三人の王 第一章 旅立ち <3>
三人の王

第一章 旅立ち

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 旅立ちの時、レシッドは一振りの剣を持ってきた。その剣は両手
用の剣よりも、一回りほど大きい剣であった。
「ジルファー、これは俺が鍛えあげた剣の中の最高の物だ。名前は
シルヴィファルツ。さあ、持っていけ」レシッドはそう言うと、ジ
ルファーにシルヴィファルツを手渡した。
「兄さん……、ありがとう……」ジルファーは言いたい事が山ほど
あったが、声にはならなかった。レシッドも同様だった。
 そして、しばらくの沈黙の後、ジルファーはゆっくりと振り向き、
町の雑踏の中へ歩いていった。
 その後ろ姿をレシッドはいつまでも見守っていた。その目はうっ
すらと涙で濡れていた。
 これが、二人の兄弟の永遠の別れであった。
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