棋譜検討[10]Kaiman 対 jazawa.

他の方が打った碁に対する評を初めてやってみました。
評に対する評を浅井さんにお願いしました。

説明がわかりやすいように図を細かく分割しました。


コメントの対象は序盤、中盤とします。
「強い石」と「弱い石」という観点に主眼をおきます。

 ☆ 印が清橋のコメントです。
【珊瑚】のラベルが付いているコメントは浅井さんからのものです。



      白:Kaiman(8k*)
      黒:jazawa(9k*)   5目半コミ出し
                白勝ち(37目半)
 


第1図 (1手から7手まで)

☆ 黒5までの局面は、白、黒双方とも どこにも弱い石はありません。
(あたりまえといえば当たり前)

☆ 白6はどうかと思います。(疑問手)
三々からは、最初のうちはあまりシマリを打ちません。 (うち切った形なので)
白は A あたりに割り打ちするのが普通だと思います。

【珊瑚】私も下辺割り打ちが良いと思います。

☆ 黒7では下辺の A に構えるのがいい形です。
白に上辺に打たれても大したことが無いです。
黒7の石は、白に右方からハサまれると「弱い石」になります。

【珊瑚】小ケイマシマリからの星、 または星下は、逃してはならない好点です。

第2図 (8手から10手まで)

☆ 白10では A とハサムか、B に打ち込むほうが良いと思います。
次図の黒11と受けられて黒の形がしっかりしてしまいました。


第3図 (11手から15手まで)

☆ 黒13では 上辺をヒラキたい。★★(1)★★

【珊瑚】この黒13は絶好点です。
白と黒を置き換えて見ればハッキリします。

☆ 黒15と打ち、上辺は強化されましたが 今度は下辺が問題です。
(黒13の1子が弱い石になりました。)

【珊瑚】白14に対する黒15はソッポを向いております。
断固 A にトビ白石を分断すべきです。

第4図 (16手)

☆ 白16では別の攻め方があったように思います。
A と下に一間トビとか・・・

【珊瑚】白16以下は黒を固めるのみで良くなかった。
キヨさんの下一間トビは難しい。(☆ 黒に B と打たれる)
黒の一間トビを阻止すべく B のボウシまたは C のコスミが良いと思うが難しい。

第5図 (17手から25手まで)

【珊瑚】黒21に飛ばれてはこの碁の形勢が 一気に黒に傾いたと言われても仕方がない。

☆ 白22のノゾキは感心できません。
ノソかれた石は(つなぐと)強くなります。
左方の(比較的)強い石からノゾいて、 右方の白を弱くしてしまいます。

☆ 黒25では右辺 A あたりに打ちたい。★★(2)★★

【珊瑚】石の根拠の問題であり、 私は黒25は良い手と思います。
 B の大ケイマでも良いかと思います。

第6図 (26手から31手まで)

☆ 黒31では A とトルほうがいいでしょう。
白が B につないだら 黒 C あたりに打って白の弱い石を攻めます。

第7図 (32手から35手まで)

【珊瑚】白34は、何はともあれ右下辺の白の一団を 安定させる着手が必要です。
 A の一間トビあるいは、A の下左右のコスミもある。
 逃げるダケになるが仕方がない。

【珊瑚】黒35では、A のボウシを選び黒の 前進を止めるのも考えられる。
ときには積極的な考えで思考してみることも上達への道です。

第8図 (36手から51手まで)

☆ 黒37と、ここでごちゃごちゃやっても詰まらないと思います。
右辺のヒラキあたりがいいように思います。

【珊瑚】此処の白の一団は、強い軍団です。
強い石に接近しても仕方ありません。
したがって黒37以下は打たない方がよいのです。

変化図1   

☆ 黒45、47と外から押さえたのは先手を取るためですか?
かなり地が損ですね。
変化図1のように内側から押さえた方が得です。

第9図 (52手から54手まで)

【珊瑚】白52は、三々があり、 俗称観音開きといってよくありません。
ここはともかく下辺右の白の一団を補強すべきです。

☆ 黒53では右上スミに入るのが良かったかも知れません。
白54に守られていい形を作られてしまいました。

【珊瑚】ともかく三々は打っておくべきです。

第10図 (55手から62手まで)

☆ 黒55は多分悪手です。
下辺右側の白を攻めなくては面白くない。
ツケて白を固めると、攻めに悪影響が出ます。★★(3)★★

【珊瑚】下辺右の白の一団の攻めを見た着手かどうか。
このとき下辺右の白の一団への攻めに関係があることで 黒55とツケたのであれば善悪は問わないが、 少し離れすぎているようです。

第11図 (63手から65手まで)

☆ 黒63のツギは全く不要です。
切れないところを、アキサンカクの 愚形でつながってもしょうがないです。
右上の白は固いので攻めの役にも立ちません。

【珊瑚】黒63では A と2目の頭をハネルこと。

☆ 白64もあまり意味が無いと思います。

黒65も、ここを打つ必要はありません。
左下の黒は「強い石」です。
ここに打つと、地は多少増えますが、 ここに打たなくても、死にません。

黒には今のところ「弱い石」はありません。
白は下辺右側の一群が「弱い石」です。
この石を攻めることを考えるべきでしょう。
(ちょっと強くなってしまったので 攻めても取れるわけではありませんが)

【珊瑚】黒65では上辺の2目の頭を A とハネルこと。
それか右下辺への攻撃を意識して着手を選ぶことです。

第12図 (66手から85手まで)

☆ 黒83のハネは打ちすぎだったかもしれません。
黒85簡単にアテてしまっては後の楽しみが無くなります。
白の形も結構変なので、A に打って、黒83のハネを 活用することを考えて見ても良かったのでは?★★(4)★★

【珊瑚】白84の切りは問題あります。黒85のアテが 一本きくと今度は、右下辺の白の一団が危険となります。

第13図 (86手から87手まで)

☆ 黒87ツギは気持ちが悪い。 アキサンカクです。
ツグならば、星のところにタケフがいいです。
黒2子は大事な石ではなくなっています。 (かなめ石ではない;捨てても構わない)

【珊瑚】黒87ではともかく、A にカケを打って 白一団への攻めを見るチャンスであった。
小事を捨て大につくように構想は大きく持つことが重要です。

第14図 (88手から91手まで)

変化図2   

【珊瑚】黒91は必要でしょうか。
強くなるためには、 相手の打った手に対して常に追随せねばならないか、 手が抜けないかを考えて打ちたい。
ここでは、黒89から A にケイマすれば白は、 シノギに苦労すると思います。
ともかく相手が、困るように、迷うように打って 最大限の抵抗をすべきです。

☆ 黒91となったところで形勢を見てみると、 右上の白地が大きく、白がリ―ドしてます。
白の形が強くなったので、白も黒も弱い石がなくなりました。
このあと形勢が大きく変わる可能性は (間違えなければ)少ないでしょう。

これで、コメントを終わります。

★★(1)★★
 黒13,白14となった時点では、上辺よりも下辺の方が 緊急になったということに気が付かなかった。(反省)

★★(2)★★
 言われてみると、黒25は、黒を安定させ、左右の白を攻める好手である。
性急に A と攻めると、逆に黒3目が攻められる可能性がある。
(非常に反省)

★★(3)★★
 黒55は車の後押しのようで、右辺右の白の攻めに役立つように思えなかった。
遠巻きに攻めるという考え方が難しい。
(ちょっと反省)

★★(4)★★
 黒85にアテた後の、白に対する攻めが読めなかった。
白の眼形を奪う変化図2のような攻めはまだ私の力に余る。
(かなり反省)