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猛暑な動物記

−動物園−

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それぞれの楽しみ
 去年、旭山動物園へ行ってから、なんとなく動物園というものへの感じ方が変わってきた気がします。動物園も旭山の影響を受けて、あちこちで自分たちなりの工夫でお客を増やそうとしているし、こちらも改めてわざわざ遠い所まで行かなくても近隣の動物園に行くことがそこにお金を落とす事にもなるんだし、どんなに世知辛いと思ったところで、それが動物達の環境を少しでも良くする一番の方法だっていうのも事実で。最近キリンの赤ちゃんが生まれたんですよ、という報道もあって、ちょっくら動物園にもという事になったわけでした。

 動物園は時間帯によって微妙に雰囲気が違います。オープン時間は朝一番というヤツもいれば、もう既に一仕事(?)終えて小休止なヤツ、これからお休みなさいなヤツも居るわけで、どんな時間に行くかというのも楽しみ方のひとつだったりするんですが、ただこの猛暑の夏、炎天下を延々歩き回るのはあまりにしんどいし…というわけで、とりあえず昼過ぎからの散策となったのでありました。

 ◆キリン
 実は半年ほど前に行ったとき、お母さんのお腹には赤ちゃんが…という話は聞いてました。キリンの妊娠期間が何ヶ月かは知らないですが、その時見た限りではそんなにお腹がでっぷり、という印象もなくて、生まれるのはまだ当分先、みたいな気がしてたのです。それが最近生まれましたお名前募集中てな情報を得て、ちょっくら顔でも見てくるべ…ということになったのが今回。

 このくそ暑い中、生後何ヶ月な赤ちゃんが、果たして出てきてるんだろうか…という心配をよそに、彼は出てきてました。うっわぁ〜 ちっちゃいよ! 身長はお母さんの半分もありませんよ! でもしっかり大人の背丈以上はあるってのがさすがキリン。相対的に首がやや太い目でちょっと皺寄ってます。きっと、これからググッと伸びるのを考慮してあるんねぇ。

 この日表にはお父さんは出てきてなかったんで、終始母子水入らずって感じで。顔を擦りつけあったりお母さんが舐めたり、一度赤ちゃんがお乳吸おうとしたんですが何故かお母さんにいなされてました。人前ではダメってか? ちなみにお名前は幾つかの候補の中から投票という形でした。どんな名前になるのかなぁ?

 ◆ゾウ
 けっこうお年寄りなんで、あまり暑い日は早い目に撤収という丁度そんな時間に行き会わせました。飼育員さんが4人も居てまして、棒持った2人は待機、1人がゾウの耳持って誘導、1人はそのサポート。お部屋の手前の金属のゲートの前でしばし止まると誘導してた飼育員さんがホースを持ち出してシャワーしてやります。濁った水がボタボタ落ちて、随分と砂浴びしたんだねぇというのが見て取れるんですが、興味深いことも発見。ゾウの濡れた色と乾いた色、これ、後ろの壁の乾いた色と濡れた色とそっくり同じなんです。ゾウさんて、実はコンクリートの色だったのねぇ。知らんかったよ。

 ◆サル
 ニホンザルの猿山は見てて飽きません。高台てっぺんの回し車をグングン回すヤツ、やたら追いかけっこをしてるヤツ、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい仰向け大の字に寝転がって毛繕いをしてもらってるヤツ、そしてこの猛暑故、日陰んなってるところでゴロゴロしてるのが大量に…。

 そんな中、暑いときには暑いときな行動パターンがあるもので。猿山には山の中腹から竹の竿が何本か突き出ていて、時々先端に座ったおサルさんが反動を付けてポーンと飛び降りたりするんですが、この時期それを下のプールに向かってするんです。プールといってもけっこう浅そうなそこに、2〜3匹が同時にドボ〜ン!と飛び込むからなかなかの迫力。人間があの高さ(に相当する高さ)から飛び込んだら絶対怪我するんじゃないかと思うんですけどねぇ。底に身体を強打しないのが不思議です。

 夕方近くは動物達のお食事タイムが集中してまして、丁度おサルさんのも見られました。ここのおサルさんは旭山みたいに苦労して食べ物を取る、みたいなんはしないのか、はたまたこの時間帯は楽ちんタイムだったのか、飼育員さんがバケツに入れた餌を一面に撒いてくだけだったんですが、その後簡単な説明タイムがありまして、その間ボスとその直近の上位のおサルだけに直接バナナを投げてやってるんです。

 撒いてるのは主にリンゴ、ニンジン、サツマイモ(生と蒸かしたの)、煮干しなんかなんですが、ボスはこれにほとんど手を出しません。飼育員さんが投げてくれるバナナだけをひたすら受け取って食べてるんです。なんでもこうすることで格下のおサルさん達は落ち着いて食べることが出来るのだそう。でもバナナは限られたおサルさんだけの特権といういうわけ。話してる間にも次々バナナを投げる飼育員さん、でも時々お芋やニンジンを投げたりします。するとボス、途中までちょっと手を出すかと思えばそのままスルーしちゃうんです。時には手ではたき落としちゃうことも。で、時々はバナナをつかみ損なう時もあるわけで、そんな時には周囲の若いおサルさんがちゃっかりいただいちゃったりするんですが、それは咎められることはないようでした。

