コミックCUE VOL.3

 難しいテーマ(ポルノ)だけに、各作家さんも苦労しただろうなというのが第一印象。一番インパクトがあったのは古屋兎丸さん。あと、山上龍彦さんの挿絵を担当した丸尾末広さんもいやらしくてよかった。買えば損をしない本ではある。
 ポルノが難しいテーマというのは、「裸的なもの」が主であるだけでは作品になりにくく、エロ本あるいはロマンポルノの活力が「裸さえ入れればなんでもあり」とういう、裸ではなくその周辺を広げることから生まれていたことからも、想像できる。つまり、裸的なものがなければポルノは成立せず、それ以外のものを入れると「テーマ」の存在が危うくなるというのが今回の企画というわけだ。で、作家の皆さんは正面から自分のセクシュアリティというかイタ・セクスアリスと向かい合うことで、そこをクリアしようとしていたように見える。(もっとも「やるきまんまん」だけはその陥穽をゆるやかに抜け出ているわけだ。まあ、存在そのものがシュールだからね)
 とするとやはり江口寿史編集長のポルノ観はどこにあったのか、というのが気になるわけだ。原稿が落ちて残念。(97/1/6)


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