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セプターズカップ大阪予選


松岡のレポート

8/29日曜日、快晴。大阪の空はマナより青く、降り注ぐ灼熱のエナジー。リクルートビルが見つからずに大阪駅周辺をさまよう私。気分はドラウト、時々アンチエレメント。 ドトール飯ののち、会場入り。広くてゴージャス。タダジュースあり。福岡には無かったな。

大阪予選はA,Bブロックに分かれて行われ、一回戦から2つ勝ち抜いたA,B各4人のセプターが全国大会に出場できる。 一回戦は22台のテーブルで行われ、77人のセプターから22人が勝ち抜け。シード参加者5人を加えた27人で二回戦が行われる。 組合せを見ると、一・二回戦の多くは3人対戦だが、松岡の初戦は4人対戦。初戦でシード同士が当たる唯一のカードである。

全然シードになってないっつーの(笑)
それに、トーナメント表の右隅っていうのが福岡予選を思い出させて不吉だ。

[一回戦]
私の初戦となる二回戦で当たるシードセプターのゆたか氏と顔合わせ。彼はトイプラザ光明池店の店舗大会優勝者である。 「まいったねぇ」と、お互いに組合せの悪さを嘆いたあと、勝ち抜けてくるセプターのプレイぶりをチェックするため、21,22番モニターの後ろに揃って陣取る。

この一回戦ブロックのセプターは6人共、普通のカルドセプト的なブックであり、「目指せ王国30ラウンド制」という見地からすると、やや戦闘に比重が置かれた構成と言える。 自力でゲームを引っ張って逃げ切るタイプのブックではない。 クリーチャーは汎用的なセレクト。あれもこれもという感じだ。もちろんスペラーはいないし、妨害系セプターもいない。 これならば、自分のブックをきっちり回すだけで勝てる可能性が高い。問題はゆたか氏。当面は彼をマークすべきだろう。

B10ブロックは、レベル4ケルピーに突っ込んでおいて、 「あれ?しまった、こいつ足止めだったっけ?」と、たにだセンセもびっくりの大技が繰り出され、思わぬ通行料を得たケルピー使いのカイリ氏がリード。 だが、終了直前の土地レベルアップがぎりぎり届き、リューネ氏が逆転で勝ち抜ける。

目指せ王国 30ラウンド終了時
順位 セプター 魔力 枯渇
1 リューネ 3369  
2 カイリ 3317  
3 エース 2013  


B11ブロックは、QUW氏が序盤からショップ横の地属性をレベル4まで上げる強気の作戦でリードを築こうとするが、デコイ+ライフジェムの特攻に対して何故かグレムリンアムルを使わず、土地は空き地に。 これをタカシ・りゅうじ両セプターが城周辺をぐるぐる回りつつアンサモンや移動攻撃の応酬で奪い合ったが、それとは全く関係無く淡々と周回して立て直したQUW氏がトップを奪い返した。

目指せ王国 30ラウンド終了時
順位 セプター 魔力 枯渇
1 QUW 4331  
2 タカシ 2792  
3 りゅうじ 2350  


対戦相手が決定し、知り合いのシードセプターと歓談するゆたか氏を横目に、対戦会場の外へ。 福岡予選ではつい服用するのを忘れてしまったドーピング剤を取り出し、食道の奥深く流し込む。 ミューテーション。胸の底が熱く焼け、たにだ氏のスカシた台詞が頭の中をこだまする。 ....ここで決める。勝って、8.15の屈辱を打ち払うのだ。

[二回戦]
対戦テーブルには既にリューネ氏・QUW氏・ゆたか氏が着席している。軽く挨拶してコントローラを取り出す私に、QUW氏の台詞が突き刺さる。

「店舗シードの方ですね」

私の中で一瞬空気が凝縮し、切れの悪い受け応えが押し出されるようにこぼれる。「...ええ。そうです」。QUW氏の右目が三日月のように「すぅ」と光る。 まずい。よく分からんが今の会話は致命的だ。なんとかしなければ。

「あああ、しかしこちらのゆたかさんもシードセプターなんです、よ」

反射的に両肩を小さくすぼめるゆたか氏。QUW氏は微動だにしない。しまった。泥沼だ。押し黙った4人の呼吸音が会場の一角を冷たく支配する中、闘いの火蓋は切って落とされた。

ゲーム開始とともにチェックを入れると、ゆたか氏のブックは地属性ブックのようだ。なるほど、一回戦観戦中、あるセプターの勝利を嫌がっていたのは、属性が被っていたからなのだ。 主力はサンドマン、そして....マントラップ。高速周回と守備的クリーチャーのばらまきで優位を確保し、ドリアードで連鎖をサポートするこの手堅いスタイルは誰かに似ている。....くっ、たにだ氏か。

真っ向勝負を挑み、たにだ氏に逃げ切られた福岡予選から3週間。ここ大阪で、私はゆたか氏の王道ブックを上回ることができるのか?そして運命のライフフォースは....

