なかよしこよし



聖獣の宇宙。
あいかわらずな日が続いています。
ユーイがみんなにとんでもない質問して回ったと言う噂はあるけど。
っていうか、本当に聞いたのか。
懲りない奴だ。
せっかくだからその回答をまとめて『聖獣聖地タイムズ』とでもして発表してくれないだろうか。 ぜひとも。
さて。
ティムカとメルと、ユーイ。
聖獣の宇宙お子様トリオ。
お子様というには一部微妙だが。
今日も仲良くお茶を飲んでいるようです。
どんな、会話をしているんだろか。
かなり気になるな。

◇◆◇◆◇

「メル、女王陛下直々のお呼び出しがあったって聞いたんですけど。何か重大なことが?」
ティムカちょっと憂い顔。その表情が素敵。(←個人的意見)
「うーん、重大っていうか、なんていうか……」
「なんだ、歯切れ悪いな。じいちゃんが言ってたぞ、吐いちまえば楽になるって」
君のじいちゃんは、きっと刑事ドラマの見すぎだ。
「あ、でも極秘ということでしたら無理には」
「ううん、明日にはみんなにもお話しがあると思うから。実はね」
なんだ、なんだ?
「女王陛下が仰るには、神鳥の宇宙みたいに手遅れにならないうちに対策を立てようって」
「ええと、それはいったい?そもそも神鳥の宇宙が手遅れって…… 穏やかではありませんね」
「俺にもさっぱり意味がわからないぞ」
いや、なんとなく想像つくぞ。アレだろ?アレ。

「守護聖同士の、親密度。ラブラブフラッシュをかけるよう指示がいくかもって事前に言われたんだ……」

やっぱり、そういうことか。
メル、ちょっと嫌そうだ。
でも、聖獣の女王、なかなかいいところに目をつけてるじゃないか。
いい考えだと思うぞ。
「ああ、だから神鳥の宇宙が手遅れ。納得しました」
納得するな、ティムカ。
「ラブラブフラッシュって、あれか?以前ネネがやってたやつか?メルもできるんだ、すごいな」
ユーイ、何故ネネがしてたことを知っている。
おまえ、もしかして頼んだのか。相手はエンジュか?
「うん、できるよ、水晶球で。陛下が女王候補時代、それでお手伝いしたんだ。僕」
そうそう。そうだった。
君と女王候補の親密度はおかげで速攻で上がったけど、スルーされることも多かっただろうに。
頑張ったな。メル。
「ふふ、私もお世話になりました」
そうなのか?ティムカよ。相手はコレットか?
「へえ。水晶球でできるのか!じゃあ、もしかしたらクラヴィス様もできるのか?」
えーと。
それは。
「出来る、出来ないは別として、あの方の場合その姿が想像できないですね」
ティムカらしく台詞はお行儀いいけど。
直訳すると『彼がラブラブフラーッシュと叫んでいる姿は無気味』という意味か。それは。
「うーん、クラヴィス様じゃラブラブクラッシュになっちゃうかも」
メル、それ洒落にならないから。
っていうか、そのネタ古いし。
「そうか、ラブラブクラッシュなのか!」
ユーイ、信じるなよ。お願いだから。
それと、頼みに行ったりするなよ。お願いだから。
「そうですか、ラブラブクラッシュなのですね。ふふっ」
おい、ティムカ、『ふふっ』って。
何を遠い目をしている。何をたくらんでいる。
まさか、頼むつもりじゃないだろうな。
いったい誰と誰の相性を下げたいんだ。
わかった。コレットとアリオスだろう。
君はいったいいつからそういうキャラになったんだ。
黒リュミならぬ、黒ティムだよ。
水の守護聖の伝統なのか、それは。

「あんまりね、気が進まないんだ」

「あれ、どうしててすか?あちらの聖地のように収拾つかなくなる前に手を打つのはいいことだと思いますけど」
だから、言葉は丁寧だけど何気にきついって。ティムカ。
「そうだ、仲良くするのはいいことだぞ。じいちゃんが言ってたぞ、仲良きことは美しき哉」
そうだな、仲がいいのは、いいことだな。
さて。
どうして気が進まないんだ?メルよ。

「だって、まかり間違って森の湖ではちあわせして音楽変わっちゃったらどうするの?嫌だよ、僕」

イヤだな。それは。絶対。
というか、メル、女王試験時代その危険性を認識した上で男同士にラブフラかけていたのか。
だとしたらすげえ問題だぞ。
「そ、それは……嫌ですね」
ティムカ憂い顔。その表情が素敵。(←しつこい)
「なんだそれ。意味がわからないぞ」
ユーイ、君はわからなくていいから。

「男性同士でも、効き目、あるんですか?」
あるんだな、それが。あくまでも友情範囲でだと信じているが。
「あるよ。女王試験の時、試験が円満に進むよう実際頼まれたもの」
闇と光あたりか。
しかし、試験が終わったら元のもくあみだったな。
有効期限つきなのか。
「メル、まさかとは思うけど女王試験時代、私も対象に入っていたりしたんですか?」
穏やかな物言いだけど。
返答如何によっては、友情にヒビが入るのは間違いないと見た。
「ううん。協力者3名はそもそも対象外だったし、ティムカやヴィクトールはみんなと上手くやってたから、頼まれなかったよ」
そうそう、確かにティムカや、ヴィクトールはみんなと初期親密度が50以上だったから。
あれ?
誰か、忘れてる。
「ということは、今名前の挙がらなかった残り1名は上手くやってなかったのか?」
あいかわらずストレートだ、ユーイ。
……ところで、何か、背後に気配を感じないか?
うわああああぁ。

「そうだね、何気にセイランって名前が今入ってなかったけど?」

「うん、だって頼まれたから。ジュリアス様とラブラブフラッシュ……って、あっ、セイラン……」
…… メルよ、致命的なことを言ってから気付くな。
ティムカ、今日もやっぱり凍ってます。
ユーイも先日で懲りたか、凍ってます。
可愛そうに、メル、誰もフォローしてくれないね。
ああ、セイラン様。あいかわらずお美しい絶対零度の微笑み。

「試験の途中から、妙に彼と話しが合うようになった気がしてたんだけど、そういう理由だったのかい」

やっぱり効き目、あったんだね。(でも過去形)

◇◆◇◆◇

結果。
メルとティムカ、ユーイそれぞれの親密度、微・ダウン。
メルとセイランの親密度、中・ダウン。
ジュリアスとセイランの親密度、片方の当事者が知らないところで。
―― 激・ダウン。
聖獣の女王の目論見、早くも失敗か?

ああ、あと。
コレット陛下とアリオスの相性が下がったかどうかは未確認。


―― オシマイ
◇ Web拍手をする ◇

◇ 「虚無の本棚」へ ◇

すみません、すみません、すみません。
またセイランオチに使ってすみません!
前回よりは、おとなしい内容だったかな。
ははははははは……。<虚ろな笑い

しかし、何気にシリーズになってるな。これ。