眠れない夜は
〜メル〜
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浅い眠りから目がさめる。
幾度もまどろんで、目がさめて、どきどきして、またまどろんで。
そんな繰り返しで迎えた朝。
穏やかな、朝。
でも次の瞬間にまた僕は昨夜のことを思い出して、心臓が飛び上がりそうなほど、どきどきしている。
隣に眠る人の肌の暖かさを確かに感じながら、僕はそっとあなたの方を見た。
幸せな夢をみているのか、あなたは微かにほほえみを浮かべてる。
でも、もしかしたら。
僕はあなたの耳元にそっと囁きかける。

「ねえ、もう起きてる?」

そして。
まだ眠っているなら起きないように。
けれども、起きているなら目をあけてくれるように。
ふっと、耳に息を吹きかけた。

あなたはくすぐったそうにきゅっと肩をすくめて、目を開けて。
そして僕の悪戯をちょっと責めるように拗ねた表情でこちらを見る。
でも僕は知ってる。
その表情はきっとあなたなりの照れ隠し。
僕は自分のどきどきをなるべく悟られないようににっこり笑う。

「起きてたんだね、。ちゃんと眠れた?」

あなたは肯定するような、否定するような曖昧な表情で微笑む。
そして、あなたは?って、聞き返されて僕は思う。
ああ、そうか。
あなたももしかしたらどきどきしていつものようには眠れなかったのかもしれない。
そうしたら、ひどくあなたが愛おしくてたまらなくなった。
本当は、よく眠れたよって、ちょっと余裕があるフリをしてみようかなんて。
考えなくもなかったんだけれど。
なんだか、そんなことはばかばかしいって気付いて。
あなたを抱き寄せてこう言った。

「僕は …… すこしだけ。 …… おはよう」

腕の中であなたが頷いたのがわかる。
そしてあなたが呼吸をするたび、裸の胸にかかる息がくすぐったくって。
だから、あなたのくちびるをふさぐように、くちびるをあわせた。

こんなに素敵などきどきで眠れない夜ならば。
幾日あったって僕は全然困らない。
だけどこの先沢山の夜と昼とを共に過ごすうち。
違う理由で眠れない日だってきっとある。
でも、約束するよ。

それは僕たちだけのおまじない。
あなたが眠れない時には、ずっと腕に抱きしめて愛していると囁くから。

だから少しだけ、我ままを言っていいい?
僕が眠れない時には。
愛してるといって、そしてくちづけて。

あなただけが。
僕におまじないをかけることができるんだから。

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ノリノリで書いてしまった。大人になったメル、萌えます…(白状しちゃったよ)
05.05.26執筆、08.01.14再録