三人の王 第一章 旅立ち <12>
三人の王

第一章 旅立ち

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 時代を遡ること五百年……。
 ギース島には、二つの国が存在していた。一つは東のロガルド王
国、もう一つは西のルーグ王国。
 時のルーグ王国の王、レイビーナは邪神の力によって、世界を支
配しようとしていた。
 しかし、当時のロガルド王、セリン3世はその事を知り、それを
阻止しようとした。
 まず、セリン王はレイビーナ王を説得しようとした。が、既にレ
イビーナ王は狂王と化していたため、その説得は無駄に終わった。
 セリン王はしかたなく、ルーグ王国に宣戦布告をした。
 戦争は二年続き、だんだんとルーグ王国は追い詰められていった。
そして、とうとうレイビーナ王は城を追われ、数人の側近だけをつ
れて、現在の死霊の森へと落ち延びていった。
 最後に、レイビーナ王とセリン王は洞窟の前で、一騎打ちをする
事になった。
 この戦いは最初、終わらないかに見えた。二人の剣の技量は互角
だったのである。
 二人は一時間もの間、剣を打ち合わせた。そして、最後に勝利の
女神が微笑んだのはセリン王であった。
 汗でレイビーナ王は剣を滑り落とし、それに気を取られたため、
セリン王の渾身の一撃を避けられなかったのである。
 このレイビーナ王の死によって、この戦争はロガルド王国の勝利
に終わった。
 戦いが終わり、平和が訪れると人々は皆思っていた。しかし、そ
んな人々の思いを裏切るように、それまで健康だったセリン王は正
体不明の病気にかかり、床に就く事になった。
 この突然の病気を人々は、レイビーナ王の呪いだと噂した。セリ
ン王がそれからまもなく死んだため、噂はさらに拡がった。
 しかも、セリン王の鎧にかかった、レイビーナ王の血が二度と消
えなかった事が、人々を恐怖のどん底に突き落としたのであった。
 それ以来、この森にはレイビーナ王を始めとした死霊達が現れ始
めた。そして人々からこの森は死霊の森と呼ばれ、レイビーナ王の
霊は死霊の王と呼ばれた。
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