花残月(はなのこりづき)

■「嫦娥の娘」と「桜闇異聞:嫦娥」の続編です。
これまでのシリーズの雰囲気をいっきにぶっ壊す、
フランシーと白波の新婚生活を舞台(?)にした脱力系アホコメディ。
面白くないくせに無駄に長いです。


◇◆◇◆◇

ここは聖獣の聖地。春過ぎて、そろそろ初夏がやってきそうな、今は花残月。
花残月(はなのこりづき)っていうのは、いわゆる4月のこと。
でも4月の異名で一般的なのといったらやっぱり卯月だとおもう。
そう、卯月。
卯の花の卯。
でも、卯ったら、卯だよねえ?
そう、ウサギ。うさぎ。兎。

そんなわけで(どんなわけだ)。
ちょっくら、聖獣の闇の守護聖様んちを、覗いてみよう。

◇◆◇◆◇

で、やってきたフランシス様邸。
不思議な縁でふたたび出会えた娘、白波と無事所帯を持って、目下新婚ほやほやらぶらぶ中です。

「庭の花が盛りでございますね」

幸せそうな笑みを浮かべて、白波は夫に淹れたての紅茶を差し出す。
それを受け取り、妻に微笑み返すとフランシスは言う。

「ああ …… ほんとうに。白い花が零れてまるで雪のようです」

洋風の彼の館に、和装の美しい大和撫子。違和感があるかと思いきや、意外になじんでいる様子。
こう、明治とか大正あたりの、お華族様みたいな、そんなかんじをイメージしてもらえばいいと思う。
あまりに違う生活習慣に戸惑うかな、とも心配したけれど。そもそも人にあらぬ身から人となったことを思えば、生活の変化は文化圏の違いとか、そういうレベルではないわけで。はなっからどんな苦難も乗り越えて見せると覚悟していた白波は健気に頑張っているようだ。
そんな姿を見せられたら、フランシスだって協力しようと思うわけで。
朝食にいきなり出された納豆だって頑張って食うよ。うん。最近では、慣れれば美味いもんだと思い始めてるみたいだし。
でも、最近になってアルカディアのカンセールで"くさや"が売っているらしいという情報を、白波が仕入れたところまではフランシスはまだ知らない。まあ、がんばってくれや。
ちなみに、情報の提供元は和モノ大好き少女エンジュであることを、言い添えておく。
(作者註:シリーズ違いますが「クラエンの和物行事シリーズ」のエンジュをイメージしてください。きっと、白波とマブダチになれます)
そんな新婚夫婦の会話は続いている。

「あれは、空木でございますね」
「空木、ですか。名まではしりませんでした。白波は植物の名に詳しいのですね」
愛する夫に褒められて、うれしそうに笑う白波。勢いあまって余計な知識まで披露しちゃいました。
「卯の花とも、申します」
「…… う ……?」
「ええ、卯」
「…… う …… 」
「卯月の卯でございます。4月は卯の花が咲く季節だから卯月という説もございますし、反対に卯月に咲くから卯の花だ、とも。その場合は、4番目の月だから、卯なのだと、そう言われております」
嫌な予感を抱えながら、やめりゃあいいのにフランシスは律儀に聞いてしまう。
「4番目だと …… 何故、う、なのでしょう …… ?」
「干支十二支で、4番目だからでございますよ、うさ ―― 」
うさぎが、と。白波は言おうとしたのだけれど、目の前で愛する夫が青ざめているのに気付き不審に思う。そしてはたと思い当たった。
「フランシス様。よもやと思いまするが、まだ、うさぎが苦手でございますか?」
うるうるっと潤んだ目で、彼女は夫を見やる。
「そ、そんなことは …… ありません、よ」
声が震えてます。やせ我慢であるのは一目瞭然。そんな彼の姿に白波は一層目に涙を浮かべて呟いた。
「嘘を仰らないでくださいまし。わたくしは、悲しゅうございます …… 」
よよ、と泣き崩れんばかりに彼女は袖で顔を覆ったその時。

ぽぽぽん!

