三人の王 第三章 神の塔 <18>
三人の王

第三章 神の塔

< 18 >


 それは人間が猿から進化し、ある程度の文化を持ち始めた頃の事
であった。魔剣士や龍騎士が最も多かった時代でもある。
 まだ、国家らしい物も存在しない、平和な時代であった。
 そんな平和な時代のある日、突然、一人の天才が生まれた。その
男の名はリグラードといった。
 リグラードは急速に魔剣士や龍騎士を統率していき、世界最初の
国家を作り上げた。
 その王国の名は、ゼルフィック王国と言った。最初(ゼル)の王
国(フィック)である。
 ゼルフィックは侵略を繰り返し、領土を全世界に広げていった。
 そして、世界全土を支配すると、今度は主神オーディスに対して、
戦いを挑んだのであった。
 その戦いでオーディスに味方した者は、金龍ラルン等の龍達であっ
た。
 戦いは最初、オーディス軍が優勢であった。しかし、突如現れた
闇の軍勢によって、戦況は変わった。ゼルフィック軍が盛り返した
のである。
 そのため、戦いは膠着状態となり、勝利者のいない戦争になる事
が目に見えてきた。
 そこでリグラード王はオーディスに対して、一騎打ちを申し出た。
当然、オーディスは一騎打ちを受けて立った、
 一騎打ちは、両軍の目の前で行われた。どちらが負けても、文句
を言わせないためである。
 龍達はオーディスとオーディスの持つ無限の剣に、勝てる者など
いないと信じていた。
 しかし、リグラード王もその剣に匹敵する程の力を持つ、無窮の
剣を持っていたため、なかなか決着はつかなかった。
 そして、数時間が経ち、当初は終わらないと思われた、この戦い
の決着がつこうとしていた。
 じわじわとだが、オーディスが優勢になりつつあったのだ。
 そして、オーディスがリグラード王の首を跳ね飛ばした事により、
ようやくこの世紀の一戦は終止符を打った。
 その後、闇の軍は降伏をし、ラルンの造り出した空間に、封印を
された。そして、その空間とこの世界を結ぶ門を、金龍ルシフェシ
アが鍵を掛けた。
 が、唯一、降伏をせず、逃げ出した者がいた。その者とは魔蛸テ
ルメスタと言った。
 そのテルメスタはリグラード王とオーディスとの戦いを、間近で
見ていた一人であった。
 その戦いで流れた、二人の血をテルメスタは浴び、吸い込んだ。
 そのため、テルメスタはリグラード王とオーディスの二人の力を
得たのであった。
 その事を知った、オーディスと龍達はテルメスタを追い詰めた。
そして、オーディスと龍達はテルメスタと壮絶な戦いを繰り広げた。
そして、数時間後、悲劇は訪れた。
 テルメスタの一撃がオーディスの胸を貫いたのである。
 全能である、主神オーディスの死。それは龍達にとって、信じら
れない事であった。
 と、その時、オーディスの体が四つにわかれた。そして、その四
つの体は四匹の獣に変わった。それは、炎の虎、石の鷹、光の龍、
そして、氷の蛇の四匹である。
 次にオーディスの無限の剣から、四色の宝石が飛び出した。そし
て、赤い石には炎の虎が、青い石には石の鷹が、白い石には光の龍
が、そして、黒い石には氷の蛇が吸い込まれていった。
 その後、その四つの石は何処へとなく、散らばっていった。
 そして、気がつくと、無限の剣は無くなっており、テルメスタは
石像と化していた。
 その後、重立った龍達は、死んだ主神に成り代わって、この世界
を守るために、天界へと去っていった。
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