<An die Freude!>
手をつなごう。時をつなごう。
今年の「一万人の第九コンサート」のチラシに書いてある言葉です。
そして今年のテーマです。
いっしょに歌った仲間がいる。
支えてくれた家族がいる。
これはプログラム,CD,DVDの案内チラシに書かれている言葉です。
だからこそ,今,ここにいるわけです。
2003年
12月
7日
大阪城ホール。
<急がなくても座席はありますよ>
なぜなんでしょうね,本番前日って,忙しないんですよ。
弁当(←あれが弁当か?(笑))の準備,打ち上げのネタ繰り。
そしてやっぱり日付が変わって,12/7(日),1:00。
昨日買った公式プログラムを眺める。
写真は…お,載ってる。そやけど,情けない顔してるがな…(--;;;)
コメント…今年はなし。一万人の交換絵日記…これもなし。少々残念。
#今年はひねりすぎたか?!
ちょっと早起き。朝ごはん?んー昨晩作ったおにぎりひとつ。お茶は少なめ。
慌てるのはいやだし,荷物も多いし(^^;;),天気もいいですから早めに出発,徒歩で。
まだ誰も来てないだろう…って,知ってる方,発見。なんでそんなに早く来てるのよ?
噴水前だけでなく,一般客入り口のほうへもぐるっと回って,お散歩を楽しみます。
そのうち,続々と参加者と思しき方々がやってきます…一目でわかるっちゅうねん!
既に何人もの方々に声をかけていただいてます。
今年,大阪Gで一緒に練習した方,「今年は別のクラスだけど」という方,昨日初めてお会いした方。
不思議なもんですよね。このイベントは。普通じゃなかなかこんなことありません。
Alle Menschen werden Bruder ってほど大袈裟なもんじゃありませんが,その”かけら”ですね。
<席替え>
会場へ入り,まず,着替え。(^^;;)
#略礼服着て,蝶ネクタイして町内を歩くのは少々気恥ずかしいですから。
券面記載の座席へ向います。アリーナ中7列25番。どちらかというとソプラノ寄りです。
今年は移動があるのかなぁ?
定刻になり,事務局から諸注意,そして席替えです。
といっても,参加者が確定し空席を埋めるための移動ですから,センターは付近は大きく
動く事はありません。それはアリーナとて同じこと。
でも,今回は4席もセンター側に移動し,座席番号で言うなら「中7列29番」となりました。
間に障害物がなく指揮がよく見えます。(^^)
席替え後,「蛇足ではありますが…ご質問が多かったので」と,大阪城ホール入り口の「20th」についての
説明がありました。
一万人の第九としては,今回が21回目。大阪城ホールのオープンに始まったのに,何故20thなの?
ってことですね。小生も不思議に思ってました。
#昨日,仲間内で「看板屋,間違えたんじゃ…?明日になったら21thになってたりして」なんて話してました。
大阪城ホール0年目の(つまり1年を満了していない)ときに,一万人の第九は1st。
ですから,大阪城ホール20年目の(つまり20年を満了していない)今,一万人の第九は21th,
ということなんだそうです。
<発声練習>
発声練習は昨日に引き続き,清原先生&三輪先生です。
伸びて,伸びて…力を抜く。伸びて,伸びて…力を抜く。
そして恒例,一万人の肩叩き。
「今日一日,ずっとお隣さんです。挨拶しときましょう。なんなら名刺交換しときましょうか」
「右向いてください。音が変わったら逆向きです。壮観ですね〜これ,ギネスに載りますよね」
で,どんな発声練習したっけ…??
ただ,声を出すときは
「押さえつけないで。上へ飛ばすように,頭蓋骨外して!ソプラノ,外し方足りてない!(笑)」
#”頭蓋骨外して”とは言われませんでしたけど(^^;;),頭の後ろから前に飛ばすように,っていうのは
#これまでのレッスンでも異口同音に言われましたよね。
#…にしても,”頭蓋骨外して!”って,なんやなん!(^^;;;;;)
まずは「さくら」から。
ハミング と あー うー はちゃんと区別すること。るるるる
も最後につなぐところなので,重要。
「テノール,昨日に続いて調子いいですね」
「”さぁくぅらぁ”のところ,”さぁ,くらぁ(暗ぁ)”にならないように」
「入場料,\5,000ですよぉ,\5,000!しっかり歌って!」
最後,4回繰り返すところはコーラスが聴かせるところで,前途ある旅立ちを予感させるように。
ビートを効かせて,ってことで
「指を鳴らしてリズムとって,足でもリズムとって!…ほら,みんなとずれてますよ!(笑)」
「緞帳が さぁっ っと上がっていくように,イタリアオペラみたいにね,ほら,手を使って,クレッシェンドしていく!」
「最後はミュージカルのつもりで!」
第九の方では…あ,忘れた…(--;;;)
確か,Freude ! をやりましたっけ?ん? Seid
でした?
