虚空
〜レヴィアス〜


◇◆◇◆◇

―― ねえ、レヴィアス。
―― ふたりの人間が同じ時代に生まれて、出会い
―― こうして想いを重ねて同じ時を過ごせるというのは
―― いったいどれだけの確率なんだろう。

と。
初めて共に迎えた朝に、おまえが言った言葉は。
もう何の意味もなさなくなった。

出会うことが偶然であるなら。
人である身であれば別れはいわば必然とでも言うのだろうか。
それでも、それは本来。

こんな唐突な形で訪れるものではなかったはずだ。

エリス。
昨日、悲しげな笑みを零すおまえの手首を強く掴んで引き寄せた。
そのときのおまえの体は、間違いなくあたたかだったというのに。

おまえのいない夜が去り。
もうじきいつもと変わらぬふりをした朝が来る。

―― 夜明けのこの朝の光差す瞬間が好き。
―― 落ち込んだことがあっても、なんだか元気が出る。
―― って、いま別に落ち込んでるわけじゃないからね!
―― とても、幸せよ。

朝の光が、なんだというのだ。
何も、感じはしない。
何も、見えはしない。
いや、あえて言うなら。

おまえがいないのに。
いつもと変わらぬ顔をしているこの宇宙を。

はじめて心から憎いと思った。

その憎しみを。
おまえを失ってできた(うろ)に埋めてゆく。
いくら埋めても満たされることが無い。
けれども、いくら埋めても、溢れる憎しみも尽きない。

これからは、それが俺の支えとなるのか。

おまえなら。
憎しみは何も産まない、などと。
そう俺に説教するかもしれない。

なら、何故おまえは今ここにいない。
何故、いない?

虚空の天を仰ぎ見る。
なにもかもが、俺を置き去りにしたまま。

朝が、始まろうとしている。


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アリオス×エンジュでネタをひねり出していたらいつのまにかレヴィ×エリスになった。(何がどうなるとそうなるというのだ)
2005.08.13 佳月