雪待月

(あとがき)


おひさしぶりです。なんと5年ぶりの新作でございます。
そのくせ、超異色作。
書いていくうち、どんどん表現がグロテスクになっていって、結局だいぶ削除したのですが、 それでも、「腐肉」なんて表現があったりして、苦手な方がいたら、ごめんなさい
あと、 しつこいほど振り仮名が振ってあります。同じ意味でもたとえば「銀」を「ぎん」と「しろがね」と読むのでは、音の数が異なるため、最終的に呼んだときのリズム感に影響します。なんか、かえってうざったいかもしれませんがお許しを。

5年前、更新を途絶えさせてしまった頃、クラヴィス様のお誕生日のお話として6割ほど書き上げていたものです。
「雪待月」とは、11月の別名でして、もう、季節はずれもいいところ。せめて、春ならばともかく。一番関係ない夏にUPすることになろうとは思いもしませんでした。
しかしまあ、今年は暑いですから。暑苦しい夜の幽霊譚ということで。(無理やりこじつける)

クラヴィス様の、左耳の耳飾はなぜなくなったんだろう、というのが今回の物語を書くきっかけでした。妖しく美しい幽霊を相手に、クラヴィス様がかっこよく立ち回る。
うん、「あさましき鬼と成果てた我が身にも闇は―――」なんてセリフいいじゃーん。
……というイメージで。

途中、語られる惑星の歴史について、少し説明します。
あの部分のみ実話でして、参考文献があります。
個人名称などを省き、多少省略、現代語訳の上、あのような形で載せています。
命日は旧暦6月。(女の設定は完全な創作です。)
もともと忠誠ゆえの集団自害で、まあ、「忠臣蔵」とあわせ美談として私も好きなエピソードなのですが、現代に照らし合わせれば決して誉められた所業じゃないわけでして。そんなわけで、女に「罪」といわせ、「ゆえに逝けずに」と言わせております。

もともと女が生きた時代は幕末〜明治時代を想定していたのですが、その夫の設定の都合により、鎌倉時代末期となりました。
呼称も、当初の「旦那様」から「御館様」へ変更。
小袖に打掛は当時の上流武家の正装。ただし、花嫁衣裳は当時白ではないはずです。喪服は……どうなんだろう。

今後はしばらく既に閉鎖されたサイト様への投稿作品の再録を行おうと思います。
ジュリアス様ファンにお友達が多かったため(笑)ジュリアス様がけっこうある。
もうじき、お誕生日ですし、ちょうどいいかな。なんて。
お久しぶりなので、長いあとがきとなりましたが、このへんで。それでは、また。
2004.07.31 佳月拝

BGM/「鎌倉」
参考文献/「太平記」「最新国語便覧」「服飾辞典」

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