リッペス王国の港町シーン。そこは大陸で唯一ロガルド王国と交 易をしている都市である。 戦乱ではあったが、しばらくの間、大規模な戦が起きていないた め、人々の顔は明るさを取り戻していた。 そのシーンの片隅に、ジルファーとリグラードの二人はいた。馬 を買いにいったローゲントを待っているのである。 程なくして、三頭の馬を連れて、ローゲントが戻ってきた。 「ジルファー、リグラード。おまえ達はどこへ向かうんだ?」ロー ゲントが馬に乗り込みながら、二人に聞く。 「俺は魔道士ギルドに行くつもりだ」リグラードが答える。 「取り敢えずは、北に行こうと思っているよ」続いて、ジルファー も答える。 「俺は西だから、ばらばらになるな」 「じゃあ、俺は行くぜ」リグラードは馬に乗り込むと、二人から離 れていった。 「じゃあな、ジルファー」ローゲントもジルファーに別れを告げ、 西へと去っていく。 残されたジルファーも馬に乗り込み、北へと馬を走らせた。 一本の道となった三本の運命の道が、再び三本の道へと別れていっ た。 今、三人はそれぞれの王への道を一人で歩き出したのであった。 |