なんにしても,珍しく男声はぼろくそには言われませんでしたよね(^^;)
「じゃぁ,ダメな声でやってみて,女声! (ベタな声で
Freude 〜 ! )上手いやん(笑),いい声で
( Freude ! )ええやん。
じゃ男声,(ベタな声で Freude 〜 ! ) えらい上手いやん。…女声から拍手…拍手してる場合やないです!」
で,「さくら」は楽譜を見てもいいけど,立って歌いましょう,ということになったようで,曲間の拍手のときに
立ちあがりましょうということになりました。
マイクを通しても舞台監督(?)の声が小さく,清原先生が”通訳”するひと幕もありました。
ほか,いくつか注意があって(←忘れてんのかぃ!),笑いのうちに発声練習は終了,お昼ご飯です。
<異なる景色>
実はウチのハハも参加しておりまして…Bブロック,ほとんど観客席…へ様子を見に行きました。
途中,Gブロックの看板真下にいらっしゃる方に声をかけていただいたりしながら,歩いて行きます。
若干は動いたものの,ほぼ観客席ですね。景色がまるっきり違います。
ハハは,まぁ,お隣さんとは仲良くやってる様子でなにより。
この後,バスの友人のところへも見に行きましたが,同じクワイヤ席,いや,アリーナ席でも右と左では
だいぶと景色が異なります。
ぶらぶらとスタンドを歩いて思いましたが,座席についていえば,女声はかなり不満でしょうね。
<ゲネプロ>
ゲネプロが始まりました。昨年も書いたのですが,
ゲネプロとは
>「ゲネプロ」ですね、舞台用語ですな。単に「ゲネ」とも言います。
>「ゲネラルプローベ」(独語:舞台稽古の意)から来ているそうで。
>「衣装や照明まで本番と全く同じ状態で行う最終通し稽古」です。
とのことです。オペラやなんかでは,そういう舞台稽古があるんでしょうが,一万人の第九では,
あくまでリハーサルって感じです。佐渡さんはTシャツ姿,オケもラフな格好です。
今年は,タンホイザー 序曲。
TV-CFなんかでも使われる事があったりで,メロディは耳馴染みですが,ちゃんと聴いたことはありません。
管楽器が重要,というか,管楽器が光る曲なんでしょうか。
オーケストラの華,ヴァイオリンが裏方に徹してるような感じでした。
なんども木管,金管に指示を出され,うまくいけたところではサムアップで合図していました。
タンバリン,トライアングルも効果的に使われており,タンバリンは二人が担当していましたね。
そういえば,オケがチューニングする前,トライアングル担当が招聘されたティンパニの方に
「こうするんだよ」って感じで指導(?)を受けていた姿も見えてました。
#ふ〜ん,こういう曲だったんだ。いいなぁ。
次は,森山直太朗氏,登場です。
曲目は…う,覚えてねぇ…メドレーっぽく,2曲続けて歌い,「さくら」です。
森山氏,第一声,見事に決めてくれます。
#やっぱりそこいらにいてる にーちゃん じゃないですね。
我々も,やっぱり立って歌うと気分が違いますよね。
でも,手許が暗い…アリーナはまだ明るい方ですが,さすがにスタンドの上段は暗くて楽譜が見えないようで,
曲が終わってスタッフが話をしている最中,合唱団から声がかかります。
「暗くて楽譜が見えません!明るくしてください!」
森山氏,すかさず「皆さんが歌えるように明るくしてください」
#ええ にーちゃん や…
このほか,
立ちあがるタイミングはどうするのか
…拍手をしている間にそっと立つ。ばっと立つ演出は第九に残したいので,キューは出さない。
座るタイミングはどうするのか
…拍手している最中に座る。
オーケストラの音が聞こえない,大きくしてほしい
…大きくすると,森山氏の声も大きくなる。それに,これ以上大きくすると絶対に遅れてくるので,現状通り。
佐渡さんは,(悪い意味ではなく)「この合唱団,人一倍プライドが高いんや」なんていってましたが,
基本的にはお願いをとり入れてくれました。
出てきた質問は,まさにその通りですよね。
昨日の今日で演出を変えたわけですから,当然,漏れは出てきます。もっともな質問だと思いました。
この後,一部BBSで話題なってた「六甲おろし」本当にやりました。(^^;;)
でも,今年は誰もが認める 阪神year でしたしね。
驚いた事に,ほとんどの人が空で歌えるんですから…小生?ちょと怪しいけどね。
山本太郎氏は,指揮台で最初の一振りだけ佐渡さんに手伝ってもらって,あとは最後まで振ってました。
それにしても,ここまで熱狂的な一万人の第九は初めてじゃ?
