第31話 めざせ黄金の国
さぁ!いよいよあと一人です!シリアスなストーリー、高まるラブ!残るは一人だけです! ともき(以下、とも)「何のことかな?俺にはそういうのは似合わないぜ」 ほだか(以下、ほだ)「似合うとか似合わないとか、そういう問題じゃないんだよ」 まさはる(以下、まさ)「そうそう、そういう問題じゃないの。時がくれば強制的に……ふっふっふ、あと一人だぜ……」 ひでかず(以下、ひで)「……でも、2人はまだいいよな。僕なんか、相手がもうこの世にいないんだぞ?どうすりゃいいんだ」 詳しくは前回を読もう!って、皆さん読んでますよね(笑)。 ほだ「聞くところによれば、1000年前に亡くした恋人が神の力で甦った……という人もいるらしいぞ。最終ボスを倒して神さまを魔の手から救い出したらという条件付きだが」 まさ「それは俺も聞いたぞ。確か、ジパングという国での話だったと思うが……」 ひで「じゃあ、さっそく黄金の島・ジパングを目指そう!」 とも「慌てるんじゃないよ!どうせならランシールを経てアリアハンに一度帰ろう」 まさ「そりゃまたどうして?」 とも「この船、四人で動かすのは辛すぎる。アリアハンには元漁師だった人が結構いるはずだから、そこで乗組員を募集しよう」 ほだ「お前、冴えてるなぁ」 とも「おう、さっき袋の中にあった『あたまがさえる本』を読んだから」 ああっ、そう言われればともきの性格が「きれもの」に変化していました!……それから、1000年前がどうこうという話、それ別のゲームなんですけど…… まさ「勝手に性格変えるなよ〜」 とも「賢者になったんだからいいじゃん。それから、ちゃんと舵輪は握ってろよな、船が流されたらどうするんだ」 ほだ「おっ、陸地発見!あれが噂のランシールだな」 さっそく船を陸地に横付けして、街へと入った勇者たちです。 まさ「さ、情報集めだ。あの娘が言っていた『カギ』だなポイントは。カギについての情報を大募集!という感じで行こう」 まぁ聞き込みというのは地道な仕事です。面倒がらずに色々な人に話を聞く、これがRPGの基本ですからね。攻略本なんかに頼るのはよくありません、ヒントはどうでもいい会話の端々に隠されているものなのですから!
とも「よし、名前が判明した!『最後のカギ』、こいつだ!」 ひで「そうか、ユキちゃんが教えてくれたもの……それは、最後のカギか!」
ほだ「ツボか……『あれは、いいものだ〜』ってな感じか?」 まさ「いやいや、『クッシャミひとつで呼ばれたからは〜』って感じだろう」
とも「ツボねぇ……今までにツボ型のアイテムなんかなかったもんな、きっとそれの底にカギの隠し場所が書いてあるとかツボ自体がカギになっているとか、そんなことだろう」 ひで「頑張るぞ!そしてバラモスを倒した暁には、僧侶に転職して冥福を祈る……これだ、これしかない!」 なんか勝手に盛り上がってますが(笑)、村の北になにか建物があるのを目ざとい勇者は見つけたようです。お店の脇を抜けて、細い道を歩いていくとそこは大きな神殿でした。しかし、見たことのない扉が行く手を塞いでいます…… ![]() ひで「ちぇっ、やっぱり『最後のカギ』が必要なわけか」 まさ「くぅ〜、この奥にはきっとお宝がどっちゃり!だぜきっと!」 おや?勇者は何か鼻をひくひくさせていますが…… ほだ「スライムくさい」 まさ「は?」 ほだ「スライムがいる」 ひで「なんで?」 ほだ「僕が知るか!とにかくスライムくさいぞ、こっちだ!」 狭い路地を抜けると、そこには確かにスライムが!
