第54話 暗礁


 はい、そういうわけで(判らない人は前回をちゃんと読んでね)お城を飛び出した勇者たちですが、おや?道ばたに座り込んでなにやら議論を始めましたよ???



ほだか(以下、ほだ)「で、例のゾーマとやらの居場所なんだが……」
ともき(以下、とも)「ふむ、ゾーマの居場所か」
ひでかず(以下、ひで)「そうそう、とっとと片づけて宴会をしよう」
まさはる(以下、まさ)「判ってるってば。で、ゾーマの居場所は?」
ほだ「そう、それが問題だ」
とも「別に問題なんてないじゃないか、ゾーマを叩きつぶすだけだろ」
ひで「うんうん、それで宴会」
まさ「いいねえ、俺立食パーティーじゃなくて温泉旅館の大広間がいいな」


 ……話がちっとも進展しませんね。


とも「……まさか、知らないとか言うなよな」
ひで「なんで僕の顔を見るわけ?そういうのはパーティーのリーダーである勇者の責任とは違うの?」
ほだ「何言ってんだよ、貴重な悟りの書を使ってまでも転職した賢者の仕事だろ」
とも「バカ言っちゃいけないよ、そういうのは昔からあちこち修行の旅に出ていた武闘家に聞けよ」
まさ「俺は宴会専門だから知るわけないだろう?」


 ……なんだ、誰も知らなかったんですね。


ほだ「仕方ないなぁ、じゃあ情報でも集めるか?」
まさ「それが妥当な線だな。だけど、この町の人間が何か知っているとは思えないぞ」
とも「うーん、じゃああちこちの王族やら年寄りに話を聞くことにしようか」
ひで「それしかないよね」
ほだ「じゃ、まず手始めに」


ほだ「やだな〜じいちゃん、もっと誉めて♪」
とも「アホか」


 そういうわけで、勇者たちは世界中をラーミアで巡る情報集めの旅に出たのでした。まぁファミコン版を経験していればギ●●の大●から●●ればそこは……っていうことくらい余裕で判るわけなんですけど、ちゃんとした情報を集めないとストーリーが成り立ちませんからね。


ほだ「だ、誰も知らないのか?」


 探せども探せども、情報は見つかりません……途中ポルトガで「すべてあなたのおかげです!」なんてお礼を言うカップルから、女性にしか使えない武器「ゆうわくのけん」なんてものを貰っちゃいましたが、これって新手の嫌がらせなんでしょうか(笑)。男だけのパーティーなのに、ねえ。


まさ「仕方ない、犯罪捜査はまず現場付近の探索だ。バラモス城の周囲を洗うぞ」
とも「何が犯罪捜査だよ」


 まぁ無目的にほっつき歩いていても仕方ないので、バラモス城周辺を探すことにしました。




ひで「ねぇ、あれは何?」
ほだ「んあ?あれはギアガの大穴っつってな、人によっては『全ての災厄はギアガの大穴よりいずる』なんてことも言うな」
とも「昔、ここらへんが海底だった頃にあった海底火山の噴火口だって話だぞ。噂じゃバラモスがあんな風になったのも、あそこを観光してからだとか」
まさ「ふむ!そいつはクサいな」
ほだ「は?」
まさ「つまりだ。あそこが犯人のアジトかも知れないって事だ」
ひで「あるある、ラストダンジョン!」
ほだ「なるほどね、あそこの地下にゾーマの秘密基地があって……」
とも「捕まって改造人間にされちゃうってか?」
まさ「話をまぜっかえすな!」


 とにかく、ギアガの大穴周囲を探索することになったわけですが……観光地として整備されていたはずの「ギアガの大穴」が、あちこち崩れています!


ほだ「こ、これは一体!?」
まさ「あそこに観光協会の人がいるぞ。事情を聞いてみよう」



とも「地殻変動?」
まさ「アリアハンの城が揺れたのは、あれ大地震だったっていうことか?」


*「なにか 巨大なものが
  この大穴を 通っていった
  ようなのだ!



ほだ「巨大なもの?」

*「そして 私のあいぼうが
  この穴に……ああ!



