第25話 またお前か(怒)


 さて、疲労困憊を押して人さらいのアジトへと向かった勇者たち。グプタでしたっけね、彼が飛び出さなければ一泊休めたのに……なんて恨み言はなし、とにかく人命優先で行きましょう!


ほだか(以下、ほだ)「しかし、洞窟というわりには人工的だな。これ、レンガでできてるぞ」
ともき(以下、とも)「そんなに古くはないようだけど……確かに、これは人工物だ」
まさはる(以下、まさ)「古代の貯蔵庫って感じだな……どっちにしろ、この雰囲気は悪人のアジトにぴったりだ。気合い入れて行くぜ!」


 さぁ、いよいよ大捕物が始まります!多少勇者たちはくたびれてますが、まぁ気合いでなんとかなるでしょう(希望)。ずんずん先に進みますが……


ほだ「な、なんだこりゃ?」
ひでかず(以下、ひで)「うわ、どこも同じ間取り……」


 そうです。なんと、地下に広がるのはまるで同じ間取りの部屋がたくさん。確かに倉庫として使う分には、余計な装飾を廃して四角く部屋をつくり、効率を上げることが肝要なのですが……それにしてもこれはいささかやりすぎです(笑)。


まさ「仕方ない、また例の手を使おう」
ひで「例の手?」
まさ「壁に左手をついて歩くのさ」
とも「またそれか……しかし、現状それしかなさそうだな」


 さすがに消耗した今、すべての部屋をしらみつぶしに……というのはリスクが大きすぎます。ひでかずは黙って左手を壁につけて歩き出しました。


ひで「しかし、なんだね」
とも「ん?」
ひで「随分と保存状態のいい洞窟だね。もっと汚ければ、足跡とか蜘蛛の巣の張り方でだいたい判るのに」


 そうですね……確かに、床にはあまりほこりも積もってはいませんし、蜘蛛の巣も小さなものしかありません。全体的に薄汚れた感じはするものの、『廃墟』でも『魔の巣窟』でもありません。


ほだ「風だ……」
とも「何?」
ほだ「風だよ、ほら。奥から風が流れている。これのおかげで埃が全て外に出ていってしまうんだ……湿気も、カビの胞子もね」
まさ「倉庫としてはやっぱり最適なんだな、この造りは」
ひで「でも、街で会った人はここを『洞窟』と呼んでいた……ってことは、ここが使われなくなってから随分経つっていうことだよね?」


 おお、なんか久しぶりにギャグのまじらない会話してますね!


ひで「おや?ここだけ、扉があるぞ」
まさ「匂うな……よし、突破だ!」
ひで「アイアイサー!」


 あらあら、誉めたとたんにコレだ(笑)。とにかく進んでいくと……おやおや?

ひで「あっ!階段だ!」
とも「ドンピシャだよ!」


 階段はよく見るとぴかぴかな部分と汚れた部分があります。と言うことは、誰かがこの階段を頻繁に利用している、ということですね!


ほだ「さっそく行くぜ!」
まさ「アラホラサッサー!」


 さぁ、一行勢いをつけて階段を降ります!道なりに歩いていくと小部屋があり、盗賊とおぼしき男が4人ほど、部屋にたむろしていましたよ……

*「なんだ おめえらは?
  ひょっとして オレたちの仲間に
  なりてえのか?

まさ「そんなのは願い下げね」

 と、まさはるが格好良くキメた瞬間、

*「じゃ 通すわけには
  いかねえな……
  やっちまえ!

 男はそう叫ぶと、仲間もろとも襲いかかってきました!


ひで「ええい、正義の鉄拳受けて見よ!」


ほだ「え゛?誰の子分だって?」
まさ「あっちゃ~……またあいつか?」


 しかしまぁ、彼らが勇者一行にかなうはずもなく、ごくあっさりと勝敗は決しました。


とも「とにかく、親玉が来る前に人質を解放するんだ!」
ひで「お、おう!」


 盗賊たちの部屋を抜けて先に行くと、岩牢がありそこにグプタとタニアが囚われておりました!

*「たすけてください!
  あたし バハラタの町から
  さらわれた タニアです!

ほだ「助けたいのは山々なんだが……どうやったら開くんだ、この牢屋?」

グプタ「つきあたりの カベに
  この とびらを あける
  レバーがあるはずだ!

まさ「あんた捕まったのに、よく観察する余裕があったね……」

グプタ「どうか そのレバーを!

ひで「よっしゃ、任せな!」

 ひでかずは力任せに……ではなく、ごく軽くレバーを操作しました。油も注してあり、手入れは万全のようですね、この牢屋。レバー操作が終わると、軽い金属音がして鉄格子が床に吸い込まれていきました。

グプタ「ああ タニア!

ほだ「ほう、良かったの~」
とも「なんか爺くさいぞ、それ」


 牢から出たグプタとタニアは、ぐるぐる回って喜んでいます(笑)。妙な喜びの表現ですね。


タニア「ああ グプタ!
  あたしたち 帰れるのね!

グプタ「ああ いこう!

まさ「いやあの、『いこう!』はいいんですが、我々は?」

タニア「ありがとう 勇者さん!