いきなりスライムは話しかけてきました!びっくり! ほだ「うおー、人語を解するスライムだ!初めて見たこんなの!誰かが着ぐるみの中に入ってるわけでもないのに、人の言葉喋った!」 まさ「消え去り草?……ああ、さっき道具屋で買ったぞ」 ひで「なんでそんなもの買ったの?」 まさ「今まで売っていなかった品物っていうのはな、これから先の旅に必要なものなんだ」 とも「うん、その通りだな。なかなかいい心がけだ」 ほだ「性格が変わったら、なんだか憎たらしい言葉づかいになってないか?」 とも「ん、気をつける」 スライムは目をきょろきょろさせます。まさはるが消え去り草の束を見せると、スライムは嬉しそうに飛び跳ねました。
ひで「エジンベア?また新しい地名が出てきたよ……」 ほだ「どこだそりゃ?教えてくれよ」 しかしスライムは意味ありげな笑いを浮かべて飛び跳ねるだけ。 まさ「ちっ、こいつからはこれ以上の情報収集は無理だな……」 ひで「カギか……そしてカギのためにツボが必要……よく判らないなぁ」 とも「この村には、『最後のカギ』を手に入れてから来るのが正解ルートみたいだな。最初の予定通り、アリアハンを目指そう」 まさ「ふと思ったんだがな……ルーラしちゃったほうが、早くないか?」 ほだ「おいおい、船はどうすんだよ」 まさ「だから、向こうで船員雇ったら一緒にここまでルーラしてくればいい」 とも「……悪いが俺のルーラは定員四人までなんだ」 結局、また船に乗り込んだ一行です。備え付けの望遠鏡で遙か水平線を覗くと……ああ、アリアハンらしき大陸が東の海に見えます! まさ「うん、このままの速度で行けば、午後にはアリアハンにつくぞ。海の魔物も心配していたほど強くないし、誰も船酔いしないし、結構結構!」 魔物の襲来もなく、以外にあっさりと故郷・アリアハンの土を踏んだ勇者たち!懐かしいですね、ここから出発したんですよね。 ![]() まさ「いや〜ひさしぶりだ。でも、休んでるヒマはないぞ!」 とも「燃えてるな(笑)。そんなに気合い入れなくてもいいのに」 一応お城にも顔を出し、家族とも再会した勇者たちです。でも今回の帰郷目的……乗組員確保は忘れちゃいません!定員20名の募集に、なんと500人もの応募があったのです!でも、その中にお城のお姫さまがいたのは秘密ですよ(笑)。 ほだ「嬉しいねぇ、ボランティアを募ったのに、こんなに応募があるなんて!」 そう、勇者側から報酬は出せません。そんなに裕福ではないですからね。その代わり、アリアハンの王宮から家族にお手当が出ることになったのです。家族の食い扶持は保証され、しかも勇者のお供という名誉ある仕事。出発の時とはまるで待遇が違いますね(笑)。ロマリア、イシス、そしてポルトガと各王家から『勇者』としてのお墨付きをもらった現在、本人たちの知らないところで有名になっているのです。 ひで「コックさんも欲しいな……いつもいつも塩漬けの豚肉とワインじゃ健康に悪いよ」 はいはい、塩漬けの豚肉は保存食ですね。野菜を食べないと壊血病になってしまいますし、偏った食事は健康を大きく損ねます。アルコールばかり摂取するのも考えもの、アル中の勇者一行なんてお話になりませんものね。 とも「あれ?この応募用紙、商人見習いのポンタじゃないか!懐かしいな」 商船じゃないので、商人見習いを乗せてもあまり意味がないのですが……ともきは自分の権限で旧友ポンタを乗組員に加えました。 まさ「ん?誰だあいつ……」 まさはるがふと外を見ると……兵士の格好をした若い男性が、井戸の中へと入っていきます。 ほだ「どうした?」 まさ「いや、あそこの井戸の中に男が入ってったんだ」 ひで「井戸の中に?井戸掘り職人じゃなくて?」 まさ「兵士の格好してたぞ」 とも「……追っかけてみる?」 一行は『船員選考会議室(宿屋の一部屋です)』を出て問題の井戸へと急行しました。すると、水桶が結んである綱とは別に、太くて人間の重さにも耐えられるような綱が一本、ぶら下がっています。 ほだ「うへー、僕高所恐怖症なんだよな」 まさ「いいからとっとと降りろよ、後がつかえてるんだぜ」 井戸の底につくと……そこはなんと小さなホールほどの空洞になっており、そこには一軒の家が建っているではありませんか! とも「な、なんだこれは!ガキの頃からこの井戸で水飲んでたけど、全然気づかなかった……」 ひで「そもそも井戸の底に降りるなんていう思考、なかったもの……」 おそるおそる家のドアをノックすると、中から『どうぞ!』と声がしました。勇者たちはおずおずと家の中に入ります。すると、そこにいたおじさんはいきなり、よく通る大きな声で歌うように喋り始めました! ![]() ひで「ちいさなメダル?」
ほだ「おっさん、言葉が変やぞ。『もしメダルを見つけてきた者には』ってどういうこっちゃねん」 とも「ううむ……『もし』が不要だなこの場合」 まさ「もしくは、『もしメダルを見つけだしたなら、わしのなけなしの褒美をとらせよう』とすべきだ。主語と述語の関係がうまくいっていないな」 聞こえるように言うのがこの人たちの悪いクセ(笑)。ひでかずが道具袋からメダルを出すと、おじさんは顔を真っ赤にしながらも、冷静を装って続けます。
