[ナイフ]

 調理の他、細引きを切ったり、たきつけ用の火口を作るのに薪を細かく裂いたりと、キャンプにおいてはナイフはなくてはならないツールです。ブレード大小、缶切り、栓抜き、キリ、ワインオープナーなどの機能が一つになったアーミーナイフと、ブレードが比較的厚くナタ代わりにも使えるフォールディングナイフの2本を常備していれば、ほとんどあらゆる用途をカバーします。
 アーミーナイフでも、多機能を売りにして、30も40もの機能を付けたものがありますが、これは様々なブレードやスクリュードライバーの類を収納しているためにグリップが異様に太く、とても使いやすいものとはいえません。こういったものは、本来、ナイフメーカーが自分の会社の技術力をアピールするために作ったコマーシャル品で、メーカー自体、これをフィールドで使うユーザーがいるなどとは思っていないはずです。本来コンパクト性が売り物のアーミーナイフをわざわざかさばるコマーシャル品を抱えてアウトドアで難渋して使っている人がいますが、オプション好きな日本人の見本を見るようで、哀れな気さえします。
 アーミーナイフといえばビクトリノックスというくらい、スイスのこのメーカーはメジャーですが、ここの製品なら、ソルジャー、キャンパーといったモデルが機能性とコンパクト性で、最適なバランスのモデルでしょう。
 また、サバイバルナイフなどの刃渡りの長いごついボウイナイフを持っている人も度々見かけますが、これは、かさばって重い上で実用的とはいえません。ナタ代わりに使うには、ブレード(刃)が薄く、欠けやすいので危険です。シースナイフ(刃が畳めないタイプ)なら、刃渡り5,6cmのものが実用的です。
●追記
 ぼくが愛用しているのは、アーミーナイフとしては、前述の『AITOR』の他に、ビクトリノックスの『キャンパー』、ワンブレードのナイフはBACKの『フォールディングハンター#110』です。AITORはキャンプでの使用がメイン、ビクトリノックスはキャンプ以外にも、日常出かけるときの必需品となっています。#110は、高校生の頃から20年以上使っているものですが、440c鋼の切れ味は、買った頃とまったく変わりありません。こいつは一度秋田の沢でなくし、あきらめていたら、数日して沢の下流で発見するという奇跡的な経験をした、まさに愛着の品です。
 ほかに、妻が愛用している『ALMOR』のフォールディングナイフがあります。これは、ごつい#110と比べると小ぶりで刃も薄いものですが、440c鋼よりも硬いATS34鋼の切れ味と堅牢性は、まったくヒケをとりません。
 ぼくは、ナイフマニアというわけでもないのですが、ずっと昔から、日本のナイフメーカーとしてトップクラスの相田義人さんのシースナイフが欲しいと思っています。相田さんは、カスタムナイフの神様といわれるラブレスに直接師事したカスタムナイフメーカーで、飾り物ではなく、ハードな使用に耐えてしかもコンパクトで優美なフォルムのナイフをリリースしています。そのうち、ぼくの手の大きさと形、用途を明確にして、オーダーしたいと思っています。

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