第51話 決戦!!


 バラモス城へ乗り込むことになった勇者たち、その前にアッサラームでベリーダンスを楽しむという余裕を見せつけますが……


ほだか(以下、ほだ)「あっははは、ピューピュー!いいぞいいぞ〜!!」
ともき(以下、とも)「ふう、全くこいつが羨ましいよ。本気で楽しんでやがる」
ひでかず(以下、ひで)「緊張感ってものがないのかね?」
まさはる(以下、まさ)「あー駄目だ、もう俺ドキドキしてる。勝てるかな?どうかな?」


 一部を除いて、ちゃんと人並みに緊張してるみたいです、はい。


ひで「悪い、僕先に宿へ戻るよ」
とも「あっ、俺も」
ほだ「なんだよ、これからお楽しみなのに」
まさ「ま、代わりに楽しんでくれや。俺も抜けさせてもらうよ」
ほだ「ちぇっ、ノリが悪いんだから……ワオウ、いいねいいね〜!あっおね〜さん、水割りひとつ」


 勇者を残して、3人は先に宿へと戻りました。いつもより念入りに武器の手入れをし、道具のチェックをして、さっさとベッドに入ります。しかし勇者は戻りません。


ひで「遅いね」
まさ「もう寝よう。あいつは……なんとかするんだろう、きっと」
とも「ある意味、あいつが一番緊張してるのかもな。何か理由を付けて一人になるより、ああ振る舞った方が自然に一人になれる」
まさ「そうかね?俺には、本気で楽しんでいるようにしか見えなかったけど」
ひで「でもさ、あんなに浮かれてるの見たのは初めてだよ」
とも「……いいから寝よう」






ほだ「……」


 その頃勇者は、町の中心にある噴水に映る月を見つめて、何か考え事をしていました。しばらく考えた後、彼は頭を軽く振って、宿とは反対の方に向かって歩いていきました。



 いちおう勇者も人の子ですから、不安な気持ちや弱音くらい持っているわけです。でも、そういうことを人前で吐くのは嫌な性分ですから、一人で紛らわせようとしているのです。元々仲間たちも彼が無理矢理ルイーダの酒場で登録して引っぱり出したわけですから、仲間の前で不安な顔はできないと思っているのです。ううっ、健気な若者ですね。


 そして次の日の朝……


ほだ「では諸君、バラモス討伐へと出発する!」
まさ「おう!……ってお前、昨日結局帰ってこなかったよな?」
ほだ「はい?」
ひで「今朝だってどこでご飯食べたの?」
ほだ「まぁいいじゃないか、イロイロあるんだよイロイロ」
とも「別に良いけれどね……できれば今回限りにして欲しいな、そういうの」
ほだ「どういう意味だよ?」
とも「チームワークって判るよな?」
ほだ「……悪かったよ、二度としない。二度としないと思う。しないんじゃないかな、まちょっと覚悟はしておけ♪」
まさ「……」


 誤魔化す勇者ですが、まぁそんなことは大事の前の小事にしかすぎないわけで、一同が緊張の面もちでラーミアの背中に乗る頃には、すっかり忘れ去られていました。



ひで「頼むよ、ラーミア!」


 今回は昼ですから、間違いようもありません。ラーミアはまっすぐに、バラモス城を目指して飛んで行きます。


まさ「待っていやがれバラモスめ!今こそ正義の鉄拳をお見舞いしてやるぜ!」


 バラモス城についての詳しい描写は割愛させていただきます。元は栄華を誇ったネクロゴンドの王城も、今は不気味な気配漂う魔物の根城。中は迷宮に作り替えられ、幾多のモンスターが潜む悪意のダンジョンになり果てていたのですが……


ひで「とりゃ!!」
ほだ「でりゃ!!」
まさ「ふんっ!!」
とも「俺は見てるだけ。あー楽チン!」


 ま、最初は回復に不安のあった超攻撃型パーティーでしたが、一撃で倒れないだけの体力を備えた今では、存分にその破壊力を発揮できる無敵のパーティーと化していたのでした。