っと、マヌケな音と煙を立てて、白波が縮んでしまったではないか。
で、白波がさっきまでいた場所に座っているのは ―― 白兎(しろうさぎ)
で、だ。
もしこれがある程度覚悟の上だったのなら、フランシスだって耐えられたのだ。
他のはダメでも、白波の白兎だけは大丈夫なハズ、なのだから。
でも、ね。今回はあまりにも唐突過ぎた。覚悟する前に唐突に現れたうさぎに、フランシス、いつもの通り。

「うさ …… っ」

と言って、失神。
残された白波は悲しみの中で
『フランシス様、酷うございますーーーー 』
と言うが早いか(とはいっても、人語ではないので他の人間には理解不能)、脱兎の如く…… いや、文字通りだから”如く”はいらないか。
と、とにかく、脱兎で館を逃げ出したのである。

◇◆◇◆◇

一目散に走り出し、気づけば聖獣の聖地の森の中。とぼとぼ、というかぴょこぴょこと歩きながら、白波はつぶやく。(以下、白波の兎語は二重括弧でお伝えします)
『ああ。せっかく佐保様にご助力いただいたというのにこのていたらく、会わせる顔がございませぬ。佐保様や泰山翁であれば、慰めもしてくれるやもしれませぬが、母様や ―― ましてや姉様に知られようなら、それみたことか、人間などと生活がともにできようかと嫌味を言われるに違いありません』
どうやら、白波には頭の上がらぬ姉君がいる模様。
それはともかく、いちおう説明しておくと。前回お互い思いあう気持ちゆえに、人間になれたという設定の白波。(桜闇異聞・嫦娥参照)
だから、その気持ちにちょっとでも陰りがでると、たとえば喧嘩なんかしちゃうと、うさぎの姿に戻っちゃうわけです。強引な設定ですが、ほら、ギャグだから。これ。
そう、だから元に戻るためにはともかくフランシスのもとへ行き、心通いあわせなければいけないのだけれど、成り行きで逃げちゃったわけだ。
白波は意を決してフランシスに会うためにぴょこぴょこと歩き出す。
太陽の位置から察するに、そろそろ彼は宮殿へ出仕する時間帯。さっき失神してたんだから今日は休みじゃないのか?という疑問もあろうかと思うが、失神したごときでいちいち出仕を控えてたら、彼はクラヴィス以上の職務怠慢状態になりかねない。ので、いつも彼は意識が戻ったら通常の生活に戻って、大事をとって休息、とかはしない。案外仕事熱心である。闇の守護聖のくせに。
そんなわけでここは、彼女も宮殿へ向かうのが賢い選択だと思われる。もっとも、何の障害もなければ、の話なんだけどさ。

そういってるそばから、第一の障害登場か?そばを流れていた小川をカヌーがひとつ通ってゆく。カヌーの上には当然、毎度おなじみお騒がせ守護聖ユーイ。で、ユーイは気づいちゃったわけだ。川べりをとぼとぼといった風情で歩いていて、人を怖がる気配のない白うさぎに。

「おっ、うさぎだ。お前どこへ行くんだ?こんなに近づいても人を怖がらないなんて珍しいな」
『ユーイ殿ごきげんよう。このような姿をしておりまするが、白波に御座います。これから、宮殿へゆくところ。…… もし、よろしければ、そのカヌーに乗せてくださいませぬか』
「どうした、こっちみて。もしかして、カヌーに乗りたいのか?よし、乗せてやるぞ。ぴょん吉」
『 …… ぴょん吉ではありませぬ。白波にございます』

フツーにうさぎに話しかけるユーイと、それに返答する白波。
ユーイには白波の言葉は聞こえないけれど、何故か無難に会話が成立している模様。
勝手にぴょん吉とか、呼ばれちゃって、多少不満はあるものの、白波、無事カヌーに乗り込み、あっという間に宮殿へ。
フランシスの部屋はユーイの部屋の隣だから、ついでとばかり、ユーイにおとなしく抱えられたまま白波も宮殿の中へと入る。さあ、あと少しで愛しのフランシス様の所へいけるぞ、白波。
ところがどっこい、このギャク創作でそう簡単に話が進むわけない。
ユーイの部屋へあとちょっと、というところでおもむろにひとつの扉が開きました。水の守護聖様の部屋の扉です。そして、部屋を出ようとしたティムカとユーイ、ご対面。
ティムカは目ざとくユーイの抱えている白うさぎに気付きました。彼の笑っている口の端が、ひくりと引きつったのはたぶん、気のせいじゃないと思う。
「おはようございます、ユーイ。今日もいい天気ですね」
当たり障りのない時候の挨拶をしてから、おもむろに本題に入る。

