「近ごろ、奴隷としての自覚が足りないみたいね。」
お姉様の表情が、いつになく厳しい様です。
いつもの調教部屋なのに、ピリピリした空気が満ちています。
「そ・・・そんな事はないです・・・」
今日のお姉様はどこか怖い。
ぎゅっと握りしめた指が、じっとりと汗ばんでいくのがわかります。
「最近甘やかしすぎてるってお姉様にも言われるけど、その通りかもね」
「そんな・・・」
「お黙りなさい!口答えすること自体、自覚のない証拠よ!」
そう言って睨み付けてくるお姉様に言葉を返すことも出来ず、うなだれるしかありません。
「今日は、厳しく行くから覚悟しなさい!」
「・・・・・・」
「返事っ!」
「は、はいっ、よろしくお願いします」
弾かれたように姿勢を正して、お姉様に深々と頭を下げました。
目尻に涙が溢れてきます。
「着ている物を全部脱いで、これに着替えなさい」
「はい」
命じられるままに、身につけた物を脱いでいきます。
肌が露わになるにつれて、冷たい地下室の空気が体を包みます。
冷ややかな目でじっと見つめるお姉様の前で、全てを脱ぎ捨て、生まれたままの姿になりました。
大事なところを隠すことは許されていないので、気を付けの姿勢で全てを晒します。
「これに着替えなさい」
「はい」
お姉様から手渡された黒いラバーの塊。
「んぅ・・・」
体を包み込んでいく冷たいラバーの感触。
お姉様の手で、背中のジッパーが閉められ、金具に鍵をかけられました。
私用に誂えられたスーツは、寸分の弛みもなく体に張り付き、もう一枚の黒い皮膚の様です。
不安定なピンヒールによろめきながらも、お姉様の前で次の命令を待ちます。
「よく似合ってるわね」
「ありがとうございます」
つま先から頭のてっぺんまで、舐めるようにお姉様の視線が這い回ります。
厳しい表情の中にも、どこか嬉しそうな雰囲気がします。
「縛るわよ、そこに跪きなさい」
「は・・・はい」
カチャカチャと金具の音が鳴り、ラバースーツの上から拘束具が締められます。
後ろ手に枷が繋ぎ留められ、膝と足首を押し付けるように革のベルトが巻かれます。
手足の自由を失った私は、お姉様のなすがままです。
「ここからが今日のメインよ。これを見なさい深雪」
お姉様は手にした金属製の円形の物を、私に見えるようにかざします。
漏斗?
その金属の物は、大きな漏斗のようです。
「これをお前が銜えるのよ、さぁマスクを被せるわよ」
「はい・・・」
自分の身に何が起こるのか判らぬまま、ラバーのマスクが被せられます。
目の部分の塞がれたマスクは、私の視界を奪い恐怖心を煽ります。
「これをこうして・・・」
マスク越しにお姉様の独り言が聞こえます。
「あぐっ!」
ぐぐっとマスクに包まれた頭が後ろに引っ張られ、強制的に上を向いた状態にされます。
カチャン
金具のかかる音がすると、頭を動かすことが少しも出来なくなりました。
上を向いた状態で拘束されたのです。
目が見えないので次に何をされるのか分からず、ただじっと震えているだけしかできません。
「んぐふっ!」
マスクに空いた鼻の呼吸用の穴から、鼻の穴に管が通されました。
痛い、ひどいですおねえさま・・・。
何の前ぶれもなく乱暴につき刺さった管のおかげで、鼻の奥がつーんと痛み、涙がこぼれます。
「さ、口を大きく開けなさい」
「あの、何を・・・」
次に何をされるのか分からない不安から、見えない目をお姉様に向けて問い掛けます。
「うるさいわよ、さっさと開けなさい!」
「は、はい」
私の一言で、お姉様を苛つかせてしまった様です。
有無を言わせぬお姉様の態度に怯えながら、マスクから露出した口を大きく開きました。
「おげぇ!」
冷たい金属の物が喉奥に届くほどに押し込まれます。
あまりの苦しさに声にならない悲鳴がこぼれます。
吐き出そうにも、舌を押しつぶして喉奥まで押し込まれた筒はびくともしません。
口の中一杯に拡がる金属の味。
これってさっきの漏斗!
「おああ・・・おあおあ」
口を塞ぐ金属のおかげで、声を発することもできません。
大きく開いた状態で金属の筒を銜え、鼻に刺さった細い管から浅い呼吸を繰り返します。
息苦しさと惨めさに、涙が溢れ、マスクの中を濡らします。
「これで出来上がり、自分が何にされたか分からないでしょう?」
「おおお・・・」
「これはね、こうやって使うのよ・・・ん・・・」
ジョ・・・ジョロロロロロロロ・・・・・・
漏斗に向かって何かの液体を流し込むような音がしたかと思うと、なま暖かい物が喉を伝って胃に降りていきます。
ラバーの匂いに混じって、微かに匂うそれは・・・
おしっこ!?
「おがあぁ・・・げほっ・・・げほっ!」
自分の口に流し込まれた物の正体が分かって、蒸せ帰りました。
飲み込むまいとしても、喉まで届いた金属の筒を伝って強制的に流し込まれていきます。
ジョジョジョジョロロロ・・・・・・
無情に流し込まれるお姉様のモノが、漏斗を通って胃に染みていきます。
惨めです、あまりにも惨めすぎます。
まるで便器の様です。
「おっ・・・おっ・・・おっ・・・」
あまりの惨めさに、漏斗越しに嗚咽が漏れ、マスクの中を涙が満たします。
「ようやく分かったようね、今のお前は便器よ。明日の朝までそのままだから覚悟なさい。催したら使ってあげるから、それまで
ゆっくり自分の態度を反省していなさい」
冷たいお姉様の言葉が、惨めさに追い打ちをかけます。
「お・・・おごごごぉぉ!」
「便器の言葉は分からないわね、じゃあね」
私の必死の叫びも空しく、お姉様は地下室を出ていってしまいました。
静かな地下室の中で、不自由に戒められた体をよじらせ、惨めな姿に涙を流しました。

深雪小便器


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