っておい、オレ全然クリーチャー引いてこねーじゃん(;_;)
7ラウンドにもなってクリーチャーゼロ。リンカネーションも来ない。ヘイストとリコールだけはバッチリで、周回がガンガン進む。 とてもいけない雰囲気です。

9ラウンドでようやくクリーチャーを配置するも、QUW氏がジャッジメントにカーソルを合わせて考え込んでいます。もうダメです。せめて今すぐ使って下さい。あ、引っ込めちゃいました。 待ってます。あなた、間違いなく私を待っていますね?シャッター引いて来い!ライフフォース引いて来い!!

...ダメだ。城に到達してボーナスが入ってしまった。

もう土地レベルアップでかわすしかないが、レベル5まで上げると手持ち魔力が50を切ってしまう。 第一、守りに不向きなクリーチャーの土地をそこまでレベルアップして他人に奪われては最悪。仕方が無い、ここはレベル4までだろう。どっしん。

12ラウンド、松岡は致命的に出遅れる。東で連鎖を整え終わったゆたか氏を見据えつつ、リンカネーションしてマナ、リンカネーションしてマナ。淡々とした展開の中、西エリアを高速周回しながら手持ち魔力を回復し、残り少ない土地の確保に勝機を探る松岡。

だが、ゲーム半ばを過ぎた頃、レベルが上がり始めたゆたか氏の土地を嫌ったのか、QUW氏が周回エリアを西にチェンジ。 三つ巴となってしまった西エリアの小競り合いを嘲笑うかのように、東ですくすくと育つゆたか氏のサンドマン。

20ラウンド、ようやく松岡の魔力はゆたか氏に追いつくが、ゆたか氏は慎重に土地レベルアップを分散させ、余裕の抜け出しを開始する。 残り7ラウンド。このまま周回していては、あまりに態勢充分のゆたか氏に届かない。QUW氏とリューネ氏は淡々と手なりでゲームを進めている。私が行くしかないだろう...。ルナティックヘアかミスティエッグを呼び寄せたいが、それでは到底間に合わない。

左手にリトルグレイ、右手にグレムリンアムル。松岡は高レベルの地地形が立ち並ぶゆたか氏の東エリア拠点に単独潜入する。大佐、情報をくれ。 「まずは三叉路手前のドリアードにアタックして連鎖を減らすんだ。ソイツは西まで飛ばさないと意味が無いぞ」。

了解。唸れ、ゴールドフィンガー!...失敗。その上、素敵に牛歩。 「それを中国では“急がば回れ”と言うわ、スネーク」。言わねぇよメイリン。ボケかますと、帰ってカラダ調べたるで。

決戦を前に、遂にライフフォースが来た。ターゲットは当然ゆたか氏だが.....。「現在の魔力差なら2回のグレイアタックが可能。 だけど先にマナを使っておかないと、1回目のアタックが失敗した時に土地を手放さなければならなくなるわ」「ナオミの言う通りだスネーク。そうなっては全てが終る。ここはマナを先に使うんだ」

次ラウンドでゆたか氏はドレインマジックを引き、即使用。500G増加。その魔力は十中八九、最終ラウンドで土地レベルアップに使われるだろう。「....それは結果論だスネーク」。そうだな大佐。とはいえ、もう一発で決めるしか無くなった。

目の前に迫るは、レベル4ストーンウォールにレベル5サンドマン。ウサギ無し。タマゴ無し。こいつ(宇宙人)で行くしか。 今度は決めないと通行料がアツいぜ。行け、地球外生物!光れ!光れ!ひ・か・れぇぇぇーーー!!

「効果がなかった」

.....どうしたスネーク?スネーク!?スネェークーーッ!!!
ちゃっちゃらーらちゃら、ちゃっちゃっちゃ。(東京予選へContinue.)

