第55話 新しい世界


 さあ大変なことになりました。性格システムをフル活用した結果、ギアガの大穴に落ちてしまった勇者たちです!いったいどうなっちゃうんでしょうか?もしかしたら「おおゆうしゃよしんでしまうとはなにごとだ」って王様に言われちゃうんでしょうか?転落死なんて、冴えない勇者を地で行くようなものですけどね。



ほだか(以下、ほだ)「いてててて……腰、打った……」
ともき(以下、とも)「腰くらいで済んで良かったと思え」
ひでかず(以下、ひで)「あれ、結局みんな落ちちゃったんだ?」
とも「俺は落ちたんじゃなくて降りてきたの」
ひで「なんでもいいけど」
まさはる(以下、まさ)「しっかし、ここはどこだ?」


 ……生きていたみたいです。良かったですね、『勇者一行転落死!』なんてサブタイトルにならなくて。


とも「……穴から落ちてきたわりには、天井が見えないな」
ひで「天井という字と天丼とという字は似ているね」
ほだ「関係ないこと言うな」
まさ「俺は天丼より親子丼が好きだな」


 ここはいったいどこでしょう?どうも夜のようですが……周囲の様子をうかがうと、どうもどこかのお宅の庭のようです。


ほだ「まあいいか、とりあえずあそこの家にご挨拶に行こう」
まさ「不法侵入って怒鳴られる前に謝っておこうというこったな」
ほだ「そんなとこだね」
ひで「でも、穴に落ちたのにどうして家があるんだろう?」
とも「……アリアハンじゃ、井戸の底に人が住んでたぜ?」


 そういえば「ちいさなメダル」がずいぶん貯まっていますね……メダルおじさんなんてすっかり記憶の外に追いやられていました。
 とにかく、勇者たちは勝手口からその家に入りました。


ほだ「どうも、こんばんわ……」
まさ「そうか、もう夜なんだな」


とも「う、上の世界?」

 その賢者のリアクションが面白かったのか、主人はしばらく笑っていました。

とも「なんか変なこと言ったか?」
ひで「ううん、別に」

 主人は涙を拭きながら、言います。

*「ここは 闇の世界
  アレフガルドっていうんだ。
  おぼえて おくんだな。



ほだ「ア、アレフガルド!?」
ひで「闇の世界……」
ほだ「な、なんか聞いたことがある気がするんだが、気のせいか?」
まさ「さあ、な」

 実は一度、「アレフガルド」という言葉は(次回予告を除いて)しっかり出ているのです。覚えて無くても当然ですが……暇な人は探してみましょう、賞品は出ませんけど(笑)。


とも「とにかく辺りの様子を調べよう。今までいた世界とは別の世界らしいからな」


 一行は主人に詫びを言って(裏庭に不法侵入ですからね)、玄関から表に出ました。するとそこは小さな港になっており、一艘の帆船と小さな子供が見えました。子供は勇者たちを見つけると駆け寄ってきました。


まさ「ラダトーム?おい、聞いたことあるか?」
とも「うんにゃ、初めて聞く地名だ」

 勇者は慌ててGPS機能付き世界地図を広げてみますが……どうも、地図には載っていない場所のようです。もちろん、現在位置も表示されません。

ほだ「参ったな、そもそもここは小島らしいぞ……」
ひで「どうやってその城に行くかが問題だね」

*「あのね。父さんが
  船なら 自由に 使っていいって。


とも「えっ、いいの!?」
ほだ「か、かたじけない……」

 勇者たちはとりあえず主人に礼を言い、嬉しさ爆発のまま船に乗り込みました。

ひで「でもさ、他の乗組員がいないってことは……」
まさ「錨を上げろ!」
ほだ「やっぱりか」
まさ「帆を揚げろ!」
ひで「またか」
まさ「面舵いっぱい!」
とも「あーもう判ったよ」


 ……そういうわけで、一行は帆船で出発したのでした。目指すは東にあるというラダトーム!

ほだ「……あり?なんかすぐ陸地だぞ」


 はい、そうですね。船に乗って5分も経たないうちに対岸へと着いてしまったのでした。


まさ「トホホ〜、せっかく船長の座に返り咲いたってのによぅ……」
ひで「なんにも船長、でしょ?」
とも「みんなふざけてる場合じゃないぞ、敵だ!」


 陸地に上がってすぐ、モンスターの襲撃です!見知らぬ大地で初めて相まみえるモンスター、一同緊張を隠せません……が……


まさ「……なぁ、これって強いと思う?」
ほだ「……思わない」

 その赤いスライムを見て、一同やる気が失せてしまいました。

とも「いや、判らないぞ……案外強いかも知れん」
ひで「そうかな……僕の戦士としての勘は、明らかに『ザコ』だって言ってるぞ」
ほだ「じゃ、みんな何もしないでくれよ。ギラかけてみるから」


ほだ「よ、わ、い……」


 ギラ一発で退治できる程度のモンスターなら、もう余裕です。てきとーに戦って蹴散らしてしまいました。


ほだ「うーん、ここって本当にゾーマのいる世界なんか?」
まさ「それとも、俺たちが強すぎるのかもな」
ひで「それは言えてるかもね」
とも「うーん、『油断するな、これは罠かも知れない』って言いたいところだけど……」


 とにかく、赤いスライムを蹴散らして進んでいくと、街が見えてきました。そして大河の対岸には、城が見えます。



まさ「あっちがラダトームの城かな?」
とも「船に乗ったままの方が良かったのかも」
ひで「まあいいよ、とにかく街で情報を集めた方がいいと思う」
ほだ「そうだな、あの街へレッツゴーだぜ!」




 さあ、いよいよ闇の世界アレフガルドでの戦いが始まります!アレフガルドに隠された秘密、そして世界の平和の行く末は!?……といった所で今回はおしまいです。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 闇の世界、それはかつて精霊ルビスによって作られた、光満ちあふれる世界のなれの果てだった……消え去ったルビスの加護、そして暗躍するモンスター達……全ての真実を白日の下に晒すとき、再び大地に暖かさが戻った!


まさ「どうしてなんて、理由はないよ。ただ、やらなきゃいけないっていう、わけのわからない使命感だけがこの俺をつき動かしているのさ!」
???「ならばこそ、この闇の平穏を崩してはならんのだ!!」


とも「どうする、もう時間がない!」
ほだ「……俺が残る」
とも「なんだって!?」
ほだ「俺が残って、あいつを倒す!それしかない、回復も攻撃も一人で出来る奴じゃなきゃ、あいつは倒せない!」


ひで「行くよ、僕は行く!みんな仲間なんだ、仲間を見捨てるわけにはいかないよ!」
まさ「バカヤロー、お前が戻ったら意味が無くなっちまうんだぞ、あいつが残った意味が!!」



 永遠の光はない。それと同様に、永遠の闇もない……かつて『魔の10日事件』と噂された悲劇の真実が今、明かされる……!!


 次回、ドラゴンクエストIII「血染めのバンダナ」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)










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