<An die Freude!>
一人一人の第九を,世界へ。
今年の「一万人の第九コンサート」のチラシに書いてある言葉です。
小生一人ではなーんにも出来ないんですが,一万人でやれば「世界へ」も可能でしょう。
とうとうやってきました。
2001年
12月
2日
大阪城ホール。
<昨晩のことから>
#って,いきなり逆戻りかい!(笑)
それは弁当作りから始まりました。
リハーサル終了後に寄ったスーパーで「さーて,明日のおかずは何にしようかしらん♪」
って感じで品定めをして帰宅。
一息ついて,22:00から弁当作りが始まりました。
蛆のわくという,男やもめ,当然まともに事は進みません。
悪戦苦闘の末,なんとか食えるものができたのが本番当日になってました。(笑)
そこから,風呂に入って,寝るまでにプログラムを読みふける…
おぉ,載ってるじゃん!
大阪Gクラスのコメント,写真。インターネットの書きこみ。
#こまめに手を出しとくもんですなぁ。(笑)
ふと時計を見ると,2:00。
#おいおい,大丈夫かぁ?
<♪あったらしい,あーさがきた!>
念のためかけておいた目覚ましに起こされる。
朝飯,身支度。う,荷物が多い…
#好きでやってる苦労なんですけどね。
徒歩で,大阪城ホールへ。朝のちょうどいい散歩の感じでした。
9:00に大阪Gの方と待ち合わせて,看板を背にして写真を取る予定です。
既に1名,こられてました。そうこうしてると続々登場。
さぁ,写真を撮りましょうか!
…あのぉ,スタッフが看板を撤収しているんですけどぉ。(>_<)
別の入り口に持っていったようでした。
仕方なく,証拠写真(笑)を撮りにホールの玄関までいき,撮影大会を開始,めいめいが
撮影を終えて会場入りとなりました。
プログラムやCD,ビデオは昨日のうちに購入,予約済みなので目もくれず座席へ直行。
<席替え>
中に入り,着替えを開始。
蝶ネクタイなんて生まれて初めてなもんでうまくいかないや。なんか,照れくさい。
スタッフから座席移動の指示が出ました。
席替えって,なんかわくわくしますよね。
ここでの席替えは,列は変わらず番のみシフトするんですね。
小生,もとはI-1-4だったんですが,H-1-38にずれました。
#うーん,やっぱりカメラが指揮台までの延長線上にあるぞ…
みてると,アルト,ソプラノは大移動ですよね。
なんか,ぞわぞわぞわって感じで蠢いてる…(^^;;;)
でも,結局はぴしっと,きれいに並んでました。
#さすがだてに19回もやってないよね。Know-Howが活きてます。
<肩叩き>
サラリーマンの小生としては,この言葉,やな感じ…(笑)
清原先生,登場。底抜けに明るいオヤジですね。(失礼!)
ぐーっと伸び。
ピアノの方も即興で朝らしい感じの曲を弾く。いいですねぇ。
そして全員が横向きに並んで,肩叩き!
1万人の肩叩き,壮観ってヤツですね。
ピアノの方も心得ており,ちゃんと弾いてるんですな,これが。
しかも,適当に音階を上げてらっしゃる。
音階が上がれば逆向きになって肩をたたく。
#結構,気持ちよかったっす。
<発声練習>
終始笑ってたんで,よく覚えてないんだ,これが。(^^;;)
ただ,音の立ちあがり,男声なら「Freude!」の「(Fr)eude!」,女声なら「Seid」の「(S)eid」を
もっと速く,もっともっと速く!とのことでした。
全員で手振りを入れて,ぴたっと揃った様は圧巻でした。
#曰く,新興宗教…(^^;;)
あと,指揮に合わせる事。タクトをよく見て遅れず出すぎず合わせる。
えーと,どの部分だっけ…忘れてしまいましたが,あるフレーズを歌う。
先生がタクトを振る。先生,やたら速く振ったり,おそーく振ったりして合わさせることを見てらっしゃる。
アルトは今日も「低すぎ!」って言われてました。
短時間だったものの,はじめと終わりではかなり音が違ってたように思います。
<休憩>
戦場でしたね,そこは。
ホント,女性はお手洗いが大変。並大抵じゃない行列が出来ていました。
あれだけの人数なんで致し方ないのですが,同情します。
この休みにお楽しみのお昼ご飯。
#お楽しみ?
#はっはっは,聞かないでくれ…
昼食後,また仲間内で写真撮影大会。
#そんなに撮って,どうするよ…と思いながら,シャッターを切るσ(^-^)ってば…
<リハーサル>
リハーサルが始まりました。ゼネプロって言ってましたが…どういう意味なんでしょう?
