−1日目−
こんな中、我が一行も去年の如く、体調不良の嵐に見舞われていた。出発まで一ヶ月余りという時点で、若干一名がダウン。点滴に繋がれる…という事態と相成った。その後もちょっとした事で疲れが出る。ここでキャンセルとなったらそれこそ幹事さんも泣くでは済むまい。という訳で、臨戦体制か戒厳令かできうる限り無理を控えて、白馬に向けての調整が続いたのである。 さて次の問題は、信州は白馬への道のりである。去年は当然の様に列車で向かった我が一行であったが、その実、その法外な交通費には相当にメゲていた。で、今年は最初から誰ぞのお車に便乗させて頂こうと画策していたのである。幸い、近隣のZさんが、知り合いのツテで格安のレンタカーを借りてくださる事に決定、他にも近隣から参加の方も含め乗り合わせて行く事に決まった。これで大助かりである。が、問題は別に発生していた。今回のキャンセルに泣いたのは幹事さんだけではなかった。毎年N家の車に運転手要員として同乗していくTさんが、N家のキャンセルであぶれてしまっていたのだ。 このTさんも実は近隣の人、という訳でTさんがZ車に乗れるかどうかが次の焦点となった。が、サイトの仕様書などを見る限り、お借りする車「イ○○ム」はそんなに広そうでは無い。Tさんも小型車は持っているので、それを出すか…という話も出るが、小型車で独りの旅はあまりに寂しく、また辛い。これはもう、お詰め合わせ繰り合わせでTさんにも乗って頂くしかない。という訳で、実に出発3日前にして面子が揃ったのであった。ちなみに、出発当日、集合場所に現れたTさんの荷物は、大振りのヒップバッグと言った大きさで、とても2泊3日の旅行の荷物とは思えない小ささであった。流石はTさんである。妙な処で、皆感心してしまうのであった。 行きの道中には、言うほどの事件は無かった。そんなに大きくないと思っていた○プ○○は結構広く、できる限り荷物を減らす努力をしたお影で荷物もゆったり積め、狭苦しい感じは全く無かった。当初「気分が〜」と零していた車酔い常習の若干一名も、高速に乗る頃にはすっかり慣れたのか以後何事もなく、思った以上に快適な走りを見せる○○サ○のお影で、一行は一路信州白馬へと驀進したのである。 途中、昼食を食べたサービスエリア「A」は、若干イマイチだった。タイミングが悪かったのか売り切れが多く、食べたいものが食べれん…と若干一名が拗ねていた。しかしまぁ、そんな事も瑣末である。何回かの休憩と運転手交代の後、車は無事JR白馬駅を通過する。あぁ、そう言えば去年はあそこで降りたのだなぁ…と感慨に耽っているこちらを尻目に、車は貸し別荘に向けて一直線… かと思いきや、迷った。どう見ても違う方向からの白馬ジャンプ台を眺めつつ、もう一度白馬駅からやり直したという話は、ここだけの話である。
そうこうしている内に、お子様用のカレーが出来上がった。このカレーはUさんが腕を振るった逸品である。このUさん、去年は来ておられなかったが、過去の貸し別荘では名を馳せた名料理人なのである。そしてこのお子様カレーが、また子供たちに大好評なのである。なにせ、上は小学校高学年以上から下は幼稚園児までが、このカレーに舌鼓を打っているのだ。普段はルーだけしか食べないのよ〜…というオチビさんが、人参やらじゃが芋やらお肉やらもパクパク食べて、2回もお代りをしている。その後にも何人もお代りが続くのだ。これは異常事態と言っても良い。 そもそもお子様のカレーと言うのは難しい。辛いのが駄目だとか言って市販の甘口ルーに頼ると、非常にイマイチな味になる。ちょっと舌の肥えた子は見向きもしない。だからと言って辛くないカレーを作ろうとしても、それは単なるカレー風味のシチューになってしまったりする。そしてちょっとでもピリピリ感が強いと、年齢の低い子は絶対に食べない。小学校高学年から幼稚園児までが、揃いも揃って「美味しい!」と即答するカレーというのは、永遠の命題みたいなものなのだ。聞きしに優るUさんの腕前。これは大人カレーも期待できると言うものだ。 今回のキャンセル多発は、いろいろと問題を発生させたが、その子供のキャンセルの多さ故、幹事さんには頭の痛い悩みがあった。花火である。毎年2日目の夜には、貸し別荘の前で大花火大会を催すのであるが、子供が少ないとどうにも盛り上がりに欠ける。それも、近所迷惑になる打ち上げ系は無く、去年火傷が続出した暴れん坊花火も、今年は数が減らされている。その代わり、線香花火が600本…という凄い数だったりするのだ。そんなこんなで、食事の済んだ子供たちは、まだ1時間はカレー待ちの大人達に付き添われ、第一弾の花火大会である。見ていないので何とも言えないのだが、この日やった花火は「F1」とか言う地面をぴゅ〜!という音と共に走って行く花火がメインだったらしい。上手く火を付けられずにめそめそするヤツもまぁ居る中で、第一弾は終了であった。 そして待望の大人カレーの出来上がりである。今回の大人カレーは3種類あった。まずは恒例、鳥のスペアリブを煮込んだMさんカレーである。もう2つは先程のUさん作成、豚のぶつ切りが入った、通称「黒カレー」と「灰カレー」である。この2つの調合の違いは企業秘密らしくて解らない。インスタントコーヒーが入っている…という噂もあったが、これも、どちらに何をどの程度かは解らなかった。ちなみに「黒カレー」は明らかに色が黒い。そして、黒カレーが一番辛かった…らしい。さすがに全部のカレーを味見するのは無理だったのでその辺りは伝聞である。 食べてみたカレーに関して言えば、Mさんカレーは相変わらず深い味わいである。鳥のスペアリブは半分がた煮溶けて骨からもダシが出ているのであろう、そんなに辛くは無く沢山食べられる嬉しい味である。Uさんの「黒カレー」はパンチの効いた辛さである。これ、口に入れた当初はそんなでもない。が、徐々に口の中に辛さが広がって行く。食べ進むにつれて頭の中に汗を吹いて来る。みんな汗だくで頬張る。 そして、実はお子様カレーも余っていた。さしもの子供たちも、鍋いっぱいのカレーを喰い尽くす程に食い意地は張っていなかったのだ。というか、ちょっと作り過ぎた…というのが実態である。それで、誰かが最初にこの残ったお子様カレーを食べてみた。そして「これ、美味しい!」の声。かくしてお子様カレーはどんどん減って行く事になる。このカレーの味わいは、一言では言い表せない。幼稚園児が食べるくらいだから辛くは無い。が、どこをどうとってもカレーの味である。しかし、市販のルーの味では決して無い。スパイス臭もそんなにしないのだが、いろいろな味が混ざりあって、実に味わい深い。結論として、この子供カレーが一番美味しい、という声が非常に高かった。あまりに美味しかったお子様カレー、子持ちの親御さんからはレシピのリクエストが相次いだ。Uさん、レシピよろしくです〜。 かくして大人もお代り続出である。全種類を制覇しようとする者も居る。お影であれだけ沢山炊かれていたご飯が、あっという間に無くなってしまった。そして、このお代り天国の被害者がTさんとHさんである。ちょっと遅れ目にお風呂に入っている間に、ご飯が無くなってしまった。可哀想な二人は、追加分のご飯が炊けるまで、カレーだけ食べる羽目になってしまったのであった。こうして大カレー大会は、好評の内に閉幕したのである。
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