「ユーイ、あなたが今手に抱えてるのは、なんですか」
「見ればわかるだろ。うさぎだ。ぴょん吉」
『ぴょん吉ではありまぬ。白波でございます。ティムカ殿、おひさしゅう』

もちろん白波の声は聞こえないから、ユーイの返事だけを聞いてティムカの笑顔がまたひくりと引きつった。
「ユーイ……。忘れたのですか?以前、あなたが連れてきたぴょん太のせいで、大騒ぎになったことを。フランシスが失神して、大変だったじゃないですか」
どうやら、過去にユーイがつれてきたうさぎのせいで、大騒ぎになった前科があるらしい。
「今度は大丈夫だ。ちゃんとフランシスのところに行かないように見張ってる」
『それでは困るので御座います。フランシス様のところに行きたいのですから』
「この間もそういっていて、結局逃げ出したじゃないですか」
「かといって、檻にいれるのも気が進まないぞ。それに、こいつなんだか聞き分けいいみたいだから、大丈夫だ。な、フランシスのところへはいかないよな?」
『いえ、ですから、それでは困るのです …… 』
ふるふるっと首を振って、白波はユーイの腕を飛び出して、フランシスの部屋へ一目散。
「ああっ!こら、ぴょん吉!」
「ああ、誰かそのうさぎを捕まえてください!」
と、二人の守護聖が叫んだところに、向こうから歩いてきたのは何かの用事でこちらに来ていた神鳥の緑の守護聖、マルセル。
彼は走ってきた白波をひょい、と抱き上げた。
じたばた暴れるも、何ともし難く、あえなく白波捕獲。
ユーイとティムカも駆け寄ってきて、一安心とほっとため息をつく。

「こんにちは、ふたりとも。いったい、どうしたの?」

不思議そうに聞いたマルセルにかくかくしかじかと。
ティムカとユーイは事情を説明する。
「連れてきて悪いことをしてしまったかな。かといって、この辺で放すとまた、いつどこでフランシスと出くわして騒ぎになるかわからないな」
『いえ、ですから …… (以下略)』
マルセルはなるほどと頷いて、
「じゃあ、僕と一緒に向こうの聖地に行こうよ、うさぎさん」
おいおい、いっくらフツーの野生のうさぎだって勝手に違う宇宙に連れて行っちゃヤバいだろうよ、という突っ込みをしたいのはやまやまなんだけど、ここはしないでおこうよ、ほら、これギャグだから。
で、あれよあれよという間に、哀れ白波は神鳥の宇宙に連れてこられちゃいました。
悪気のないマルセル、白波を森の入り口に放して。
「じゃあね、つかまっちゃダメだよ」
なんて言ってどこかへ去ってしまう。
さて困ったのは白波。しばらくどうしたものかと思案していたけれど、ぱっとひらめいた。ここは神鳥の宇宙。元はといえば彼女の出身はこちらです。この際、外聞など気にしていられないとばかり、彼女は佐保姫の桜を探し始めました。


広い聖地の森、小さな体で走っては休み、走っては休み、としている間に時間はどんどん経っていって。
いつやら昼も過ぎ、早太陽は午後のもの。
それでもとにかく頑張って、さあ、佐保姫の桜まであと少し!と思ったその時。
向こうから響いてきた馬蹄の音。
これは不穏な、と振り向いたその瞬間、まさに蹄が踏み潰さんとばかりに間近に迫ってきているじゃないですか。

白波、再び脱兎。

走り去った後方から、鋭い馬の嘶きと、それをなだめる声、さらに
「どうしたのだ?オスカー」
「いえ、今、白兎が ―― 」
などという会話が聞こえたところを見ると、どうやら遠乗りルートに足を踏み入れ、執務終了後のひとっ走りに出くわしちゃった模様。