佐渡さんはちょっと濃い目の緑のTシャツ,司会の小倉知昭さんはピンク?のジャケットという格好。
ちなみに…神奈川県在住のお知り合いから教えていただきました。
>「ゲネプロ」ですね、舞台用語ですな。単に「ゲネ」とも言います。
>「ゲネラルプローベ」(独語:舞台稽古の意)から来ているそうで。
>(うちのかみさんの方が詳しい。)
>「衣装や照明まで本番と全く同じ状態で行う最終通し稽古」です。
とのことです。うん,納得。
小倉さんの司会も,本番さながらに(だからリハーサル(^^;;))入り,ETのテーマ,
トーク,そして原 朋直さんのトランペット。
あぁ,いいですねぇ。生の演奏は。
#ジョン・ウィリアムズの作曲だったら…ロサンゼルオリンピックのファンファーレも
#そうだったよーな。あれだったらトランペットも入ってるから…聴きたかったな。
##いい感じにねむーくなったことは,あなたとσ(^-^)の秘密です。(爆)
##退屈で眠くなったんじゃなくて,すっごく心地よかったのよ。
第一部のリハーサルが終了し,暫しの休憩。
小生の座席は,舞台の上手(だと思う)にあたるらしく,佐渡さん,小倉さん,原さんの
出入りが見えるんですよね。スタンばってるところをじーっと見てました。
で,第二部のリハーサル。
ベートーベン,第九。
ずーっと通してやるかと思ってましたが,所々,止めては指示を出していました。
何がどうだか,小生にはわかりませんでしたが。
全てをやってるわけではなく,途中を端折ったりしてました。気になるところだけを
やっていたみたいです。
第3楽章のころは,実はちょっぴりうつらうつらしてました。
#これも君と僕との秘密だ!
しかし,第4楽章が始まり,ティンパニの連打が始まる…
ドキン!としましたね。
曲はさらに進み,コントラバス(かな?)が主題を奏でると,ドキドキはさらに進行。
さぁ,もうそろそろ,って頃になると正直,心臓は”バクバク”。
手はじっとりと脂汗が…(^^;;)
#本当に,手に汗握ったのは,今回が初めてじゃないかな?
##おっと,いかん,このままじゃ,本番部分で書くことがなくなるぞ。(^^;;)
…
で,第九が終わり,蛍の光の練習というときに,女性の皆さんは駆け出して行く。
しかし,仕方ないか…
蛍の光をこなして,リハーサルは終了。
このあと,オーケストラへの連絡事項がありました。
「14:45からお客様に対し,マエストロから歌の指導がありますので,ここからの
15分は音出し出来ませんので注意してください。」
ホントに観客に歌ってもらうんですね。
#これがああなろうとは!
<歌唱指導>
今回の観客は,少々驚いたでしょうね。
開演前に燕尾服の佐渡さんが出てきて,歌わされるんですから。
Mの箇所をアレンジして歌いやすくしたものが配布されており,それで練習してました。
「音程が外れてもいい,ドイツ語でなくてもいい,ラララでもいい。これは民衆の歌なんです。
みんなで歌って欲しい。これまで儀礼的に観客席を向いて指揮することがありましたが,
今回は,みんなで歌って欲しい」
<開演>
小倉さんのアナウンスから,本番が開演しました。
ETのテーマ,原さんのトランペット,書き出すときりがないんで…第九に絞りましょう。
第二部。
舞台の袖で佐渡さんが待機。颯爽と登場。
燕尾服に白の蝶ネクタイ。あの体躯に燕尾服,かっこいい!
指揮台にあがり,タクトが振り下ろされる…
<我々の晴れ舞台>
リハーサルで味わったのに,同じことが同じように,いや,さらに増幅されて繰り返される。
第3楽章に入ったところから,手から脂汗が滴るんじゃないかと思うくらい,じとっとしています。
第3楽章と第4楽章,殆ど間がなく進行。
ティンパニの連打。
#このティンパニがすっごくかっこよく感じました。ブラームスの1番もそうですけど。
リハーサル以上に,”ドキン!”
曲が進み,コントラバスから主題がきこえてくる。
じわじわと,”どきどき”から”バクバク”に変わっていくのが分かる…
そして,ティンパニの連打。照明がさっと差し,立ちあがる。
#さぶいぼ,でました。
バリトンの独唱が始まる。
すべると取り返しがつかない,「Freude!」
#どなたかが書いてました。
#「ミスるのはやだから歌わないでいよう,じゃなくて,一万人もおれば自分など些細な存在,
#ミスを恐れず,積極的に歌おう」
Freude!
