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第壱回、「華原朋美の栄光と没落」その1(1999.9.24)

「小室プロデュースで大型新人がデビューし、2枚連続でCDを出すらしい」という噂を耳にしたのは1995年6月の事だった。
しかしすでに小室自らが参加するglobeのデビューに話題が集中していたのと、篠原涼子のダブルミリオンセールスの熱気が冷
めていなかったため、華原にはさほど注目はしていなかった。
そういう状況下、同年9月にデビューシングル「keep yourself alive」が発売される事となる。globeに遅れる事一ヶ月であった。

CMを初めて見た時のインパクトはいまでも時々思い出される。小室哲也の前で宇宙人のよう格好をした女が、いままで聴いた
事のないような声で非常にKEYの高い曲を歌っているCM、見終わると同時に慌ててCD屋に駆け込んだ。

それからしばらくして華原の話題はTVにも頻繁に登るようになった。「変わった女の子」としてのセンセーショナルなデビュープロ
モーションは、ある意味成功したと言えるだろう。
しかしAvexのCM攻勢、タイアップ戦略の甲斐なく、話題に見合った凄い売上枚数を記録した訳ではなかったのである。

そんな中、予定通りセカンドシングル「I BELIEVE」が発売される。この曲は1stから一転しバラード調。
本来落ち着いた曲は日本ではあまり売れる事はないのだが、タイアップ2つ、新人としては異常なまでの話題性、プロモでの変
わった振り付け、そして何よりも個性的な歌唱力でミリオンヒットを記録する。
(ただ、俺個人はあまりこの曲は好きでない。華原の個性があまり生きていないように思えるからだ。)

最近では特に珍しくない連続リリースであるが、この頃のシングルリリースのペースは通常年2〜3枚。従って、華原は「I BELIE
VE」以降しばしの充電期間に入った。

その間小室はglobeでの活動をも精力的に行う。11月に「SWEET PAIN」、明けて1月には「DEPARTURES」を発売。どちらも
記録的なセールスをたたき出し、特に「DEPARTURES」は220万枚を超える売上を記録する。
globeは凄い・・・・人々は口をそろえてそう言うようになっていた。

華原の存在が俺の記憶から消えつつあった96年3月、華原のニューシングルが発売される。
そう、「I’m Proud」である。満を持して発表されたこの曲は、華原にとってまさに「栄光」と呼ぶにふさわしい曲であった。

その2に続く