第44話 忘れられた島の忘れられたスープ
さて、ポンタバークの街を出た勇者たちです。『船乗りの骨』が導く先には、いったい何が待っているのでしょう?というわけで、勇者たちを乗せた船はあっちこっち進んだあげくに見たことのない島へと到達しました。 ほだか(以下、ほだ)「……そろそろ真水の補給が必要かな?」 ともき(以下、とも)「地図と骨の差す座標の数から割り出したX地点は、どうもロマリア近郊らしいことが判った。ここからだとずいぶんな船旅だから、食料も少し多めに仕入れたいね」 はい、勇者たちは一定距離を進んだ時点で船乗りの骨を使い、だいたいの単位を割り出すことに成功していたのでした。ちなみに今いる島からですと……『南に101、東に88』だそうです。 ひでかず(以下、ひで)「しかし、ポンタの街で買ったドラゴンキラーは強いねぇ!ここいらへんの敵なんか一撃だよ、一撃!」 まさはる(以下、まさ)「……俺の武器って、黄金の爪で打ち止めかい?」 そんなことを言いながら、街に入る勇者たちです。しかし、街の様子がどうも変です。 ほだ「街、って言うよりも集落?」 まさ「店なんか期待できそうにないな」 とも「うわ、遺跡の中に家作っちゃってるよ……この柱、古代ロマリア帝国時代の建築様式で貴重品なのに物干しになってる……もったいない!」 ひで「人が少ないねぇ〜」 そうなんです。街の中には人があまりいません。自然がたくさんあると言えば聞こえはいいですが、どうも過疎の村のような感じです。 ![]() ひで「忘れられた島?」
とも「だろうね。もっと人が来ていれば、この遺跡の価値も判るだろうに」 まさ「ってことは、新しい武器とか防具とかは期待できないということか……トホホ」 ほだ「仕方ないさ、それに今の装備だってけっこう強力だから、無理して新しいものに乗り換える必要なんかないよ」 集落はずいぶんと古びていて、あちこち水没している部分さえあります。長い年月の末に、低い部分が水に浸かったのでしょうか、それとも元々このような設計だったのでしょうか……それを知る術はありません。 ひで「あっ、お店がある!」 ![]() ひで「トホホ……」 勇んでカウンターに駆け寄ったひでかずでしたが、店の主人はすまなそうに頭を下げました。 ほだ「ドラゴンキラーが強いんだろ?しばらくはそれで大丈夫」 まさ「俺なんかずっと装備品変わってないんだぜ!?それに比べたら問題ないよ」 とも「せめてこの遺跡のガイドブックでもあれば欲しかったのに……」 店の主人は勇者たちのそんなやりとりを聞いて、ポンと手を打ちました。
まさ「ガイアの剣?」 とも「勇者サイモンの持つガイアの剣か……」 ひで「強力な剣なんだろうか?」 ほだ「重要な情報かもしれないぞ。どうも、ありがとうございました!」 店を離れ、勇者たちは民家へと入っていきます。少し暗い部屋の中には老人がひとり、椅子に座っています。老人は勇者たちを見ると、目を大きく見開きました。
とも「♪遅れて〜、ごめんね、オマタセマン♪」 ほだ「またそういう一般人には判らないネタを……」
まさ「ネクロゴンド……」 ひで「それはもう知ってるよ。テドンの村の近くだろ?トホホ、また思い出しちゃったよ……」
ほだ「えっ、捨てちゃうのか!?もったいない……」
とも「ウム、勇者オルテガが行方不明になったのは、火山の火口だと聞いた。オルテガとサイモンが合流しようとしていたのは、その剣を使って魔王の神殿とやらに向かうためじゃないのかな?」 まさ「あり得る話だな」 ひで「しかし話が急展開だね」 老人に礼を言って、勇者たちは別の建物に向かいます。展開が早いのは、ちょっと急いでいるからです(笑)。さっさと進めないと、この人たちは余計な方向に話を進めてしまいますから。 船員が使う望遠鏡の巨大なやつが生えている建物に入ってみると、そこには学者がひとり、何かメモを取ったり辞書を引いたりといそがしそうにしています。 ![]() まさ「は?」 学者は勇者たちに気づくと、突然そんなことを言いました。
とも「……はぁ」
ひで「島流しって……オイオイ(汗)」
ほだ「地面が丸い、ねぇ……」 まさ「よく判らんなぁ、だって地面は平らじゃんか」 最後の学者は何のヒントだかよく判りませんが……とにかく、「ガイアの剣」を「火山の火口に投げ込む」と何かが起きる、ということが判りました。さぁ、次回こそは「船乗りの骨」が指し示す場所にたどり着けるのでしょうか!?といった所で今回はおしまいです。さてさて、これからどうなりますやら。 えっ、『忘れられたスープ』は結局なんだったって?それは、ただの語呂合わせです、気にしないように。ちなみに「○ォーチュ○クエ○ト」、読んでました(笑)。 では、次のお話でお会いしましょう。 世界がこのまま平和でありますように…… 次回予告 悲劇と喜劇の間に、大した差はないと詩人は言った。当人たちがどのような言動を取るかで、悲劇か喜劇かが決まるという彼は、人の心を濡らす悲劇よりも人を暖かくする喜劇にこそ価値があると説く。彼が死の間際にも笑顔でいたのは、そのためだったのだろうか? ???「星は舞い、風は歌う!そんなことばかり望みたがる宮廷は飽きたのですよ」 とも「だからって、いきなり漫才は難しいと思うけどな」 ほだ「ぼっ、僕!?」 ???「そうです、私とコンビを組んでお笑いスターを目指すのです!」 まさ「くっだらねぇ!最後までくだらねぇ!」 ひで「全く……これが喜劇かよ!?」 ???「グフッ…………なぜだ、何故笑わない!?死を賭けたギャグに、なぜ!!」 無駄なことに命を賭ける、これこそが芸術家だと叫び詩人は火中に身を投じた。それが正しいことなのかどうなのか、勇者たちには判らない。 ただ、自分の理念に殉じたことだけは、良かったのではないかと思うしかないのだ。 次回、ドラゴンクエストIII「炎の芸魂」、ご期待ください! (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください) 第45話へ 「DQ3-Replay」トップに戻る | |||||||||