<ゲネプロ,その2>
休憩を挟んで,第九の方のゲネプロです。
今日は第一楽章から。
でも,完全にやってたわけではなく,所々カットしながら,必要に応じて繰り返しながら,再確認しています。
アリーナだと,佐渡さんがオケに対して言ってる言葉が所々聞こえるんですが,特に管楽器に対して色々と
指示をしています。
「もっと,もっと!」って感じの手振り,サムアップを出すのも多くは管楽器の方でした。
ドイツ語と日本語で始めるところを指示,時にはコンサートマスタの意見を聞きながら,バイリンガルな指示が
飛び交ってました。
途中,音響をチェックするためか,佐渡さんは指揮台を離れてアリーナ一般席,最後部まで行ったりしてましたが
演奏自体は止まりません。指揮者がいなくても演奏は続くんですね。(^^;;)
でも,オケに指示を出しているところは,確かに変わってる(ように聞こえました)。
そうして,第4楽章。今度は我々の番です。
バリトンソロ,Freude ! 続いて男声 Freude !
演奏は続きます。けど,佐渡さん「最高!」
D。
やっぱり走り過ぎてますね。
E。
Ja ! もよく響いてます。言われたように,ビート,効いてるかな。でもやっぱり走り過ぎですね。
でも,weinend sich aus diesem Bund はディミネンドから
p といい感じに進みます。
G。
ここも,コーラスの独り善がりかな…やっぱり速すぎです。
und der Cherub steht vor のスタッカート,ここでなんとか足並みが揃います。
最後の vor Gott ! きれいに響きました。
マーチ。
ソリストに負けてません。今年の男声は,結構いい感じです。
M。
これもオケと合ってない…けど,コーラスだけを聴くとまとまってる(^^;;)
男声,Seid から始まる595小節から N と,結構シブくてよかったと思いますよ。
631小節,Ihr sturzt nieder の”ほわん,ほわん”,一万人でも結構できるもんですね。
Welt と Such' ,もう少し Such' が小さい方がいいんでしょうけど,昨日に比べればいい感じです。
フーガに続く,uber Sternen のところ(オケが3連符を奏でるところ),案外きれいに歌えるのは何故?
いつも見失ってるところなのに。(^^;;)
フーガ。
アルトの出だしは,いい感じ。
でも後があんまりよろしくない。ここはお世辞にもよかったとはいい難いですね。
やっぱり男声(テノールかな)が走りすぎてました。勝手に自己満足に走ってた感じ。
最後のソプラノと同じ音程で歌うところ(718小節),前に休符があるんですが,そこで
やっと我に返ったのか,オケや他のパートと合わせられます。
#うーん,もっと指揮を見なあかんのに…
#少なくともこのホールでは,他のパートを聞いてると遅れるし。
S。
出だしはしっかり合図を出してくれます。
でも進むに連れてここも飛ばし気味。オケが残ってるのに Alle を歌い出すんですから。
最後の Prestiossimo も同じ。どうも走り過ぎなのです。
もうこれは,今年はどうにもならささそうな…ちょっと不安です。
休憩でお手洗いに行こうと舞台へ降りると,コンサートマスターのフローリアン・ツヴィーアウアー氏,
クラリネットのペーター・シュミット氏とすれ違う。
#う〜みゅ,ドイツ語が出来たらなぁ…サインのひとつでも貰うのに…
#来年までに「サイン下さい!」っていうドイツ語,勉強しようかしら。
#合唱団で,コンサートマスター他,招聘奏者にサインをねだるヤツなんて,おらんやろなぁ…
##チェロのフリッツ・ドレシャル氏は,正月のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで映ることでしょう。
##主席奏者ですから,まず間違いなく出られるだろうし。
<手をつなごう>
開演前,一般客が入って来ます。ほぼ満席。立ち見も出ています。
恒例になった”前説”,佐渡さんが「燕尾服に返信する前ですけど…」と舞台に上がります。
今年は戦争があって,平和について考えた。
ベートーベンはこの曲に全人類が Bruder になるという思いを込めてつくった曲だ。
ということを説明され,「皆さんもよく知ってる,CMなんかでもよく聞くフレーズ,”ららら”でもいいから,
合唱団のみんなと一緒に歌ってください。」といって,レクチャーが始まります。
「みんな,スゴイな!合唱団,負けてるで!」
最後に,「今年のテーマは”手をつなごう。時をつなごう”です。お隣は知らん人かもしれへんけど,
一度手をつないで,上へ上げてくれませんか!」
もちろん,我々も一緒です。
そうして,1万人,いや,2万人近い人の輪ができました。
<化けてる…>
コンサートマスタが登場。
リハ,ゲネとうってかわって,白の蝶ネクタイ,燕尾服姿です。これがまたかっこいい。
さすがウィーン交響楽団でコンサートマスタをされてるだけのことがあります。
雰囲気が凛としますね。
チューニングが終わり…マエストロ,登場。
タンホイザー 序曲。
オーケストラ,化けましたね。
音楽的な批評やなんかはできないのですが,素人の小生が聴いててもなんとなくわかります。
どこが?と問われて具体的には言えないけれど…ゲネプロから,さらに進化してるのは間違いないと思います。
やっぱり,本番という緊張感がそうさせるんでしょうか。
そして,森山直太朗氏の登場。
深々と観客席と,我々にも(!)頭を下げ,挨拶をする…ええやっちゃ!