あぁ,いい感じ。
Deine Zauber〜,みんな,「びゅん,びゅん,びゅん,びゅん」ってのが出てる,出てる!
weinend sich aus diesem Bund,出すぎないよう息継ぎに注意しました。
Kusse gab sie 〜 sthet vor Gott!ここで思わず,「わっ」って泣きそうになってしまいました。
残響がきれいに残り,すっと引いていく。
#斜め45度,カメラ目線。
#大阪Gの皆さん,TV映りを気になさいましたか?(笑)
<まさか,ここで>
マーチへと続き,さらに曲は進行する。
Mのパート。観客も一緒に歌うハズ。
佐渡さんが振り向き,観客席に向ってタクトを振る。
なんと,観客の皆さん,立ちあがって歌うではないですか!
誰に言われたという訳ではなかろうに,皆さんが歌う。
この瞬間にも涙があふれそうになりました。
#ってことで,σ(^-^),Mの半分はすべってます。f(^^;)
Ihrsturzt nieder Millionen? Ahnest du den
Schopfer 〜 ,ここの”Ahnest”,佐渡練で
言われた「むにゅ〜っと」ってのをかなり意識したつもりです。
この後に続く,Such' ihn 〜,ここもかなり意識して小さく,「ズ」ではなく「ぞ」を意識して
歌ったつもりです。
#自分自身では,今までのなかで一番の出来。ただし,うるうる来たところ,除く。(笑)
<あぁ,もう終わるよぉ>
フーガ。
やっぱりずれて行くような感じはあるんですが,不思議と合って行く。
佐渡さんがコントロールしている?オケが合わせてくれている?
我々が知らず知らずに合わせにいってる??
最後,ぴたっと合った様に思いました。
#大阪G,花月組は完璧です。
#最初はダメでも,終わりはうまい!
Sのパート。
自己練習では入るところをしくじってばかりだったのですが,全体の練習から
不思議とタイミングが掴めるようになりました。
「ハクを意識して」やりました。
ソロの歌が終わり,一瞬の静寂。
「タンタン」
続いて「タンタン」
だんだんクレッシェンド。
そしてPrestissimo。
#あぁ,もうおわりやん…
最後の最後に気をつけないといけない,「Gotterfunken!」の「funken」
ここは何度も佐渡さんに注意されました。すべらないように…
<Bravo!>
大喝采!拍手の嵐,言葉に表せないような拍手の渦。
こんなのを経験したことはありませんでした。
無意識にあがる「Bravo!」の声,声,声
「おわったぁ!」っていう脱力感。
「歌いきったよ,素人の僕が」っていう充実感。
「あぁ,よかったなぁ,ここにいて」っていう…なんでしょう,連帯感?かな。
#「終わってしまったよぉ」っていう不足感っていうか,後ろ髪引かれる想いもありました。
そんなのが混ざり合って,混沌として…
蛍の光が鳴り出します。
照明が落とされ,事前に配られているペンライトを振り上げる。
闇の中,薄緑の光が揺れる。
遠近感が全くない。遠いのか近いのかさえも分からない。
#この時間を共有してる一万人の合唱団,佐渡さん,オーケストラ,ゲストの方々,観客,スタッフ。
#そして指導してくださった先生方。距離感はなくなったような気がします。
##↑うっ。か,かっこよすぎ。f(^^;)
拍手は鳴り止まず,佐渡さん,ソリストの方々は4度,5度と舞台に引き出されていました。
<台風一過>
この後,ご指導下さった花月先生と山本先生をお招きして(いや,肴にして(笑)),
有志の打ち上げをやりました。
ここでも結構な盛り上がりで,楽しい時間を過ごせました。
思うに,これは「台風一過」なんだったなぁと。
#「祭りの後の静寂」ではなく,「台風一過」です。
今回は6月に予兆が見えた低気圧(募集開始)が勢力を強め,豆台風になる。
台風は反れずに直撃コース(参加OKの通知)。
さらに勢力を強めずんずん近づく(レッスンですね)。
勢力を保ちつつ上陸(ひぇぇ!って位の手直し(^^;;))。
さらに荒れ狂って,完全に直撃!(於:大阪城ホール)
被害甚大!(もう,泣きそうになりましたよ)
過ぎ去る時のちょっと弱々しい余波(有志の打ち上げ)。
そして,今,澄み渡った青空が見えてます(充実感)。
また,来年も参加したくなりました。
5月頃からそわそわして,新聞を繰り,MBSのホームページを巡回するんだろうな。
また,お会いしましょう。