんだな」
海彦「ひいおばあちゃんって天照大神か。怖れ多い話だな」
山彦「そうだ、神様が神頼みするってことになるからナ」

年金制度の崩壊(福沢諭吉と大久保利通の会話)

諭吉「大久保さん、平成の時代になって年金制度が崩壊間近だそうですね」
利通「そうなんだ、福沢さん。出生率は甘く見積もるし、国民年金の未納率が40%だなんて設計ミスだよ。明治は遠くなりにけりだナ」
諭吉「崩壊間近だと言っても、それは厚生年金、国民年金のことでしょう。お役人を対象にした共済年金はどうなんです。お役人の人員が漸減
   して行く方向なんですから、高齢化の問題を抱える一般の年金と比べても、環境が悪いことには変わりがないと思いますが」
利通「お役人が自分の首を絞めるもんか。ひたすら火の粉がかからんよう、こっそり財源の維持確保を図っている。これが、オレの後輩かと思う
   と悲しいナ。役人道も地に落ちたよ」
諭吉「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云えり、というのは死語となったのでしょうか」
利通「清廉潔白も死語だ。「役人の子はにぎにぎ(袖の下)をよく覚え」という川柳どおりだ。だいいち、年金を保険で賄おうと言う発想が愚劣だ。
   制度発足当初は集める金に対し支出金が少なくて済んだ。だから、余裕のあるお金で天下り先を山ほど作った。いま、それが全部赤字だ」
諭吉「Economyを経世済民すなわち経済と訳した私からみても、日本の現状は擬似社会主義としか言いようがない。だから、税金を納める者
   より、配る者の方が偉く見えるようになってきた。それで、年金制度はどうすればいいと思われますか。尊敬する大久保さん」
利通「消費税で支えるほかはない。分かりきっている。ただし、財務省や、厚生労働省にフリーハンドを与えてはならん。もともと、後輩の竹下
   が消費税を導入したとき、福祉目的税にする筈だった。ところが、大蔵省に反対された。お役人には政治家も歯がたたん。だから、今度は
   消費税を上げるときに使用目的をきちんと決めておく
諭吉「役人も消費税を払っていますよ。もともと彼らの共済年金はすべて消費税以外の税金で賄われていますね。消費税を年金目的に制限
   すると、お役人が不利
になりませんか」
利通「さすがだ、福沢さん。おまけに公平な視点に立っておられる。発想を変えなきゃならんのですよ。解決方法は一つ。厚生・国民・共済に
   分かれている年金を、いったんぶち壊して統一するしかない」
諭吉「お役人に暗殺されそうですね、大久保さん」
利通「一度暗殺された身だ、二度目も厭わぬ」
諭吉「正しくて偉いと思いますが、あなたはマトモすぎる。西郷さんと比べて、あなたの人気がいま一つという理由がよく分かりましたよ」


ご先祖の議論を伺っていると、問題は志(こころざし)のあるなしと言うところにありそうですね。凡人のごく平凡な感想です。

2003.9.14.記


 江角さんに端を発して、国会議員の年金未納者が続々と明らかになって来ました。民主党の管代表が辞任に追い込まれましたが、これは彼の喧嘩の仕方が間違っていたためで、やむを得ません。彼は、本質的に討議すべき焦点をボケさせてしまいました。未納は個々人の責任ではなく、複雑な制度を作り、未納督促を一度もやってこなかった挙句、非難されると「そのような制度になっていない」と強弁するクソ官僚にある…としていれば、辞める必要も無かったのです。追求すべき焦点をズラした管さんの責任は、それこそ万死に値します。
 年金の一元化は必至です。反対している奴らは、現状で恩恵を受けている役人たちです。
 民主党の素案には欠陥が幾つかありますが、自民・公明党案よりまだましです。一元化には、国民年金納付者の所得把握が不可能と、あたかもプライバシーがらみで反対する似非学者や官僚OBの政治家が主張していますが、サラリーマンからの年金徴収制度に慣れた役人の屁理屈に過ぎません。
 年金受取額を、納付年限と納付額に比例させる制度に変えれば、問題は一挙に解決します。国民年金納付者も、自らの納付額が、65歳以後の受取額にどの程度影響するかが明確になれば納める気にもなるでしょう。未納について、自己責任制がはっきりしてくる筈です。
 官僚にトコトンなめられた政治家さんたちよ、バカにされっぱなしで口惜しくないのですか?

2004.5.15.記

もとに戻ります。