ルヴァの安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティプ)シリーズ・その1

聖地に降る星

(あとがき)


いわゆる、「日常ミステリ」を書くのが夢でした。
殺人事件が起こらない、日常の中で起きるちょっとした不思議。それを解き明かしていくと、意外でやさしい人の想いが見えてくる。そんな小説を、です。
しかし、ミステリに不可欠なトリック。それが考えつかないというなんとも致命的な問題がありまして(笑)
まあ、そんななかでもようやく思いついたのが今回の作品の元になっているプロットと、もういっこ残っているプロットです。
もっとも、私の書いたトリックや動機はけっこう使い古されているんじゃないかな、と思うわけで……
そんなわけで、アンジェの世界に書き換えてほのぼのテイストの創作にさせていただきました。
ラストの流星オチなんか、アンジェ世界でないと書けないですからね。けっこう、爽快。
半面、聖地に病院があるという、ちょーっと開示されている公式設定からみるとダウトっぽい設定を無理やり作ってしまった点は、大目に見ていただけると……。
今回のトリックのナトリウムと水による燃焼は、昔高校のとき化学で聞いて、「いつか、絶対ミステリのトリックに使ってやる!」と思ったものでした。
案の定、某有名作家さんの名作に既に使われておりましたが、今回無事使えて満足しております。

アームチェア・ディテクティプ――安楽椅子探偵役に、いったい誰を当てはめるか。少しだけ、悩みました。だって、クラヴィスにだってできる役かな、って思ったので。
そしていわゆるワトソン役は補佐官で恋人のアンジェという、べたべたな(笑)
でも彼の場合、なんか水晶球で情報そろえちゃいそうで、それってミステリとしては反則。
(今回だって、きっと彼はわかってたはずなのよ「流星」と言った時点で(笑))
結果、当初の予定通り、ルヴァとゼフェルのコンビで書き上げました。
楽しんでいただけたなら、とても嬉しく想います。

ああ、ルヴァの決め台詞「この世界には、不思議なことなどなにもないのですよ、ゼフェル」とか言わせたかったんですが(二次創作の強み)、アンジェの世界は不思議に満ちているので断念しました。

しかし、主人公ルヴァのつもりだったんですが……終わってみたらゼフェルが主人公にしかみえないですね。
おっかしいなぁ。ま、いっか。
ミステリ以外のテーマがもう一つ。
天球儀のメインストーリー、「月さえも眠る夜」シリーズでは、ゼフェルの成長を促す本来ルヴァの役割であろう役をオリジナルキャラクターの美幻にさせてしまったため(「梨花の散る夜」)、こちらのシリーズでもいっかいゼフェルにはちょっぴり反抗期に戻ってもらって、ルヴァに本来の役をやってもらいました。

しかし、聖地の微妙な恋愛模様が見え隠れ。さあこのあと彼らは?!
次回へと続く…… のか?(笑)

(トリックさえ思いつきゃ、いくらでも続きかけるんだけどねぇ……)
2004.08.29 佳月 拝

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