・毒蛇にかまれた

 北海道から本州、四国九州にかけてはマムシ、ヤマカガシ、九州の一部島嶼部ではさらにハブという毒蛇が生息しています。ふつう蛇類は振動に敏感なので、人間が近づけば歩くときの振動を感知して逃げてしまい、まれに出くわしても、こちらから刺激しなければ襲ってくることは滅多にありません。
 ですが、彼らの縄張りに踏み込んだり、互いに気づかずに蛇を脅してしまったような場合、彼らは恐ろしいスピードで襲ってきます。万一噛まれてしまった場合は、まず、外傷の際の間接止血法と同様に、傷口より心臓に近い部分を紐などで止血し、静脈血が心臓に回るのを防ぐようにします。さらに、ポイズンリムーバーやスネークバイトキット(いずれも注射器のような毒を吸い出す器具)を傷口に当てて、なるべくたくさんの毒を吸い出します。もし、そういった器具がなければ口で吸い出さなければならなりません。さらに、コールドパックなどがあれば患部の周囲を冷やして血流を阻害し、一刻も早く医療機関で血清治療を受ける必要があります。

[ファーストエイドキット]

 アウトドアでの予期せぬ病気や怪我に備えるために、ファーストエイドキットは必ず用意しておかなければなりません。STEP2でも紹介したように、登山用品店など売られている、バンドエイドや包帯、軟膏、折り畳み式のハサミなどがコンパクトな防水ケースなどにセットになったものをベースに、持病薬など必要なものを補填すればいいでしょう。
 ちなみに、ぼくのファーストエイドキットの中身を紹介してみます。
 まず、ケースは防水パッキンのしっかりした小型のペリカンケース。医薬品を湿気からしっかりガードします。
 ぼくは肘と膝に神経痛が出やすいので、そのときのために肘と膝兼用のサポーターを入れています。これは外傷を処置した後、その上にすっぽりかけてカードとしても使います。傷当てパットは傷の大きさに合わせてカットしてつかう消毒ガーゼ。テーピングテープ、バンドエイド、軟膏や消毒薬を塗るための綿棒、ふつうの石鹸に比べて消毒作用の強い逆性石鹸、消毒薬(マキロン)、そして瞬間接着剤といったものを外傷の処置用入れています。瞬間接着剤は大な傷を負ったとき、縫い合わせるかわりにこれで傷口を接着して応急手当してしまうという少々乱暴な用途がありますが、幸いにしてそんな使い方をしたことはまだありません(たてつけの悪い義歯が外れたときにこれで貼り付けてしまうといった使い方は度々しています(^_^;))。
 高山は紫外線が強いので、日焼け予防のローションとスキンクリーム。さらに内服薬として、正露丸、葛根湯、アスピリン、抗生物質といったものを用意しています。
 それから、折り畳み式ハサミに、長い山行の折には爪切り、ざっとこんなところが、ぼくのファーストエイドキットの内容です。
 包帯が入っていないのがおかしいと思われる方がいるかもしれませんが、処置した後の活動で包帯だと緩んで外れることが多いため、代用としてテーピングテープを使っています。傷当てパットをかぶせて、それをテーピングテープで固定し、その上からサポーターでガードすれば、大きな動きで緩んでしまうこともありません。テーピングテープは、その他、骨折の際に副木を固定するテープに使ったりします(細引きもそのような場合の固定具とします)。
 また、鉢巻にする大きめのバンダナは、いつも2、3枚用意していきますが、これは三角巾代わりにも使用します。

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