ハズェルクの手記/第1回/第2回第3回

キャンペーン第1回

この手記の著者である、私ことエルフ幻影魔術師ハズェルク(男性)は、同郷の友人であるオークキャバルリィマンウルフバンダー(男性)と、その愛馬フェンリルと共に旅を続けていました。
ある日、ウルフバンダーの元へ、師・フライングタスク(オーク・キャバルリィマン)からの手紙が届いたのです。「頼みたいことがある」との事でした。私たちは、故郷のジェリスへと向かいました。
タスク老との面会までの間に、他のアデプト3人がタスク老の住居を訪れました。エルフのウェポンスミスフラベラム(女性)、ドワーフソードマスターシャープ(男性)、ウィンドリングのソードマスター・エイミィ(女性)という、おそらくは共に旅をしてきた仲間であろう彼らも、タスク老からの依頼でこの場所に出向いて来たとの事でした。
タスク老と久々に顔を合わせると、足に怪我を負っているそうで、寝床に横たわっていました。
老の依頼は、「ジェリスの北東にあるパクスという村に住む友人に、手紙と箱を届けて欲しい」というものでした。箱の中身は指輪であり、友人は、グローリン(ドワーフ・エレメンタリスト)という名前である事を聞かされます。箱を届けたら、グローリンから何か頼まれるかもしれないので、それもできれば聞いてやって欲しいという注釈もついていました。また、パクスまでは徒歩で15日程度、馬で6日程度の距離だろうとの情報もありました。
義理堅いウルフバンダーはこの仕事を断る訳も無く、他の誇り高きアデプト方も、一人当たり金貨6枚という破格の報酬に納得し、引き受けることになったのです。

え、私?私はこんなアデプト方と行動を共にすれば、今まで見えなかった現実と虚構の境界線を見定める機会も数多く訪れるであろうと考え、行動を共にしたのですよ。

出立してから数日が過ぎ、何事も無くユントスと言う村に差し掛かりました。宿場町といった感じであり、宿にはキャラバンの一隊が訪れていました。
長旅で疲れ、沈滞した雰囲気を突き崩したい衝動に駆られ、私はささやかな魔法の力によって、キャラバンの一行に、一時の興奮と眠れる活力を呼び起こすことに成功しました。

キャラバンの方達は大変喜んで下さったので、私としても嬉しい限りです。些細な力で多くの人々に一時の興奮と安らぎを与えられたなら、それは幻影魔術師として最も誇るべき事であると考えています。何故なら、私にとっては当たり前の力でも、他の方々にとっては大変珍しい体験なのかもしれないからです。種族の違い、価値観の違い。そして、それらを超越した、共通の楽しみ、驚き、興奮。「差違と共通点を見定めることは、すなわち世界の虚構と現実の真理を掴む第一歩である」というのが、私が辿り着いた真実です。長い旅も、まんざらではありませんね。

キャラバンの隊長であるハリーは大変喜んで下さり、我々の進路にまつわる幾つかの噂を教えて下さいました。それらを要約すると、以下のようになります。

いずれも興味をそそる話題でしたが、私たちにも目的があるので、まずはそちらを終わらせなくてはなりません。
翌朝、ハリーとその一行に別れを告げ、街道沿いをさらに北東を目指します。

数日後の昼間に、奇妙な生物と遭遇しました。非常に巨大なトカゲで、シャープの話ではライトニングリザードと呼ばれているそうです。ウルフバンダーは馬を駆り、フラベラムは馬車を止めて、臨戦態勢を整えました。不幸にも、ウルフバンダーとフェンリルは共にトカゲの発する稲妻に打たれ、大怪我を負ってしまいました。そんな中、二人のソードマスターと、彼らの操る武器(聞く所によると、フラベラムが鍛えたものらしいです)は、その名に恥じぬ力を発揮し、トカゲを打ち倒しました。
「このトカゲの目には魔法的な価値があり高価で取り引きされるだろう」というシャープの含蓄と、巧みなナイフ捌きには感心させられてしまいました。

戦闘中、私は何をやっていたか、ですって?ええ、魔法で相手を攻撃しようとしていたんですが、なかなか思うように飛んでくれないのですよ。すべからく魔法というのは、誰かを傷つけるためのものではないのかもしれませんね。

その後、道を進んでいくと、キャラバン(おそらくは、パクスの方から来たもののようです)が襲われた形跡がありました。生きているものはおらず、いや、生きているはずが無い「死体らしいもの」が散乱していました。あまりにも無秩序で、あまりにも強大な力に蹂躪されたような様子でした。原因を探るべく、あたりをいろいろと調査しましたが、得られた情報は、襲撃者は火を使うこと、二足歩行らしいこと、極めて強大な破壊力を有すること、と言った程度でした。エイミィが何か恐ろしい雰囲気を感じ取り、ここから離れることを強く提言するので、私たちはさらに旅を続けることになりました。

私には、エイミィのような特殊な感覚は備わっていないのが大変残念です。もしそのような能力があれば、私にもその恐ろしい雰囲気を体験し検討することができたかもしれないからです。

渡し舟の村・パクスに辿り着いた私たちは、まず村人にグローリンについて尋ねました。村外れに住むドワーフのことではないか、という話を伺い、早速その家に向かいました。グローリンは、私たちがタスク老の使いであることを告げると、すぐに納得してくれたのです。箱と手紙を手渡したあと、頼みたいことがあるから明日にもう一度来てくれ、と告げられました。
グローリン宅を辞し、村の宿屋にやってきた所、奇妙な噂を耳に挟みます。村に奇妙な病気がはやっている、というのです。これにかかると、しばらくして確実に死亡するというのです。この村のヒューマン代表の子供も病気にかかっているそうです。また、病を避けるため、主に渡し舟を生業にしているトゥスラング達が川の中に逃げてしまったため、現在は川を渡ることも出来ないのだそうです。私たちが途中で見かけた、襲撃されたキャラバンは、この川を渡った最後の客だったそうです。

やはり、ホラーという強力な存在が絡んでいるのでしょうか?興味はありますが、今はグローリンの依頼を聞いてみるという先約がありますので、そちらが片付き次第、是非とも調査してみたい出来事です。やはり、この旅に同行して正解でした。これほど多くの出来事に出会えるとは!!いや、まだまだ始まりにすぎないのかもしれませんが..。ま、焦らず参りましょう。エルフには、他の方々よりも長い時間が用意されておりますから...。

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