棋譜検討[13]Marc 対 kiyo

フランスの Marc さんとのWING上での対局です。
sangoさん(珊瑚の碁ページの浅井さん)からコメントを頂きました。


      白:Mark(5k)
      黒:kiyo(6k*)  黒半目コミ出し
              白中押し勝ち 

【 】内は、本人(kiyo)のコメントです。



第1図 (1手から15手まで)

【黒15はどうなんでしょうか?
 普通に定石を打ち進めてこのあたりに
 白に打たれるのがいやだったのですが。】

黒15も趣向としてある手と思いますが、
普通の定石にしたがっても悪くはないと思います。




第2図 (16手から35手まで)

【黒25は変な形だと思いましたが・・・ 】

黒25は白26と打たれ、黒27と引くのであれば、
25、27、と石が重複して働きがあまりありません。
ここは一時保留か、上辺を攻めたければ逆に
白26のところを押すのも良いかと思います。
私ならば 32 のケイマが攻守を兼ねた手と思います。

白28のカドは、早い時点ではあまり打たれない手です。
まして白32、白34とヘコンで受けるとは信じられません。
黒35まで打てて、先に打った黒25と呼応していい形を
得る事が出来ました。




第3図 (36手から47手まで)

白36、38と打って黒を固めてはダメです。
ここは単に白A とハネ継ぐ一手です。

黒41のオサエも白に全くひびきません。
打つならば黒A とサガリを打っておいた方が白に影響が出ます。

またしても白44のカド打ちがでました。
黒は喜んで45と受けました。
白はこのようなカド打ちがすきなようですね。




第4図 (48手から64手まで)

【黒49の打ち込みは性急過ぎたでしょうか?
 右下三々に受ける方が良いでしょうか?】

白を2分できるのであれば、打ち込むべきですが 実戦譜のように、
渡られて且つ白に打った石を取られては失敗でした。
これであれば三々の方が良いに決まっております。
したがって打った以上は、黒51で53の割り込みから
戦うべきですが、難しい。

白60のツギは不要、三々にコスムべきです。
したがって黒64まで、さほどの損失になりませんでした。




第5図 (65手から78手まで)

【黒65は A のキリを警戒したのですが。
 一路上のほうがよかったでしょうか?
 そうすると、白にここにハネられるのがいやでした。】

黒65は理解に苦しむ。ここは一気に有利な形勢を築くチャンスでした。
Bの三々か66の一間飛びで黒がよいと思います。

黒67、白68、白72は感覚の手と思いますので先行きが分かりません。

【黒75のハネでは一路上にノビるほうが良かったかなと反省しました。】

黒75のハネは気持ちは良いのですが後から黒にキリが残るので、
ここはダマッテじっとノビきっておくべきです。
しかる後、C の割り込みなどネライとしたい。
黒77の戻りがツライという、感覚を理解することが必要です。

結果的に白78といっぱいに囲われては形勢が不明となりました。




第6図 (79手から99手まで。以下省略)

黒85と内から行くのは、石が取れる時以外やってはいけない手です。
黒から90にコスンでおいて、白に圧力をかけておいた方が良い。

黒95と後手となり、白96と三々のイヤミを消されたのは、誠に残念です。
その前に何とか対策はなかったかと悔やまれます。




総評:
白は実戦的な手が多く試合巧者です。
白28、白44、白78そして白96など薄い手が多い。
白の薄みをつくだけの力がないと、この白はどんどんとやってきます。

一方黒は中盤まで厚くてよい碁でしたが、左下隅の3−3、左上隅の薄み、 上辺の攻め、など詳細に検討すれば必ず手になります。
遠慮せずに勇気を持って突撃して下さい。
碁は格闘技です。棋聖戦など見ておりますとヒシヒシと感じます。
もっと乱戦をしてくだい。最初の内は成績は悪くなるかもしれませんが実力は上昇します。

黒は全体的にアイサツをしすぎです。手を抜いて先制攻撃するのが主導権を獲る方法です。
この碁は少し白が主導権を獲っていたようです。


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