心の叫び

Likely 

ついに、この日が来た。
リーフ様による北トラキア解放の旗揚げ。
私は深い感慨に浸った。
この私が全身全霊を傾けて御養育申し上げたリーフ様が、ついに、解放軍の盟主となって立ち上がられるときが来たのだ。
レンスターの守護神ノヴァよ、貴女に感謝します。
願わくは、我らが前途に神のご加護があらんことを。

リーフ様は、何か御相談事があると、私を頼りにされるのが常だった。
…しかし、このところ、エーヴェルにお尋ねになる。
…まあ、仕方がない。エーヴェルは地元の地理には詳しいし、私も何度も世話になっている。何より、子供たちの母親代わりを務められるのは、彼女しかいない。
しかし。
エーヴェルがいなくなった後、リーフ様御下問の際はあのアウグストめが御返答つかまつることとなってしまった。
彼奴はふんぞりがえって、鼻息も荒い。
許せん。
私の言うべき台詞を片っ端からさらっていく。(涙)
それどころか、将来この大地を統べられるリーフ様にあらぬ事を吹き込んでいる。
私が15年かけて御教育申し上げたレンスターの魂をあの男は破壊しようとする。
ますますもって許せん。
私は今は亡き国王陛下から直々にリーフ王子の将来を任された者である。
王子の父上に当たられるキュアン様にも頼もしく思っていただいた。
断じて、流れ坊主とは格が違うのだ。
どこから見ても私の方が誠心誠意忠心からリーフ様にお仕え申し上げている。
彼奴はリーフ様を利用しているに過ぎない。
彼奴にとってリーフ様は便利な操り人形に過ぎないのだ。
リーフ様を傀儡の王にすることなど、この私が断じて許さん。

長きにわたった苦難とそれに対する不断の努力の末、ようやく北トラキアは解放された。
しかし。
「アウグスト…貴方のおかげだ。貴方が僕を導いてくれたのだ」
しかし、リーフ様は晴れて宿願成就の歓喜の第一声をこともあろうにあの男に賜ったのだ。
リーフ様とこの夢を現実にまで育てたのはこの私である。
にもかかわらず。
私は屈辱で身も震えた。
「お父様」
心配そうな声で娘が私の背中をさする。
私はこの身を削り、命を懸けてリーフ様をお守りしてきた。
リーフ様のために、妻子も犠牲にした。
すべてはこの日のためである。
彼奴は一体何をした。
安全な場所でのうのうと講釈をたれていただけではないか。
もう我慢ならん。
「リーフ様、セリス軍からの知らせによると、コノートは解放軍によって制圧されたそうです!」
私はリーフ様と彼奴の会話に割って入った。
「…僕はフィンがいてくれたから我慢ができた。フィンの方が僕よりもずっと苦しかったはずだから…僕はどうすればお前に報いることができるのだろう」
ふ、やはりリーフ様は私を信頼されている。
私の望みを叶えてやるとおっしゃるのだ。
「リーフ様、残念ですが、私たちはもうフィアナに戻らねばなりません」
その時、エーヴェルがリーフ様と私の会話に割り込んだ。
くっ、リーフ様とのお話はまだ終わっていないというのに。
そうこうするうちにリーフ様と私の会話は中断されてしまった。
リーフ様に押し寄せる人、人、人。
なーぜーだー。
私の予定では北トラキアの風景を城の最上階から眺めながらリーフ様と2人で今までの人生の軌跡をしみじみ語り合うはずだったのに。

私の他にも取り残されている人物がいることに気づいた。
我が娘、ナンナである。
あの娘もリーフ様に申し上げたいことがあるだろうに…
私は娘を自分と重ねて情けなくなった。
これは、この押しの弱さは、もしかして遺伝だろうか。
思えば、この娘もリーフ様と共に成長してもう15年になる。
お互い気持ちが通じ合ってもよい年頃だ。
愛娘の初恋は不憫にも散ってしまうのか。
父として何もしてやれない自分に次第に腹が立ってきた。…