ほだ「いやなに、チョロいですよ、はっはっは……」
とも「なんでこいつだけなんだ?俺たちは?俺たちに『ありがとう』は?」


 何にも言わず、若い2人は手に手を取って立ち去っていきました……


まさ「ちぇ、せめて『勇者さんたち』って言えよな」
ひで「そうだそうだ」


 ぶつくさいいながら帰り道。ま、仕方ないですね……と思ったその時。

タニア「きゃーっ!


 出口方面からやってきたのは紛れもないカンダタ当人と、顔をボコボコに腫らしてベソかいてるカンダタ子分たちでした!

カンダタ「ふっふっふっ。
  オレさまが 帰ってきたからには
  にがしや しねえぜっ!

ほだ「またパンツ怪人かよ……おいこら怪人、そこを通さぬか」


 カンダタは目をパチクリ。

カンダタ「あん?なんだ、こんな奴さらって来た覚えは……」
ほだ「記憶力に乏しいのぅ。余の顔を見忘れたか?」
まさ「いつから『暴れん坊将軍』になったんだよ(笑)」
カンダタ「……うぬぬっ!誰かと思えば、またうぬらかっ!」
ひで「今頃思い出してるよ……」
とも「ふっ、賢さが低い奴はこれだから嫌いだ」


 なんかムチャクチャ言ってますね(笑)。


カンダタ「しつっこいやつらめ、だが今度は負けはせんぞ!」
ほだ「それはどうかのう。では者共、行くぞ!」
ひで「はいはい、それじゃ一丁行きますか!」


 で、結論から言うと、今回もバトルは楽勝。前回の反省も踏まえてか、カンダタ子分がルカナン使うんですね。でも、楽勝。しっかりスクルトかけておけば、ルカナン一回分無効になりますからね。


ほだ「当たり前だ。パンツ男になんか負けてたまるか!」


 まだ言ってます(笑)。まぁ、ちゃんとした防具を買った方がいいと思いますけどね……

カンダタ「たのむ! これっきり
  心を いれかえるから
  ゆるしてくれよ! な! な!

ほだ「イヤだ」
とも「また始まった」

カンダタ「たのむ! これっきり
  心を いれかえるから
  ゆるしてくれよ! な! な!

ほだ「イヤだ」

カンダタ「たのむ! これっきり
  心を いれかえるから
  ゆるしてくれよ! な! な!

ほだ「イヤだ」
ひで「はいはい、今度だけだからね。次見つけたら、問答無用で王宮に突き出すか物言わぬ骸になるか……」
ほだ「こら、勝手に……」
まさ「いいから、行けよ」

カンダタ「ありがてえ!
  じゃ あんたも 元気でな!
  あばよ!


 ほだかは不満たらたらですが、カンダタ一味はそそくさと去っていきました……

グプタ「あ ありがとうございました!
  この ごおんは 一生
  わすれません!
  さあ 帰ろう タニア!
タニア「ええ あなた。

まさ「なんだい、もう夫婦気分か(笑)」

グプタ「どうか あとで
  バハラタの町へ
  よってくださいね。では……


 と言い残して、2人は去っていきました。これで本当におしまいです。


ほだ「よし!とっとと戻って一泊だ、リレミト使ってくれ!」
とも「いや、その……MP、もう残ってないんだ……健康のために歩こう、な!」
ほだ「ふえ~ん、さっさと眠りたいよ~(泣)」
まさ「お前が泣いても可愛くないんだよ。ほれ、行くぞ」


 洞窟から出て、歩くことすらおっくうがってキメラの翼を使いましたが、ようやく念願の一泊!翌日グプタたちに会いに行くことにしました……といった所で今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 干上がった沼地にめり込んだ、謎の戦艦。傷ついたその艦体を修復し、再び海へと戻そうという人々に勇者たちは出会った。かつての勇姿を取り戻すべく、作業に入った勇者たちの目に、意外なものが映った……



まさ「海賊!?」
???「そう……あたしたちはさすらいの海賊……」
まさ「しかし、酒が食事なんて変わった人もいるもんだよ」
???「ふふふ……ミーメは人ではない……母なる大地アロザウルスを失った、さまよえるアロザウルス星人……」


???「しまった、マゾーンの戦闘艇だ!発見された!」
とも「なんだあれは、鳥か?」
???「飛行機……と言って判るものでもないか、あれは機械だ!空を飛ぶ機械!」
とも「……とにかく、あれは敵なんだな?……だったら、俺の魔法で撃ち落としてやる!」


ひで「このコップは何ですか?ずいぶんと軽いけど」
???「これはカップラーメンや。お湯を注いで3分待てば食えるっちゅう、最先端の食品やで」
ひで「げっ、コップなんか食べるの?」
???「違うがな、中身を食べるんや……これはもう食べたあとのカラや」


ほだ「いいえ、いりません」
???「しかし、このコスモ・ドラグーンがあるだけで君たちの旅はずいぶん楽になるんじゃないか?」
ほだ「ええ……でも、その武器はこの世界にあるには明らかに強すぎる。強すぎる力は、危険です、僕たちには剣と魔法で十分」
???「そうか……」



 大空高く舞い上がる戦艦は、やがてずんずんと高度を上げていき、ついには見えなくなった……彼らは果たして神だったのか、それとも悪魔だったのか。彼らが残していった『カップラーメン』は黙して語らない……


 次回、ドラゴンクエストIII「黒衣の宇宙海賊」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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