ほだ「おや、あんな所に変なのがいるぞ。カエルかな?」
まさ「ぶっさいくやな〜、きっと呪いで動物に変身させられた人だな」


 祭壇の上に、なにか変な生き物がいます。



ひで「ダメージ床で逃げられないようにしてるのか……」
とも「動物園?」


 まぁ、魔王の被害者だとしたら助けるのが勇者の務めです。とりあえず話しかけてみることにしました。


*「ついに ここまで来たか
  ほだかよ。


ほだ「おうっ?僕の名前を知っている、あなたは誰だ?」
まさ「まさか、勇者オルテガ?」
ひで「そんなわけないでしょ」
ほだ「俺の父さんは人間だ(怒)」


 それ(失礼)は口元を怒りでひくひくさせながら言葉を続けます。

*「この大魔王バラモスさまに
  逆らおうなどと 身のほどを
  わきまえぬ 者たちじゃな。


とも「え゛っ!?お、お前がバラモスか!?」
ほだ「かっこわる〜!」
まさ「ださ〜!」
ひで「痛ぁ〜、痛すぎる〜!」


 完全にバカにしてます。


バラモス「うっ、うるさいぞ貴様ら!ここが儂の見せ場じゃ、黙って聞かんか!」
ほだ「こーんなヘンなのに世界が征服されかかってんの?正気?」
とも「センスを疑うね、その格好」
ひで「あーあ、もっとこう『好敵手』!って感じのナイスミドルな魔王を期待してたのにね」
まさ「カバか鳥かはたまたカエルか……」
バラモス「黙らっしゃい、この小僧どもが!!」


 バラモスは怒っています。まぁ、ネクロゴンド王国の下級官吏だった彼が、悪魔に魂を売って魔王になるきっかけが容姿を含む劣等感だったわけですから、勇者たちの悪口は見事に古傷へクリーンヒットしたわけです。



バラモス「ここに 来たことを
  くやむがよい。



ほだ「ほんと、後悔するよな。親父が無事にここへたどり着けてれば、それできっちり終わってたんじゃない?」
まさ「美的センスのカケラもないものを見せられたという意味では、悔やんでも悔やみきれないね」


 バラモスは額に青筋を立てて、それでも魔王らしく威厳を保とうと必死になっています。


ひで「あ、宿屋にブラシ忘れてきちゃった。早く取りに行かないと」
とも「昨日、もっとベリーダンス見ておけば良かった」


バラモス「ふたたび 生き返らぬよう
  そなたらのハラワタを
  喰らいつくしてくれるわっ!



 最後の『わっ!』のあたりで涙目になりながら、バラモスが襲ってきました!








 ……ま、平均レベルが40超えていれば、いかに強力な魔王といえど1対4。最初から負けるはずのない戦いだったわけですね。しかもこのパーティーの戦闘力はか・な・り強力ですから、ごくあっさりとバトルが終了するのも当然でしょう。

 とにかく、アリアハンの勇者一行によって魔王バラモスは倒されたのです!といった所で今回はおしまいです。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 バラモスとの戦いを終えて、懐かしきアリアハンに戻った勇者たち。彼らを待っていたのは、世界中からの感謝と祝福だった。人々の笑顔、溢れる音楽、そして平穏の日々……この世界に戻った平和を噛み締めながら、勇者たちは「ひとりの人」へと戻っていった。



とも「どうしても行くのか?」
ひで「……前から決めてたことだからさ」
ほだ「……淋しくなるな」
ひで「どうしたんだよ、いつもみたいに冗談は言わないの?」
まさ「……頑張れよ。世界は平和になったと言うけれど、まだ魔物は残ってる。僧侶は武器を制限されるからな、あんまり無茶はするなよ」
ひで「判ってるさ」
とも「どれ、じゃあ俺がダーマまで送ろう」



???「迎えに来たぞ」
ほだ「ああ、待っていたよ」
???「お前は立派に使命を果たしたぞ、このあたしも鼻が高い」
ほだ「そうかい、それは良かった」



???「そうですか、父は……」
とも「ここから行ける最短ルートを確保しています。せめて、お墓だけでも……」
???「そうですわね……ごめんなさい、何から何まで」
とも「いえ、いいんですよ別に!」



まさ「言ったろう?必ず戻ってくるってさ!」
???「兄さま……」
まさ「終わったんだよ、魔物に怯える日々はね」
???「そう……やっと……兄さま……」



 戦いの日は過ぎ、そして仲間たちも散り散りになっていく……日常という時間がゆっくりと動き始め、そして彼らの残した偉業は伝説へと昇華され、天に昇る龍となって夜空に煌めく!!



 次回、ドラゴンクエストIII・最終回「そして伝説へ……」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)










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