目指せ王国 30ラウンド終了時
順位 セプター 魔力 枯渇
1 ゆたか 8221  
2 リューネ 3310  
3 松岡 3220  
4 QUW 3040  


おお まづぽか、しんでしまうとはなにごとだ。茫然自失の決勝観戦記。

[Bグループ決勝戦]
テンペスト、カタストロフィー。明らかにスペラーのデューク氏を警戒しながらのプレイとなるが、ドローサポートが無いデューク氏は思うように手札を揃えられない。 バリアーも無いため、溜まった魔力をドレインマジックで次々と吸われる苦しい展開。

ブック構成の差によって自然と優位に立ったゆたか氏は、属性の合わない土地へ防御型のマントラップを続けざまに配置していく。 本来ならサンドマンを置き、後から領地コマンドによって隣の地・無属性地形に移動させるケースなのだが、もちろんこれには理由がある。

メインの目的は、デューク氏のスペル対策。 テンペストを食らった場合、HP30のサンドマンは周回回復を挟んでもHP16までしか回復しないため2回目のテンペストで倒されてしまうが、HP60のマントラップなら最低2回のテンペストに耐えられるし、高速周回系のブックならば周回回復を計算できるので、4,5回連発されない限りは安泰である。

次に、相手に対するフェイント。序盤から魔力で上回るセプターがサンドマンで連鎖を整えてしまっては、あまりに万全すぎて他セプターの標的になってしまう。 そこで敢えて高コストのマントラップで魔力を消費する。連鎖していないので土地の価値も上がらない。見かけ上の順位は一時的に下がり、セプターのマークは数字上のトップに集まる。全てが計画なのだ。

スペラーがいるため、土地争いは3人。西エリアのデルン・こうじ両セプターに対し、ゆたか氏は東エリアで連鎖を徐々に整えるが、連鎖の仕掛けを強引に領地コマンドで300Gかけて行うため、依然として魔力的には目立たない。 そのためか、ゆたか氏盤石の状況にも誰も動こうとしない。二回戦の時と同じだ...

ゲームは後半に入り、デューク氏の攻め手が不発のまま消えたと見るや、満を持して攻めに入るゆたか氏。サンドマンを配置して土地レベルアップを始めるが、ここでも魔力をいたずらに増やさない配慮が光る。 ゆたか氏は他のセプターに連鎖を崩された時のフォロー要員としてドリアードを用意しているが、東エリアで余裕を持って土地を押さえられる状況にあるため、ドリアードを水地形に配置することで地地形連鎖を増やさないようにしているというわけだ。

ゲーム終盤、他セプターによるアンサモン使用のチャンス。松岡ならば、ドリアードを自分の進行方向前方の地地形に一旦飛ばし、領地コマンドの機会を増やすことによって危険回避を狙う局面である。しかし、ゆたか氏は動かない。 氏曰く、「それをやると、(目立って)アンサモンされやすくなる」。

結果的にアンサモンの被害を回避。効率・手数重視の松岡とは対極にある慎重駆け引きスタイルが功を奏した場面だ。

結局、ゆたか氏は最終ラウンドの土地レベルアップで魔力を引き離して堂々の勝利。全体としてほとんど動きのないゲームであったが、安定感抜群の先行差しは優勝にふさわしい勝利と言えるだろう。

目指せ王国 30ラウンド終了時
順位 セプター 魔力 枯渇
1 ゆたか 6419  
2 こうじ 4680  
3 デルン 2505  
4 デューク 1160  

[敗残兵、西へ]
セプターたちの歓喜に沸く会場を背に、ひとり大阪駅へ向かう松岡。蒸しあがる夏の雑踏の中、負け犬の足音が、ぽて、ぽて、と響き渡る。寒い。

ミスは無かった。と思う。リトルグレイで勝負に行ったのも良い判断だったと思う。飛ばしていればトップに並んでいたのだから。 が、実は...後付け的にではあるが、他のチャンスが発生したのだ。

松岡の東エリア遠征直後、リューネ氏はQUW氏の西エリアレベル4地地形へ移動攻撃を仕掛け、当然のように引き分けた。 倒し切れない戦闘であることは最初から明白であったし、それまで両者の動きが無かったこと、そこを巡る闘いが単発で終ったこと等からしても、非常に唐突な印象を受ける戦闘だった。残りカードに期待したのか、それとも「気は心」だったのだろうか?

戦闘後、レベル4の土地に残ったのは、スクロールでHP10に打ち減らされたマントラップ。その隣接地には...松岡のミスティエッグ! あの時、松岡がリトルグレイとグレムリンアムルを持って東へ遠征することなく、あのまま西を周回していたら.....その土地を手中に収め、連鎖によって伸びた魔力はトップに並んでいた可能性が高い。

果たして、あの戦闘を予想することは可能だったのだろうか...仮に出来たとして、エッグチャンスとグレイアタック、一体どちらの方が勝利に近かったのだろうか?

考え続けるのだ。
一週間後のラストチャンスを生き残るために。
そして、全国大会で私の戦いをするために。


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