第46話 愛ノ想ヒ出


 さぁ、いよいよ噂の幽霊船に乗り込みます。潮風のために蜘蛛の巣などというものはありませんが、妙に埃っぽくあちこち床板が腐っています。


ほだか(以下、ほだ)「これは……『片目のウィリー』の海賊船かも知れない」
まさはる(以下、まさ)「また馬鹿なことを」
ひでかず(以下、ひで)「僕は眠いよ……さっさと終わらそうよ」
ともき(以下、とも)「比較的近年のタイプだから、資料的価値はなさそうだ」


 めいめい勝手なことをいいながら進んでいきます。と、船室には白骨死体が!


ひで「うわっ、ガイコツ!」

*「どんな 嵐が来ようと
  わしの船は ぜったいに
  沈まないのだ!わはははは!

とも「……なんだこいつ」
まさ「残留思念、というやつだろうか?」


 ガイコツは嬉しそうに言って、舵輪を握ります。舵輪は壊れているようですが、おかまいなしです。


ほだ「眠気が失せちゃったよ……んん?あれは!」

 と、ほだかは突然船のへさきに向かって駆け出しました!


ほだ「う~ん、タイタニック!」
とも「……くっだらねぇ~」

 すいません、筆者この映画も見てないんです。不勉強ですねぇ。

とも「おや?悪魔みたいな格好してるのがいるぞ」
ひで「なんだろうね、コスプレかな?」


 妙な格好の人物に話しかけてみると……

まさ「うわっ、本物だぁ!」


 まぁ、ミニデーモンが一匹でてきた所でいまさらって感じですね。あっさりと退けます。


ほだ「ふさわしいしかばねが一つ増えたってわけだ、良かったな」


 階下では、巨大なオールに幾人もの亡霊が取りついています。骨になっているもの、生前の姿を残しているもの……

*「船をこぐのは ドレイか
  罪人の仕事なのさ。


*「つれーよぉ……。


*「おれたちゃ ドレイよ!
  ギーコ ギコ!

まさ「最後の奴、あんまり悲壮感がないなぁ」


*「あ 嵐が来る…… 風が…
  波が…… ああ!


*「死んじまってても 船が
  こげるなんて 知らなかったよ
  ハハハ……。

とも「だから笑うなってば」


*「おぼれて 死ぬのは 苦しい……
  いやだ!死にたくねえよお!


*「おら 人を殺しちまったでな。
  どんな 死にかたしたって
  しかたねえって 思うだよ。
  でも そこにいた エリックて
  やつは 無実の罪だったって…
  かわいそうになあ……。

ほだ「エリック!どこかで聞いた名前だ!」
まさ「Mr.エリックの超魔術……」
とも「それは俺が言ったギャグじゃないか」
ひで「黙殺、黙殺」


とも「これは典型的な自縛霊だね。死の間際の記憶を喋っている」
ほだ「オリビア!そうか、こいつが例のエリックか!!」


 エリックの霊は、寝転んだまま呆然と続けます。

エリック「でも ぼくは 永遠に
  忘れないよ… キミとの
  愛の思い出を……

ひで「愛の思い出か……」


エリック「せめて キミだけは…
  幸せに 生きておくれ……

まさ「いや、オリビアさんもう死んでるんですけど……」


 エリックの霊は聞く耳持ちません。自縛霊となった時点で新しい知識を得ることはかないませんから、まぁ仕方のないことですね。同じことばかり繰り返すエリックを放っておいて、勇者たちは宝箱の探索を始めました。
 船尾にある乗組員の部屋にあった宝箱の中には……



とも「うへっ、これ、交換日記だ……」


 そう、それは表紙に「愛の思い出」というタイトルの入った日記帳でした。


まさ「うっわ~、読みたくない読みたくない!」
ほだ「どうせ甘ったるいことばかり書いてあるんだろ?」
ひで「早く道具袋に入れちゃおう」





 さて、ついにオリビアとエリックの「愛の思い出」を手に入れました!さぁ、次回はオリビアの岬に挑戦します!岬を抜けた所には、いったい何が、どんな出来事が待っているのでしょうか!?といった所で今回はおしまいです。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告



 水の巫女と名乗る少女は、水没した世界の中にただ一人、水の神殿と呼ばれる太古の遺跡を護っていた。クリスタルの暴走の影に魔物の姿があると知った少女は、微かに残ったクリスタルの「意志」から何かを知り、勇者たちを神殿へと誘う……



???「そこにいるのは誰!?」
まさ「えっ、人がいた!?」
???「立ち去りなさい、ここは聖なる神殿!」


ほだ「馬鹿言え……こんな所で諦めるために、僕たちは旅をしてきたんじゃない!」
とも「しかし、もう限界だ!クリスタルを!!」


ひで「どうして……こんなことを、お前たちはァ!!」
???「チッ、小僧共め悪運の強い!」



 勇者たちの身代わりとなって倒れる少女。その涙が、水のクリスタルの力を勇者たちに与え、水の力は均衡を取り戻して世界は元の姿を取り戻す。
 しかし、少女の命は失われてしまった……勇者はその勇気に涙し、この世界から闇を払うことを胸に固く誓う。
 それが自己満足であろうとなかろうと、勇者たちには進むことしかできないからだ。


 次回、ドラゴンクエストIII「水の巫女」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)










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