さて肝を冷やしたあまりに一目散に逃げ出して、はたと気付いたとき、彼女は深い森の中。
左右を見渡してみても、佐保姫の桜がどちらの方向かさっぱりわからない。
ここにきて、なんだか空もだんだんさびしい夕暮れ空になってきちゃってさ。
心細さもひとしおです。
そのままふらふらとさまよいながら、

『フランシスさまぁ …… 』

思わず愛しいあの方の名前を呼んじゃったりもするけど、なんつうか。
冷静に考えて、こういう場面で颯爽と助けに来てくれるキャラじゃないよね。彼。可哀そうに、白波。
でも、その時、何故か。
最愛のあの方の気配に似た何かを白波は感じた気がする。

『フランシス様 …… ?』

彼の気配のような、そうでないような。
違うんだけれども、同じ。同じなんだけれども、違う。
その気配。
何だか、わかります?

そう、闇のサクリア。

第三者的にはその気配の先に誰がいるかバレバレなんだけれど、当事者はそれがなんだかわからぬままに引き寄せられるよう向かってみると、美しいハープの音色が聞こえてきて、お約束BGM係リュミエール様もいらっしゃる模様。

そして入り込んだ、夕暮れ時の闇の館の庭先。
果たしてそこには、相変わらず無気力にリュミエールのハープに耳を傾けている、神鳥の闇の守護聖。
館が近づいてきた時点で、白波とてそこにいるのがフランシスじゃないってことくらいはわかっていたんだけれど、藁をもすがる思いでここまで来たわけだ。

ひょっこりと顔を出してみると、最初にリュミエールと目が会った。
「クラヴィス様の館には、よく動物が訪れますけれど、今日は可愛らしい兎のようです」
にっこり笑うリュミエールに、ちょっと安心した白波はひょこひょこと彼らの前へと歩み寄る。
「おや、ずいぶんひとなつっこいのですね?」
小首をかしげたリュミエールのその後ろから、ちらりと視線を投げたクラヴィスの表情が、わずかに動いた。
向けられた紫水晶の瞳をまっすぐ捕らえ返して、白波は(人間の姿だったらたぶん)たおやかに(みえるだろう)会釈をする。

『神鳥の闇のお方、おひさしゅうございます』

クラヴィスの眉の根が寄って、ひとつため息をこぼす。
「 ―― まったく、面倒なことだ …… 」
「何か仰いましたか?クラヴィス様」
怪訝そうに聞くリュミエールに、クラヴィスは兎を物憂げに指差してこういった。

「その兎、聖獣の闇の守護聖のところまで …… 届けてやれ」

いつもどおり、リュミを使いっ走にするクラヴィス。
でもそのくらい、自分でやってやれよ。
フランシスの兎嫌いは周知の事実のことだから、わざわざ彼の元へ兎を持ってけ、なんて言われて、心優しいリュミちゃんが、軽い混乱に陥っちゃったじゃないか。

―― ああ、まさか、ク、クラヴィス様が、フランシスに嫌がらせを?!
―― そんな、このお優しい方が!ジュリアス様になら兎も角!

ほら、ね。
っていうか、ジュリアス様になら兎も角、なんだ?

◇◆◇◆◇

それでも「その兎はフランシスのものだから、彼の元へ返すべきだ」という趣旨の説明を言葉少なながらにもクラヴィスから受けて、まあ親愛なるクラヴィス様が嫌がらせなどの目的のためにこのようなことするはずが無い、という信頼の元。
ウサギを抱えて聖獣のフランシスを訪ねることになったリュミエール。
彼に抱えられて白波もひと安心です。
既に日も暮れておりましたが、無事聖獣の聖地の宮殿の、闇の執務室の前までやってきました。
扉を叩こうとしてやはり、躊躇いの出てしまうリュミエールに痺れを切らして、白波はひらりと腕から飛び降りて、扉をカリカリと引っ掻きます。
仕方なしにリュミエール、ノックをしてみましたが、部屋からは返事が無い。
そっと開けて中を覗くと、どうやら留守のよう。