まさ「落ちた、ってわけか……」
ひで「うわーおっかない。近寄らないようにしよう」
とも「そうだな、落ちて死にでもしたら大馬鹿だ」
ほだ「んん〜?怖いのかなキミタチ?」


 勇者は何を考えているのか、にや〜っと笑って穴へと近づいていきます。


まさ「バカ、落ちたら死ぬぞ」
ほだ「なになに、『落ちたら死ぬ』ってことはだ。『落ちなければ死なない』っていうことじゃないかね」
とも「また調子に乗って……あっ、あいつの装備品目から『うさぎのしっぽ』が外れている!」
ひで「っていうことは、今の性格は……」
まさ「お、『おちょうしもの』だあっ!!」


 やや、今さらながらの「性格システム」ネタです(笑)!しっかし、この「性格システム」ってあんまりゲームの内容に影響ないですよね……確かにパラメータの伸びは違うようですが、シナリオにもストーリーにもそれを生かすことができないのでは意味がないですね。


ほだ「あっはっはっはっ何をおっしゃるうさぎさん、私は落ちない!そして死なない!」
ひで「言い切るねぇ」
ほだ「何故ならば、私は『ゆうしゃ』だからだ!『主人公』だからだ!」
まさ「……」
ほだ「ほらほら、逆立ちだってしちゃうよ……うわっ!」
とも「言わんこっちゃない!!」

ほだ「あーれー……」

ひで「お、落ちた……」
まさ「……」


 大変です!足をすべらせた……というよりも手がすべったというべきでしょうか、勇者はぽっかりとその暗黒の口を開けている、ギアガの大穴に落ちてしまったではありませんか!


とも「……どうする?」
まさ「……さあ、な」
ひで「うわー、ちょっと先も見えないよ。こりゃ死んだかな」


 なんか呑気なこと言ってますけど……


まさ「……仕方ない、ロープあったか?」
ひで「どうするの?」
まさ「命綱にして、降りるしかなかろう」
とも「どれくらい必要なんだ?あんまり長さはないぞ」


 賢者ともきはリュックから20メートルほどの、黄色と黒のロープを取り出しました。


まさ「はしっこを建物の基礎に縛っておけば大丈夫だろう……よし、じゃあ降りるぞ」
ひで「うん」


 武闘家まさはるがゆっくりゆっくりとギアガの大穴へ降りていきます。すると、ある程度行った時点で彼の体がすっ、と闇にとけ込んで見えなくなったではありませんか!

とも「お、おい大丈夫か!?」
まさ「ん?真っ暗で何も見えないだけだが」
とも「ならいいか……ってオイ!」
ひで「ん?」


 なんと、戦士ひでかずまで細いロープを伝って下りようとしています!


とも「やめとけって!切れるぞ!」
ひで「え、みんなで探しに行くんじゃないの?」
とも「何考えてんだ、ロープが切れたらおしまいなん」

ぶちっ。


まさ「うっ、うわーっ!!」

ひで「うぎゃ〜!!」



とも「い、言わんこっちゃない……」



 とうとう3人もの仲間がギアガの大穴に飲み込まれてしまいました!呆けていても仕方ないので、賢者ともきはため息をつきつつも、思い切ってギアガの大穴へとその身を踊らせました……といった所で今回はおしまいです。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 人は平和を好む。しかし、争いもまた人の本能の一部……かつての英雄戦争、つまりオルテガとサイモンが相まみえて戦った頃、全ての決着を求めた賢者ゾーマは光の塔・プリズムタワーの高みからエルゴスの秘宝を掲げた。人々の心から邪さを吸い取り、漆黒に変わる秘宝。その重さに耐えきれなくなったプリズムタワーは崩れ落ち、その衝撃で壊れた秘宝から芽生えた悪意はゾーマの肉体を乗っ取ったのだった。


ほだ「だって、相手は大人なんだよ?おじさんでもいいよ、助けてよ!」
???「その子だって戦っているんだろう?戦う方法はいくらだってあるはずだ……いいか、男の戦いを決めるのは、熱く燃える魂だ!」
ほだ「熱く燃える、魂……」

???「馬鹿な、なんでアクセスできる!?」
とも「クククク……どうしていつもいつも、重要な奴がオンラインで繋がっているんだか!」

まさ「その言い分は判る。だけどな、判っちゃいるが、判るわけにはいかないんだ!」
???「フン、今さら遅い!一度は世界の滅亡を願った者が!」
ひで「どうして……どうしてなんだよ!どうしていつもいつも、こうなっちゃうんだよっ!!」




 地下世界を手に入れて地上へと進出を図るゾーマに立ち向かう勇者たち。戦いは激しさを増し、そして一陣の風が吹き抜けた……それは、かつて聖者と呼ばれた頃の、ゾーマの想い……


 次回、ドラゴンクエストIII「決戦・プリズムタワー跡」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)










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