このやわらかなレースの中で


天涯から下がる幾重にも重なったレースの中で私は幸せなこの(うつつ)を想う
そなたのほのかに輝く滑らかな薔薇色の肌、森の緑を映しこんだ瞳
天の日輪さえ霞むまばゆい黄金の髪
この腕にいだくことを幾度夢見たことか
けして壊さぬようやさしくそなたに触れて
星を数える如ひとつひとつその体に刻印を残す

私の囁く言葉のすべては
抱きしめてくちづけてなおも溢れくるそなたへの熱い想い
甘やかな吐息でそれに応えて欲しい
そして我らは共に
陶酔の入り交じった夢の中に

そなたを腕に抱きしめて私はいつも幸せなこの(うつつ)を想う


(このやわらかなレースの中で ―― オペラ「マノン・レスコー」第2幕から)


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