三人の王 第三章 神の塔 <13>
三人の王

第三章 神の塔

< 13 >


 シルファードを先頭に四人は中に入ると、緑龍を囲むように位置
した。すると、眠っていた龍が目を開き、四人の顔を見た。
「先手必勝!」シルファードが最初に緑龍の方に跳ぶ。
 それに気がつき、緑龍はシルファードに向かって炎を吐いた。
 それをシルファードは上に跳んで避け、緑龍の右目目掛けて、短
剣を投げつけた。狙い違わず、短剣は緑龍の右目に突き刺さり、右
目から緑色の血が流れ出る。
「後は任せたぞ! ジルファー!」
「任された!」ジルファーは叫び、緑龍の左目を狙おうとする。
 が、緑龍はそれを避け、尻尾をジルファーに向けて振り回した。
 その攻撃をジルファーは紙一重で避けた。そのため、ジルファー
に一瞬だけ隙ができた。
 その隙を逃さず、緑龍が炎を吐く。
「うわっ!」ジルファーはその炎をまともに浴びてしまった。
 その時、緑龍の体全体に電撃が走った。そして、緑龍の首から血
が滴り落ちた。
 緑龍が吠える。その首の傷から、炎が漏れ出た。
 その炎は緑龍の体を包み込み、緑龍は身悶えした。
「く……、くそっ……。簡単な機械さえも作れぬ、新人類どもが…
…」その緑龍の言葉は、ルーフ語であった。
「そんな……。なぜ、ルーフ語を……」唯一、言葉の意味がわかっ
たレングが、驚きの目で緑龍を見る。
「ジルファー!」シルファードが倒れているジルファーの所に、駆
け寄る。
「ああ、大丈夫だ」そう、ジルファーが頭を振りながら起き上がる。
「大丈夫だって? 龍炎をまともに浴びて!」そう信じられないか
のように、シルファードがジルファーの手足を見る。
 不思議な事にどこも火傷すら、していなかった。
「おまえは人間か? 非常識な野郎だな」
「そういう問題じゃないんじゃないの?」そう言いながら、牢屋で
一緒になった女が近づいてくる。
 その右手に持っている剣には、緑の血が滴っていた。
 その剣を見て、シルファードは目を見開いた。
(雷公剣! なるほど、今は亡き、プレアオス王国の姫君か)
 シルファードの目が一瞬、きらりと光った。
「運が良かったのさ。そういえば、あんたの名前を聞いていなかっ
たな」ジルファーがわざと話題を変える。
「私? 私の名前はリーファ・プ……、プロンよ」
(プレアオスと言いたかったようだな)
 シルファードは思わず笑みを浮かべた。そして、ジルファーの方
を見た。
 その目はジルファーの全てを見透かそうとしているようだった。
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