ひでかずは、おじさんの差し出した手にジャラジャラとメダルを乗せました。どうせスロットかお菓子のオマケのようなメダルです、別に惜しくもないですからね。
とも「ちりも積もればなんとやら、か」 ほだ「ちりも積もればヤマトなる!♪さらば〜、地球よ〜♪」 まさ「アホか」
ひで「あの、そんな弱い武器貰っても嬉しくないんですけど……」
まさ「おいおい、そんなもん貰ってもちっとも嬉しくないぞ」 とも「なんで?お前なら喜ぶんじゃないの?」 まさ「失敬な、俺は中身以外には興味ないの。下着なんかかぶって喜ぶほど下世話じゃないさ」 ほだ「大して変わらないと思うけど」
ひで「ひえ〜、このブーメラン、周りがぜんぶ刃になってる!こんなもの投げられないし、受け止められないよ!」 ほだ「……欠陥商品とかがらくたをおしつけてるだけじゃないのか?」 あと10枚集めたら、また何かをくれる……とおじさんは言ってましたが、興味の失せた勇者たちはすたこらと井戸の底から這い上がっていきました。男ばかりのパーティーにガーターベルトをくれる、おじさんの意志がどうにも理解できないですね(笑)。 ほだ「よし、乗組員の抽選が終わったらとっとと出航だ!目指すは黄金の国ジパング!」 ひで「ユキちゃん、生き返るのかな?」 だから、それは別のゲームですってば! まさ「野菜は多めに買っておくか?」 とも「いや、種を買っておこう。プランターと土、それに肥料は船倉に入れておいたから、船の中で栽培できる。腐らせても駄目だから、野菜は普通に買おう」 ほだ「飲料水はどうする?」 とも「海水を蒸留して真水を作るのがいちばんなんだが……さすがに全乗組員のぶんをそうやって作るのは無理だ。積めるだけ積んだほうがいいと思うが」 本格的な船出ですからね、準備も周到にしないと。 ポンタ(以下、ポン)「ども〜、越後屋です」 とも「おお、来たか。ほんじゃこの注文票どおりに搬入頼むわ。支払いは納入後に現金で」 ほだ「ありゃ、越後屋の若旦那じゃないか」 ポン「ややや、勇者の旦那と違いますか?この度はどうもおおきに」 ほだ「知り合い?」 とも「ああ、昔からのな……今度の航海にも、ついてきて貰うことになった」 ポン「へえ、越後屋もどこか海外に支店を……と思っておりましたんで、渡りに船と言っちゃあ失礼ですが、この機会に便乗させて頂こうかと」 とも「その代わり、積み込む物資を最大限に値切ったからさ」 さて、新たな登場人物、越後屋の跡継ぎポンタ!彼が今後どのようにストーリーに関わってくるのか……知ってても言っちゃダメですよ!せっかく、さりげなく登場したんですから。 まさ「では船長、遙か北にあるというジパングへ出航だ!」 船長「了解、出航!錨を上げろ!」 船のことは専門家に任せて、船室でくつろぐ勇者たち。海の魔物と戦うのは勇者たちの担当ですが、それ以外は全てスペシャリストが揃っています!楽をするのではなく、適材適所ということなのです、たぶん。 そしていよいよ未知の国、黄金の国ジパングへと出発です!といった所で今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。 では、次のお話でお会いしましょう。 世界がこのまま平和でありますように…… 次回予告 海王ポセイドン……その軍の攻撃によっていくつかの種族は滅亡し、また隆盛を誇っていたジャーマン王朝までもが根絶やしにされた。残虐なポセイドンに対抗する勢力として現れた反乱軍に、手製の白い重戦貨(ヘビーメダル)を持って合流した青年ダーバ・マイドーロ。彼が記憶の底に封印していた事実……ダーバは、ジャーマン王朝の忘れ形見だったのだ!! ポセイドンに対して戦いを挑むダーバと仲間たち。だが、12人衆と呼ばれるポセイドン親衛隊の力は強く、ダーバは苦戦する。戦いに敗れるダーバ、しかし力つきて海上を漂流していた所に、勇者たちの船が通りがかった。 ほだ「この機械人形、デカいなぁ」 ???「ハンドメイドにしちゃ、立派でしょ?父のかたみの、エルダイムっていうヘビーメダルだよ」 とも「ヘビーメダル?……腕、折れちゃってるね」 ???「いつもはチャオに整備して貰ってるんだけど……ワム、レッチィ、チャオはどこか知らないかい?」 まさ「おい、スパイラル風呂の修理は終わってないんだぞ!?」 ???「チャオが人質にとられた、助けに行く!!」 ひで「敵もヘビーメダルを出してきたぞ!」 ???「ダーバがいないんだから、あたしがやってみせる!!」 ???「ワム、あんたにはヘビーメダルは無理よ!あたしが行く!!」 ???「レッチィ!?あんたばっかり、ダーバの前でいい格好はさせないんだから!!」 12人衆の内部分裂も手伝って、ダーバの仇討ちは果たされる。しかし……失われた命は戻らず、消え去った種族もまた戻らない……戦乱の火が消え、荒れ果てた海底へと戻っていくダーバたちの姿に人間の運命を重ねてはならないと、決意を新たにする勇者たちだった…… 次回、ドラゴンクエストIII「重戦貨エルダイム」、ご期待ください! (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください) 第32話へ 「DQ3-Replay」トップに戻る | |||||||||||