三人の王 第二章 刺客 <1>
三人の王

第二章 刺客

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 リッペス王国の港町シーン。そこは大陸で唯一ロガルド王国と交
易をしている都市である。
 戦乱ではあったが、しばらくの間、大規模な戦が起きていないた
め、人々の顔は明るさを取り戻していた。
 そのシーンの片隅に、ジルファーとリグラードの二人はいた。馬
を買いにいったローゲントを待っているのである。
 程なくして、三頭の馬を連れて、ローゲントが戻ってきた。
「ジルファー、リグラード。おまえ達はどこへ向かうんだ?」ロー
ゲントが馬に乗り込みながら、二人に聞く。
「俺は魔道士ギルドに行くつもりだ」リグラードが答える。
「取り敢えずは、北に行こうと思っているよ」続いて、ジルファー
も答える。
「俺は西だから、ばらばらになるな」
「じゃあ、俺は行くぜ」リグラードは馬に乗り込むと、二人から離
れていった。
「じゃあな、ジルファー」ローゲントもジルファーに別れを告げ、
西へと去っていく。
 残されたジルファーも馬に乗り込み、北へと馬を走らせた。
 一本の道となった三本の運命の道が、再び三本の道へと別れていっ
た。
 今、三人はそれぞれの王への道を一人で歩き出したのであった。
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