棋譜検討[8]kiyo 対 gnik

ずっと不利な形勢だったがヨセでなんとか逆転しました。
序盤、中盤の打ち方を検討して貰いました。


NNGS(No Name Go Server)で、61局目、 gnik さんとははじめての対局でした。
講評は、浅井(珊瑚)さん、浅井さんの所属する碁会所(群馬太田市の囲碁クラブ)の 最強メンバー(*)を交えて徹底的に検討して頂いたものです。
(*)浅井さんのGTLの顧問小暮八段格(群馬県No.2)、 浦野七段格(栃木県代表クラス)、野村六段(埼玉県の強豪)、石田五段。
【 】内は、本人(kiyo)のコメントです。

      白:kiyo(3k*)
      黒:gnik(4k*)  黒半目コミ出し
               白10目半勝ち

第1図 (1手から25手まで)

【白10がおかしかったか?AまたはBにツケていくほうが良かったか?】
白10までは、平均的な布石であるが、次ぎの黒11の手が色々あり難しい。
Aの外ツケ、Bの内ツケの善悪は、余り議論する必要はないと思います。 どちらもその後の打ち方の方が重要です。
余り細かいことより、大きなミスを起こさないことが 我々のレベルでは、ドミナントです。

実戦譜の黒25までの変化では、黒もそんなに悪くはない分かれです。


変化図1   

変化図1のように、黒11はケイマのツケ越しが目につきます。
黒17までは白石10が重複の石となっており、黒有利な分かれです。
ツケ越しには、白は上方に延びて戦うことになりますが、黒の不利な変化は考えにくいです。


変化図2   

簡明を期するには、変化図2に示すように、白24までの例の定石を取ります。
この場合、黒9がいい位置になく、白が有利な分かれです。
【攻めを間違えて外勢を活かせないことが多いせいか、外勢の価値をうまく評価できないようです。】

黒21のアテは、保留して単に、黒25にノビておくのが普通のようです。 黒からキル場所が2個所あるためです。
全体を見て、黒はアテをすぐ打ちたがる傾向があります。 アテを保留できるのであれば、グッドタイミングを狙って打ちたいので無闇にアテてはいけません。


第2図 (26手から34手まで)

それにしても、白26は大悪手です。Aと取っておくべきです。
したがって黒もすぐにBに押すべきでした。

その意味からは、白26では、Bの絶好の曲がりで頑張りたいのです。 

変化図3   

変化図3のように、黒27と黒29まで押し切って、 黒31に構えるのも立派な構想です。(小暮さん強調)



変化図4   

変化図4のように、白は34と定型に立って、 その後急所に白36とすれば良かった。
白理想型です。

【白は、黒35で36の1路上にハサまれる変化を恐れたようです。
棋譜検討[7]でひどい目に遭ったのが後を引いたかもしれません。】

第3図 (35手から47手まで)

変化図5   

黒は、変化図5に示すように白34に対して、黒35とハネたいと思います。 黒37まで化けて見たいところです。
白16は、わざわざサガッテいるので、黒9と黒15は軽く見るのが良いのです。










変化図6   

黒は、変化図6に示すように、43でなぜ押さえなかったのか不思議です。 黒49まで多少窮屈でも、白無理です。
したがって白は、36以下42まで全く無理でした。

黒47は好形にAと構えておくところです。 形良ければあとから必ず余得があります。逆に形が悪いとあとから報いがきます。

第4図 (48手から55手まで、以下省略)

変化図7   

黒55では変化図7のように、下辺にケイマしておいた方が良い。



変化図8   

また黒55では、変化図8のように積極策で55と56と連打したら面白い。
右上隅との攻め合いが考えられるが、直感的には黒有利と考えられます。(小暮さん談)


第5図 (56手から70手まで、以下省略)

変化図9   

白は、60と無理を打ちました。此処は変化図9に示すように、 白60とカケツギをすれば、黒は隅を61くらいに守る必要があるかと思われます。 61以下は、闇試合ですので省略させていただきます。



【このあとずっと白が不利な戦いでしたが、 黒がヨセで損を重ねたため白の勝ちとなってしまいました。】



総評: 黒さんには、アテが効くところはともかくアテてしまう傾向があります。 効き筋、例えば白24の上への押しなどの発見などつねにアンテナを立てておきたい。
白は、全体に力碁の傾向があります。 今少し、ゆっくりとした着手を選択して、 攻撃態勢を整えてから力を出したら良いかと思います。仕掛けが早すぎます。
相手が間違ってくれるときがあるので勝つことが出来ますが、 自分より強い方にかかっては捻りつぶされます。



本対局の棋譜についてはSGFフォーマットの棋譜データが ここにあります。 棋譜が再現出来るソフトを御持ちの方は、ダウンロードしてご利用下さい。