私は沸き上がってくるすべての怒りを見えざる者に叩きつけた。(かなり理不尽です)
「Likely!すべてはお前のせいだ!!お前のせいで私はどれだけヒドい目にあっているか、知らないとは言わせんぞ」
「お前のせいで愛するラケシスは凶暴になってしまうし、第一私の扱われ方の悲惨さは一体なんだ。いつも誰かにいじめられて…本当にお前、私のファンなのか?私の稚拙な似せ絵を自分で描いては、『ティアラを外したマ〇ス』と酷評する…私が悪いんじゃない、お前の描き分けのできない画力の低さが問題なのだ!!」
「おまけに救いがたい駄文を我音様に押しつけて…これもそうか?どれだけ我音様がご迷惑を被っておられるのか、お前には想像する余地すらないのか」
(申し訳ないとは思っておりますが、サイト開設してもほったらかしになりそうなんです。HTMLだって忘却の彼方だしー)
「泣き言を抜かすな!そんなヒマがあったら私とラケシスのラヴラヴ♪でも書いて、ここのサイトオーナー様を少しは喜ばせて差し上げろ!!」
(しーましぇーん。精進しましゅ(;_;))
「とりあえず、さしあたってはお前の聖戦プレイスタイルを何とかしなさい。もっと私を使いなさい!『フィンは魔防が低いから後半は使えないー』なんて言っていないで」
(だってー魔防が低いのは事実じゃないですか。中年同士仲良くオイフェと一緒に本城でお眠りください)
「…グッ…この人生80年時代に30代で年寄り扱いか?私はまだまだ…」
(だってー、聖戦の醍醐味は恋愛システムですからー)
「と・に・か・く。私の勇者の槍をペガサスナイト母娘に使わせるのだけはなんとかならないか。私の出番が完全に無くなってしまうではないか」
(それは駄目ですー。貴男、4章で早々といなくなるでしょう。資源の無駄と言うものです)
「くっ…下手に出ればつけあがりおって」
(あのー、貴男キャラ変わってません?)
「お前が書いているんだろうが」
私の怒りは収まらない。

「何をそこで一人で毒づいているんだ。貴様らしくもない」
親友の声が私を現実に呼び戻した。
「リーフ様、ナンナ様に告白しておられるところなの。あんなに初々しくて…可愛らしいこと。若いってうらやましいわね。あ、そうなるとフィン様はレンスター、いえ、北トラキア王国の外戚になられるのね」
奴の隣でセルフィナが楽しそうに笑う。
ドリアス卿の死から半年以上、ようやくセルフィナも笑顔を見せるようになった。
そんな細君を愛おしそうに振り返った後、グレイドは厳粛な面持ちで私に言い渡した。
「その前に貴様には、やってもらわねばならないことがある。俺たちの分までリーフ様をお守りしてこい!!」

その後の私は…言うまでもなく、本城でお留守番の日々である。
リーフ様は、さすがに名将であられた外祖父君バイロン卿の御血筋か、エスリン様を通じて受け継がれた能力を、ようやく開花されたようで、今や槍だけではなく杖や魔道書までいとも簡単に扱われる。
マスターナイトの称号は我が妻ラケシスが成し遂げて以来の快挙だった。
もうリーフ様を神器も扱えぬ僭称の王者と軽んじ嘲る者は誰もいない。
ご自身が地槍の継承資格を持たざる身であることを、深くお悩みになられた昔が、今では夢のようだ。
ナンナもデルムッドと共に解放軍をよく支えている。
前線で戦う戦士たちを鼓舞し、杖を振るって彼らの傷を癒し、激励する。
あの子のバックアップが解放軍の大きな力となっていることは否定できない事実だ。
子供たちが我々の意志を継いで大きく強く成長してくれるのは嬉しい。
しかし。
しかし、たまには私も出撃させてくれー!!!

私の悲痛な「祈り」は、今回もLikelyの耳に届きそうも、ない。

〈END〉

SPECIAL THANKS! Likely様

管理人より
Likely様から楽しいお話をいただきました♪タイトルつけさせてもらいましたが、なんでこうもセンスがないのか(TT)
本当にフィンのゲームでの扱いって悲しいものがありますよね。二世代に渡って大活躍してるっていうのに(はあ〜)。
それはさておき、フィンラケのラブラブもお待ちしております♪(こいつは…)
せっかくいただいていたのに掲載が遅くなって申し訳ありませんでしたm(_ _)m

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