[シュラフ]

 シュラフの性能は、そのままインシュレーター(中綿)の性能と言いかえてもいいでしょう。インシュレーターがどれだけ多くのデッドエアー(対流しない空気)を閉じこめられるかが、保温性の鍵となるからです。
 かつては、コンパクト性と膨張復元性においてどんな化学繊維も、天然素材のダウンにかないませんでしたが、現在は化学繊維でダウンに匹敵する性能を有するものが数多く出てきています。
 化学繊維のインシュレーターは、汚れに強く、メンテナンスが楽なのが最大のメリットです。それでもまだ保温性とコンパクト性の点ではダウンに歩があり、厳冬期用、遠征用といった用途のシュラフには、インシュレーターにダウンが使用されています。
 シュラフは、形から見ると、レクタングラータイプ(封筒型)とマミータイプ(ミイラ型)に大別できますが、この項で紹介しているようなシチュエーションで使うには、シュラフ内部の空気の対流が少なく保温性の高いマミータイプがお薦めです。よく、マミータイプは窮屈で暑苦しいという人がいますが、今の製品はほとんどが首元から足先まで開くサイドジッパーでフルオープンに出きるうえ、ダブルスライダージッパー(二つのジッパーがついていて、上からもしたからも開けられる)によって、足の側からのオープンも可能なので、レクタングラータイプよりはるかにフレキシブルです。
 かつては、シュラフといえば、サマーシーズン用、スリーシーズン用、厳冬期用といったおおまかなグレード分けでしたが、最近のしっかりしたメーカー製シュラフは耐寒温度別に細かくグレードが分かれていて、キャンプする時期と個人個人の体感の差によって適当なものを選ぶことができるようになっています。
●追記
 ぼくは、耐寒温度が−15℃と0℃のグレード、二つのシュラフを使っています。いずれもインシュレーターはダクロンホロフィルUで、前者は晩秋から冬を挟んで春先まで、後者は春から夏を挟んで秋まで使います。厳冬期の冬山では、この二つを組み合わせてシュラフカバーに入れたり、前者にシュラフカバーの組み合わせで、さらにダウンパーカとダウンパンツを着込んで潜り込むといった変則技を使います。 

[シュラフカバー]

 ゴアテックスなどの防水透湿素材製のシュラフカバーが一枚あると便利です。
 これは、本来はシュラフ本体にかぶせて防寒用カバーとして使うものですが(ほぼ10℃分くらいは耐寒性能をアップできます)、夏期はカバーだけを単体でシュラフ代わりに使ってもいいし、ふいのビバークに備えて、日帰りのフィールド行にもシュラフカバーをしのばせて行くのもお勧めです。
●追記
 ぼくは、長年マミータイプのゴアテックス製シュラフカバーを愛用しています。夏場に、標高がさほど高くないところへ行くような場合は、シュラフを省いて、ほとんどこれだけで用が足りています。

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