[水の使い方]

 整備されたキャンプ場でも、それぞれのサイトにまで引水してあって、家庭で水を使うように手軽に使えるわけではありません。カンティーンもしくはポリタンなどに水場から水を汲んできて、それを使うのが一般的です。また、整備されたキャンプ場以外の場所でキャンプする場合は、自然の湧水や沢の水などを使うことになりますが、これとて同様にサイトまで必要量を運ぶ必要があります。
 限られた水を上手く使うには、リサイクルを考えて無駄をなくすことがポイントです。例えば、レトルトを暖めるのに使った湯はそのまま捨てないで、食器や手洗い用にリサイクルすれば、いちいち炊事場へ汚れものを運ぶ必要もないし、汚れ落ちも冷水を使うよりはいいはずです。
●追記
 昔、中央アジアの砂漠地帯を旅したとき、水の使い方がよくないと叱られたことがあります。極端に水の少ない乾燥地帯では、水の豊富な日本に住んでいては考えられないくらい水を大切にします。両手に水を受けると、それだけで顔を洗い、さらにそれで手から腕まで洗います。われわれは、無造作に手を振って水を切ったりしますが、ご当地では、この動作はもっとも礼儀に外れる行為とされています。それをついうっかりやってしまって、大目玉を食らったのでした。アウトドアでも同様に水は貴重品です。また、無造作に排水を川に流したりすれば、環境汚染となることも忘れてはいけません。

[水の確保]

 整備されたキャンプ場以外で水を確保しなければならないときは、その水が安全かどうかを確かめる必要があります。見た目は清冽な沢水も、上流に人家や山小屋などがあれば、その汚水が流れ込んで汚染されていると思って間違いありません。上流に人家があるかどうかは、地図で確認する以外に、踏み跡が伸びていないか、電線が先まで伸びていないかといったことで確認しましょう。
 また、岩の窪みにたまったり、流れ込みのない沼のような静水は腐敗したり、雑菌に汚染されている可能性があるので、手を出さないほうがいいでしょう。
 煮沸などの殺菌をせずにそのまま飲める水は、登山地図などに印された湧水だけと考えたほうが無難です。
 安心できる水が確保できなければ、怪しい水を飲用にしなければなりません。これから出かけるフィールドで、そんな水を飲用にしなければならない可能性がある場合は、簡易浄水器や浄水剤を用意しておいたほうがいいでしょう。簡易浄水器は、家庭用のものと同じように、活性炭と中空糸膜などを併用したもので、細菌やバクテリアを除去する能力をもっています。ハンディサイズで携帯に便利な設計になっています。実際に飲用する場合は、浄水器でろ過した水に浄水剤を加え、さらに煮沸するくらいの用心深さが必要です。他に、飲用水を確保するには、雨水を収集したり、エマージェンシーソーラースティルといった方法もあります(サバイバルの項を参照)。
●追記
 生水の危険性は、細菌のほかに、寄生虫や鉱山性の毒物の混入といった場合もあります。。寄生虫で有名なのは、北海道の北キツネが媒介するエキノコックスや東北地方の山に多いツツガムシなど。いずれも動物の糞に混じっていたいたものが、沢の流れに入り込んで、それが感染するといったケースです。いかに清冽に見えても、地表を流れる水には、注意したほうがいいでしょう。また鉱山性の毒物としては、鉛や銅、それに火山性のアルカリ成分などが考えられます。近隣に鉱山や火山がある場合は、注意しなければなりません。また、最近は、山奥に産業廃棄物を違法投棄するケースが増えているので、そんな形跡がないか十分に注意しましょう。上流に人家がなくても、林道が近くにあるような流れの水は注意したほうがいいでしょう。

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