一万人の大合唱団との「さくら」
今回も,アカペラで,一発で出してくれます。
#第一声に”命,かけてますから!”だそうです。
##「森山良子の息子」という言い方は,彼には失礼ですね。
##彼はあくまで「森山直太朗」なんだと,思いました。
近頃,歳を食ったせいなんでしょうか,涙腺が緩んでるんですよね…ゲネでもそうだったんですが,
うるうるきて,全てをうまくは歌えませんでした。声がひっくり返って,波打って…(笑)
独唱部分はコーラスのエリアは暗く照明を絞ってましたが,ゲネでの約束通り,楽譜が読める程度に
明るくしてくれてます。
歌が終わった後の拍手,いつになく大きく聞こえたのは,気の所為?
そして,六甲おろし。
山本太郎氏が元気よく,楽しく指揮台で指揮(?)をして,会場全体で大合唱!
この合唱(コーラスじゃないですけどね),すんげー盛り上がりましたよね!
#客席でタイガースの旗を持ってる人も…スポーツ新聞で,歌う事がリークされたとはいえ,
#なんでそんなん持ってきてんねん!(笑)
<おーい,コーラス!>
さて,いよいよ,第九です。
コンサートマスター,チューニングを促して,マエストロを待ちます。
マエストロ,今度は燕尾服です。
第九でもオーケストラは化けてます。
これも,何が?どこが?って批評家のようには言えませんが…やっぱり変わってますよね?!
練習中は結構指摘を受けてた,管楽器もなかなかどうして,いい感じじゃないですか。
ホルンなんかのソロで吹かなくてはいけないところ,相当なプレッシャーでしょう。
でも,よく光ってます。
第4楽章。今度は我々の番ですね。
第一声,Freude ! ゲネで出たのと同じぐらい,いい感じだったんじゃないでしょうか。
M の部分では,観客の皆さんも立って,一緒に歌ってくれます。
知ってる人は,M にくると促されなくても さっと立ちあがって歌い出しますし,なかには「え,立って歌うの?」
なんて周りをきょろきょろしながら立ちあがる人,いろんな方がいらっしゃいましたが,これがある意味,
”一万人の第九”ですよね。
けど,コーラスはというと,終始,どの部分も走りすぎてました。
どの部分でも,出だしはいいんです,けれど後が走りすぎなんです。
残念ながら,最後の最後までオケとは合ってなかったように思います。
思えば,佐渡練の時でも,走りすぎてましたよね。
通常レッスンのときでも,どの先生だっけ…いろんな先生に教えてもらったから…おっと,それ以上突っ込まないで!…
「遅れると,取り戻そうと先走る。そうなったら周りを聴かずに走りつづけて追い越してるよ」
って,指摘されたことがあったように思います。
救いといえば,リハ,ゲネで指摘されたようなこと,例えば,ビートを出して。Freude
! と Bruder の歌い方,などは
はっきり,くっきりよかったと思います。
少々,消化不良ではありましたが,歌いきった満足感は何物にも変えられません。
「今年も,よかった!」
ペンライトを点灯させ,蛍の光。
佐渡さんもペンライトで指揮します。
照明が落とされ,暗闇の中で揺れる淡いみどりの光の粒子。毎度のことながら,これはきれい!
#蛍の光も走り過ぎでした…(--;;)
<さいごに>
6月の募集,7月の抽選,9月からのレッスン,そして12月の本番と,長くて短い道程を歩いてきました。
でも,今年はこれでおしまい。
毎年おんなじことの繰り返しなんですが,毎回なにかが違うんですよね。
「本番は一度きり」
この言葉,なんとなくわかるような気がします。
一期一会,曲解すればこれも同じような意味でしょう。
#次回も,新しい”一度きり”と一期一会を探しに,応募するだろうな…
今は,学生時分のときに味わった,定期テスト後の脱力感のような,ゆる〜〜〜い気分を楽しんでます。
来年初夏の頃にはこのゆるみを締め上げて,また,凛とした気分で歌えますように。