三人の王 第一章 旅立ち <4>
三人の王

第一章 旅立ち

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 ジルファーが大通りを歩いていると、たくさんの人間の声が聞こ
えてきた。
 疑問に思い、その声の方へ歩いて行くと、ジルファーはある店に
人だかりができている事に気づいた。
 声がそこから聞こえている事は、間違い無かった。
 その店の看板には剣と盾の模様が書かれてあり、その下には『戦
士の宿』と刻まれていた。
「おい、何を騒いでいるんだ?」ジルファーが近くにいた男に尋ね
る。
「ん……? ああ、あいつらか。なんでも、黒い死神を退治しに行
くんだとさ」
「黒い死神……?」ジルファーはその言葉に、なぜか運命的な出会
いを感じた。
「知らないのか? 成功への道で旅人を襲う黒武装の男を? 奴を
倒せば金貨千枚の報酬を与えるっていう貼紙、見なかったのか?」
「そう言えば、貼紙が貼ってあるのを見たかも知れないな。ありが
とう」ジルファーは男に礼を言うと、再び歩き出した。
 大通りを抜け小道に入ると人影は多少、少なくなった。それでも、
王国の首都だけあって活気は変わらない。
 太陽がちょうど真上に位置した時、ジルファーはやっと首都から
出てネクスへ向かう道に入った。
 途中、二、三人の旅人に出会った以外は特に何事もなく、八日後
にジルファーはネクスに着いた。
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