 ◆ペンギン
 ペンギンもお食事タイム見られました。バケツに入った餌は、生きてるお魚だとばっかり思ってたら動かないヤツでした。それをまたプールに適当に投げ入れるだけでペンギンさんも適当にくわえたり拾ったりして食べるんですね。

 中に何羽か、頭や背中にもこもこの羽毛がくっついてるのが居まして、羽が生え替わる途中なのだそう。そしてこの中途半端な状態だと体温調節ができなくて、水の中で餌を取る野生の場合、完全に生え替わるまで絶食…になるのが普通なんだとか。でもここは動物園。あまり潜らなくても良いように飼育員さんが彼らの近くだけタイミング良くお魚を投げてやったりしてます。それでもそもそも食欲は相当落ちるらしくてなかなか食べてくれないらしいのですが。

 そんな話をしつつ、飼育員さんの手にはこっそり特別なお魚が握られていました。それを一羽のペンギンが近くに来るたびに食べさせようとしているんです。でもなかなか食いついてくれません。失敗して水中に落ちたそれを、飼育員さんは必死で回収して再度トライを繰り返します。訊けばそのペンギンくん、ちょっとした感染症に罹っていて、お魚は薬を仕込んだ特製のもの。一週間近く、毎日必ず飲ませないといけない薬で、一度でも抜けると最初からやり直しになってしまうのだそう。他の餌で満腹になっては薬のお魚は食べてくれないし。そうでなくてもこの時期全体に食欲の落ちる彼らに、定期的に薬を食べさせるのは相当に大変そうで、飼育員さんの苦労が垣間見えるシーンでした。風邪っぴきペンギンくんも最後はなんとか薬魚を食べてくれて、飼育員さんも一安心という感じでした。

 ◆その他もろもろ
 バクもお食事タイムでした。おサルと同じようなメニューに白菜とかが加わってそれがおやつ。他に草や木の葉の時間もあって一日に約7キロくらいは食べるのだそう。そして同じくらい糞もするのだとか。いつもぼーっとしてるバクも、この時だけは元気そうにモグモグしてました。

 ライオンは丁度お食事タイムが終わった頃。既にまどろんでる側に鶏の頭がゴロゴロ。君は頭だけは残すんかい!

 マンドリル、やたらハイテンションで駆け回ってました。

 クジャク、飾り羽根が無かったよ。夏場は抜け落ちちゃうんです。彼らは春と秋の早朝と夕方が見頃です。

 フクロウ、小さいのから大きいのまで顔を揃えてました。フクロウは好きです。小さいのなんか欲しいくらいです。でもやっぱりみんな眠そうでした。

 ホッキョクグマ、居ませんでした。プールに水すら入ってません。夏場はきっと、冷房の効いたお部屋で寝てるんでしょう。最高気温36℃とか、そりゃぁ無理ってもんです。

少ないか?
 当然他にもいろいろ居ましたが、炎天下の動物園を歩き回るのには相当に体力も必要で、ささっと通り過ぎるだけが精一杯な所もいっぱいでした。丁度お食事タイムが多くて、それでけっこう時間を使ったんで、かなり好きなは虫類とか、ダチョウやシマウマなんかも今回はパスしちゃいました。

 最近は旭山を意識してなのか、やっぱり自分の担当の動物はアピールしたいのか、お食事タイムに行き合うと飼育員さんが熱心に説明してくれます。人が少ないと個人的に質問してもいろいろ答えてくれるし、ペンギンの説明なんかはそうやって聞いた話だったりするのでした。地味な動物だと良さを判って欲しい、というのが飼育員さんの一番の願いだったりするみたいですしね。

 でもやっぱりこんな話も。あの後知り合いの若い子に、「動物園でキリンの赤ちゃんが可愛かったよ〜」と話したんですが、その反応が「でもあの動物園、動物少なくありません?」だったんです。一瞬、まぁそうかな…とも思ったんですが、でも考え直してみると、あの旭山動物園で話題の動物って何? ホッキョクグマ、ペンギン、オランウータン、アザラシ、チンパンジー、猛獣… て、全部この動物園にも居るんですよね。旭山のキリンは1匹で、それもごく普通の小屋と運動場だったけど、ここのは3匹も居るよ〜。飼育員さん手作りの飼育日記も公開されてるし。

 確かにパンダは居ないし、おやじなカンガルーも居ないし、脱走するアリクイも居ないけど、でも旭山にだってそんなのは居ない。けっして動物が少ないわけじゃない。最近は説明書きも増えたし、いろんなイベントもやってます。飼育員の個性も見えたりします。旭山みたいに大規模な展示はなかなか難しいだろうけれど、それぞれにできる事を努力してやってて、どうやったら魅力的になるか動物園も頑張ってます。やっぱり地元の動物園を見に行くこと、それも何度か季節を変え時間を変えて見に行くこと、それが良さを発見できることに繋がるんじゃないのかな…と、改めて思ったのでした。

 夏の旅行代わり…としてはかなりささやかだったけれど、近隣のちょっとした場所でも充分楽しめるのを再発見した夏休みでした。今度はどんなところに行こうかな。今から少しずつ情報を集めていくのも良いかもしれません。

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