第24話 流浪の果てに


 さて、東方の地に立った勇者一行です。しかし、広大な土地に道しるべもなく、なんだか前途多難な感じですよ?


ほだか(以下、ほだ)「ふざけんな!」
ともき(以下、とも)「何怒ってんだよ。阪神が弱いからか?」
ほだ「そんなんじゃないよ」
まさはる(以下、まさ)「はいはい、そのうち街につくからさ。こいつ、MPなくなったから怒ってるんだ」


 そうなんです。さっきから押し寄せる魔物の群れ、傷ついた仲間を癒やし続けてもう勇者のMPは2ポイントを残すのみになっています。これではホイミを使えません。


ひでかず(以下、ひで)「僕には回復いらないよ、まだHPが100近く残っているもの」
ほだ「ふざけんな!そんなことで見たこともない魔物と戦えるか!ほら、薬草使え!」
まさ「全く、何怒ってんだか。別にいいじゃねぇか、一泊すれば回復するだろ?」
ほだ「街がねぇ!薬草も残り2個、ど〜すんだ!」
とも「……って、戻ればいい話じゃん」


 こんなことでチームワークを乱したくないものです、はい。


ほだ「うるせえ!こちとら江戸っ子でぃ!とっとと街を探すぞハチ!」
とも「誰がハチだ、誰が(笑)」


 夜を徹して歩き続け、まだ街は見つかりません。赤い狼と変な蜂のおかげで、一行はもうボロボロです。しかしなんですな、やっぱり回復役が勇者しかいないというのはキツいみたいですね。


ほだ「あっ!そういえばGPS機能付き地図なんていいアイテムがあったじゃないかべらぼうめ!てやんでえ、とっとと街を探しやがれこん畜生!」
まさ「……あのさ、『江戸っ子』ってどういうことだよ(笑)。アリアハンに江戸なんかないぞ」
ほだ「うぐっ……その……なんだ、あの……」


 勇者は言葉に詰まっています。


ほだ「うるせぇうるせぇ、ほら街はどこだってんだぃ!」
ひで「地図によると……」


ひで「今いるのがこの羽根ペンのところなんだ」
ほだ「で、もう知ってる街が光点だな?」


 しかしなんといいますか、今まで歩いた場所が地形表示になっている、このテクノロジーは不思議ですね〜。オートマッピング機能なんて言っても、実際には誰がマッピングしているのやら。


まさ「もうちょっと東に行ってみてもいいみたいだな。どうも南に歩きすぎているみたいだ」
とも「しかし、シャンパーニの塔の前例もあるぜ?西とか言ってて南西だったじゃん」
ひで「そりゃまあ、そうだけど」
ほだ「とにかく、東だ!今さら帰るのも、なんだかアホらしくなってきたし」


 ああ、勇者の言葉遣いが元に戻りましたね(笑)。気を取り直して東へと歩いていくと……ありました、街です!待ちに待った街、というシャレは不許可ですか?

ひで「不許可です」

 こ、こりゃまた失礼しました(汗)。とにかく、街に入ってとっとと休みたい勇者です。心は既にベッドに向かっているようですが……
 おや?若い男性と老人が何か言い争いをしていますよ。

まさ「これご老人、何を言い争われておるのかな?もしよければ、話しては頂けませんか」
とも「あ〜あ、また余計なことに首突っ込んで……」

*「旅のひと
  まあ 聞いてくだされ。


ほだ「ううむ……困ってる人を助けるのは、勇者の務め……」

*「わしの かわいい まごむすめ
  タニアが 悪党どもに
  さらわれて しまったのじゃ。

とも「うは〜、また一刻を争う事件が……参ったね」
ひで「でも、まだ一泊休むくらいの余裕はあると思うけど」

*「そこにおる 若者が タニアの
  恋人の グプタ。

まさ「ほほう、若いっていいねぇ……でも、俺たちに任せてくれよ!今日はちょっと疲れているから明日、助けに行ってやるぜ!」
ほだ「そうそう、明日になれば回復魔法もバリバリだからね」
とも「攻撃魔法だけなら今でもバリバリだけどね」

*「わしは 2人を 結婚させ
  店を まかせようと
  思ったのに……。

まさ「うははは、俺なんかイシスの王さまだぜ!お前はエルフになるんだろ?」
ほだ「勝手に決めるな(怒)!」

*「あんたらは 強そうじゃな。
  どうか タニアを 助け……。


 と、突如グプタが思い詰めた表情で顔を上げました!

グプタ「ぼくが いきます!

とも「いや、だから僕たちが……」

グプタ「見ず知らずの 旅のひとに
  たのむなんて……。

ほだ「いや、だから僕は勇者で……」


 グプタは人の話なんか聞いちゃいません。まぁ、恋人を悪党にさらわれているわけですから、当然と言えば当然の反応ですけどね。

グプタ「まっててください。きっと
  タニアを 助け出してきます!

*「グプタ!


 ああっ、おじいさんの制止も聞かずに、グプタは街の外へと走り去ってしまいました!勇者たちも後を追いますが、グプタの足は異常に速く、おいつけません。

まさ「すいませんご老人……彼を止められませんでした」

ほだ「参ったな……こりゃ、今日中に始末つけないと……」


 恐らくグプタは悪党の巣窟へと向かったのでしょう。無防備な彼が捕まって、ひどい目に会う前に助け出さなくてはなりません。いやいや、また複雑になっちゃったものだ。


ひで「こういう場合、シロウトさんには引っ込んでてもらうほうがいいんだけどね……とにかく、アジトの場所を聞いて、早急に出発しよう」
ほだ「もう腹くくる他にないな……よし山さん、聞き込みだ!」
とも「誰が山さんだ(笑)」
ほだ「ゴリさん?」
とも「……殿下がいい」

 何をやってんですかね(笑)。しかし、有力な情報が手に入りました。

*「橋のむこうの 洞くつには
  人さらいたちが 住んでいるそうだ。
  近づかないほうが 身のためだぜ。

まさ「あんがとよ、オッサン……でもな、行かなくちゃなんねぇ所がこの渡世のつらさよ」
ひで「な〜に気取ってんだか」


 とにかく急いで街から出た勇者たち、目の前の橋を渡って北に少し、ありました!洞窟です!


↑ここに見えているのが街です。すぐそばですね。


ほだ「ちっくしょ〜、早いところ片づけて風呂に入ってフカフカの布団で泥のように眠ってやる!」





 さてさて、また面倒に巻き込まれた勇者たち。はたして、早急に休息を取ることができるのでしょうか?といった所で今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 勇者に届いた一通の速達。それは、故郷の母の危篤を知らせる手紙だった……動揺する勇者、しかし気丈にも悪党退治へと向かう。心の中に焦りが生まれた勇者は、簡単な罠に引っかかってしまった……



まさ「シッ!……誰か来る」
ひで「隠れろ!」


???「オッホッホ、かかったかかった……大きな獲物がかかったな!」
ほだ「痛ててて……畜生、ここから出せ!」


とも「これ……偽物だ」
ほだ「ええっ?」
ひで「間違いないね。この消印は、もうずいぶん前に使われなくなったものだ」



 罠から力尽くで抜け出し、悪党を懲らしめた勇者一行。しかし、己の甘さと精神修養の足りなさに臍をかむ勇者だった。これから先、出会う困難に対して不動の精神を誓う勇者だったが……


 次回、ドラゴンクエストIII「卑怯と猜疑」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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