きっとフランシス、白波を探して東奔西走中なんだよ思うよ。
まさか、神鳥まで行っちゃってるとは考えても無いだろうけどさ。

「留守のようですね」
『その様でございます』
「フランシスの館まで、足を延ばしてみましょうか」
『ご足労おかけしますが、よろしくお願い致します』

リュミエールの独り言に律儀に返事をする白波。ここでもなんとなく会話成立中。
と、その時扉のほうに気配を感じでリュミエールが振り向くと。
心痛のため一日にしてちょっと面やつれして青ざめたフランシスが立っている。リュミエール、一瞬彼が兎を見つけたがゆえに顔面蒼白になったと勘違いして
「ああ、その、フランシス。これには訳が ―― 」
と、彼には責任も無いのに弁解をしかけたのだけれど、その言葉も半ばに、一人と一匹がまろびあって駆け寄って、ひし、と抱き合った。いや、抱き合ったっつっても兎と人間だから、こう、フランシスがウサギを抱き上げただけの色気の無い構図なんだけどね。 流石にこの展開にリュミエールも面食らったわけだけれど。
聖獣の闇の守護聖が涙ながらに、真剣に、

―― ありがとうございます。
―― この兎をずっと探していたのです。
―― 私はこの兎と、共にありたいのです。

と、滔々(とうとう)と語り、礼を言うものだから。彼もふわりと微笑んで。
「お役に立てたなら、何よりですよ、フランシス」
と。
後はその場を去ってゆきました。ちょっぴり、兎嫌いがいつの間に兎マニアになったのだろうと、不思議に思わなくも無かったけれど。でもほら、個人の趣味には何も言うまいと考えたのよ。リュミちゃん、オトナだなぁ。

さて残された二人と一匹。
白波が兎の姿のまま、首をかしげる。

―― 先ほどの言葉は、本当でございますか?

そう言っているのがフランシスにはわかったから。

「ええ、本当です。今朝のことは、幾度謝っても済むことではないのはわかっています。けれども、私は、レディ ―― あなたなら。あなただけが」

さてそのときに、雲居に隠れていた月がさあっと姿を出し、硝子を透かした月影が二人を照らす。
兎の姿が月光に溶けるように滲んだかと思うと、あら不思議。
無事、人の姿に戻った白波がそこに居ます。

「わたくしも、悪かったのでございます。貴方がわたくしを今なお怖がっているなどとは思ってはおりませぬ。他の兎がどうであろうと、わたくしをこうして想うてくださるなら、わたくしはそれを嬉しいと、思うべきでしたのに」

お互いにちょっぴり反省をしあい、沢山の愛情を伝え合って。
微笑んで、口付けを交わし、再びきつくきつく抱きしめあって。
まあ、あとは野となれ、山となれ。
新婚さんだしね。仲良くやっちゃってくださいな。

お邪魔虫の第三者は、ここいらで退散することにしましょう。

◇◆◇◆◇

さて。らぶらぶしてる二人をおいて退散してきたわけだけど。
ちょっと十分ばかり、時間を戻してみる。
それは、白波をつれたリュミエールが、フランシスの執務室の前でちょっと躊躇っていたその時のことだ。
フランシスの執務室のひとつ間を挟んだ右隣。
宮殿を退出しようとしていた我等が(?)聖獣の水の守護聖・ティムカ様が、そんなリュミエールの姿をうっかり目撃してしまいました。
青年、大混乱。

―― リュミエール様が、いったい何を。兎を、つれて …… あの部屋は …… !
―― ああ、まさか、リュ、リュミエール様が、フランシスに嫌がらせを?!
―― そんな、あのお優しい方が!オスカー様になら兎も角!!!!



っていうか、オスカー様になら兎も角、なんだ ?



―― オシマイ。

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いつも言うことではありますが …… やっぱり、ギャグは熱いうちに打つべきでした。
去年6割書き上げた時点で5月になっちゃいましてね(笑)
今年無理やり書き上げたはいいけど、なんか、ツマンナイよね(身もふたもない)。

ラスト、本当はチャーリーを出したかったんですよ。
チャーリーとティムカの会話、あるいはチャーリーのカン違いでオトしたかったのよぅ。
でも、なんか、いまいちしっくりいかなくってね。諦めました(泣)

ティムカだとなんかね、オチに使い慣れてるもんだから(コラ)、まあ無難な感じがするんですよね。
単に書き手としてそう思うだけであって、読み手としてはチャーリーでも違和感ないのかなぁ(笑)

2007.04.10 佳月拝