三人の王 第三章 神の塔 <9>
三人の王

第三章 神の塔

< 9 >


 十四、五分後、三人は再び塔を探索し始めた。まず、左の方の扉
を調べる事にした。
 鍵は掛かってはおらず、扉の向こうも広い部屋だった。三人は隠
し扉が無いかどうか調べるため、部屋の中に入っていった。
 その時、扉が音も無く閉まり、三人は閉じ込められてしまった。
しばらくして、部屋の天井がじわじわと迫ってきた。
「吊り天井か」シルファードが憎々しげに呟く。
「レン、呪文で扉を吹き飛ばしてくれ」ジルファーがレングの方を
見て言う。
「わかりました。二人とも、ちょっと、下がっていてください。グ
レンザード・ルレン・バール」そう言うと、レングは呪文を唱えた。
 と、次の瞬間、扉の目の前で大爆発が起こり、扉はその爆発で外
に吹き飛んだ。
「すごいな。魔道士とは戦わないようにするか」シルファードがそ
んな事を呟きながら、部屋を出る。
「階段は右の部屋か……」ジルファーもレングと一緒に部屋を出る。
 予想通り、階段は右の部屋にあり、三人は七階へと上がった。
 七階は左に通路が伸びていた。その通路を三人が進むと、しばら
くして、鏡の前に着いた。
「行き止まりかよ。どうする? 割るか?」シルファードが二人の
方を見て聞く。
「この鏡の向こうに凄い力を感じます。割らない方が良いと思いま
すよ」レングが答える。
「じゃあ、調べてから、どうするか考えようぜ」ジルファーが提案
する。
「それも、そうだな。ん……?」鏡を触ろうとした、シルファード
の両手が鏡の中に入り込んでいく。
「本当に凝った塔だぜ。先が思いやられるな」
「ま、ここを通らなきゃならないらしいから、行こうぜ」そう、ジ
ルファーが怖がりもせずに、鏡の中に入っていく。
 残った二人もジルファーの後に続いて、鏡の奥へと飛び込んでいっ
た。
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