「霞!出かけるわよ」
葉月は調教部屋の床に全裸で横たわる霞に言った。
「は...はい...」
霞はのろのろと身を起こし、葉月の足許に跪いた。
「そのままでも良いけど、今日はちょっと変わったことをしてあげるわ。これに着替えなさい」
「えっ?」
首をかしげる霞に葉月は赤い布を手渡した。
「御主人様...これって...」
「そうよ。ほら早くしなさい!」
手にした布を見つめて躊躇している霞に葉月の苛ついた声が突き刺さる。
「は...はい!」
霞はいそいそ着替え始めた。

「良く似合ってるわね小豚ちゃん」
「あ...ありがとうございます...」
葉月は着替え終わった霞の体をじろじろ見て言った。
霞に渡されたのは赤い水着であった。腰の部分にスカートに付いた子供用デザインの水着である。
まだ幼さの残る霞の体型にぴったりとフィットしている。
「手を出しなさい」
「はい」
霞がその細い両腕を差し出すと、葉月は黒革で出来た手枷を手首に嵌めた。そして、そのまま背中に回させ
手枷同士を金具で繋ぎ止めてしまった。
次に、ほっそりとした首にも黒革で出来た首輪を嵌めた。
「これでいいわ。さあ出かけるわよ」
「ま...待って下さい!何か着る物を...」
「何言ってるの!それを着てるじゃないの!」
「お願いします御主人様!何か上に着る物を下さい...」
霞は目尻に涙を浮かべ必死に訴えた。
「贅沢な牝豚ね!仕方ないからこのコートを着せてあげるわよ!」
「ありがとうございます御主人様」
頭を下げ礼を述べる霞の肩に葉月は薄手のコートを羽織らせた。
しかし、コートの前ははだけたままで、中の水着は丸見えになっていた。
前を閉めようにも後ろ手に括られているので、閉じることが出来ない。
「あの...前を...」
霞はドアの前で支度をしている葉月に恐る恐る訴えた。
「うるさいわよ!ぐずぐず言ってると裸で放り出すわよ!」
苛ついたように葉月が睨み付け、ドアを乱暴に開けた。
「お...お許し下さい御主人様...」
諦めたように霞が後に続いて調教部屋の外へと足を踏み出した。

夕暮れとはいえまだ明るい閑静な住宅地の路地を葉月に従うように霞が歩いている。
よろよろと足取りがおぼつかないのは、履き慣れないピンヒールのせいだけでは無い。
肩に羽織ったコートの下は、赤い子供水着一枚なのである。
おまけにコートの前ははだけられたままで、水着一枚の体はほとんど露出している。
後ろ手に括られているので、前を直すことも出来ないのである。
「ま...待って下さい...」
そんな霞の状態も気にせず、葉月は先に歩いて行く。霞が弱々しく訴えるの気にしていない。
(こんな所を誰かに見られたら...)
いつ通行人が表れるかも知れない。霞は通行人に出会うのが気が気で無かった。
「ご...御主人様〜...」
いつしか、霞の声は涙声になっていた。
霞はなんとかして葉月に追い付こうとするのだが、後ろ手に括られた上、不安定なピンヒールの為に葉月との間は開くばかりで
あった。
その上、急ごうとすると肩に羽織っただけのコートがずり落ちそうになってしまう。
葉月がどこに連れて行こうとしているのかを考える余裕すら無く、必死に後を追い掛けるのであった。

ひらひらみじゅぎ〜

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