第15話 Dear Friends


 さてさて、『ぱふぱふショック』も醒めやらぬ勇者一行、ここアッサラームの朝日はそれでも平等に彼らを照らします。

ほだか(以下、ほだ)「う〜、あっち〜のぅ……朝からこれかい」
ひでかず(以下、ひで)「こないだまで雪があるような地方にいたからねぇ、この温度差はキツい」

 と、表からともきが戻ってきましたね。

ともき(以下、とも)「オラオラお前ら、なにシケた面してんだよ。俺なんかもう、朝イチで体操なんかしちゃったんだぞ」
ほだ「老人の朝は早いなぁ」
とも「ムッ!あのな〜、俺たちは同学年なんだぞ!」
ひで「判って言ってんだよ、この人」
とも「なおさらたちが悪いわい!」


 あれれ?一人、足りませんね。

とも「そういや、まさはるはどうした?」
ひで「まだ寝てるよ、ほら」


 ひでかずが指さすそこには、朝からもの凄く暑いのに頭から毛布と掛け布団をしっかりと被って寝ているまさはるがいました。布団の丈が足りなくて足が出ているので、ちゃんとそこにいるようです。


ほだ「まぁいいか、今回は画像なしで行くつもりらしいから。一人欠けてても判んないよ」
とも「うわっ、ひでーなぁ」
ひで「一人だけ抜け駆けしようとした罰だよね。うんうん」


 三人はまさはるを置いて宿屋を出ました。


とも「さて、情報集めを始めますかね」


 人通りの大井町多い街ですので、情報量は期待できそうですね。


ひで「こんにちわ!」

*「なん年くらい 前だったか
  あの 勇者オルテガが カギを
  もとめて 南へ むかったらしい。

 いきなり大ヒーント!!

ひで「やっぱりオルテガさんはここを通ってたんだ!」


*「しかし オルテガなら たとえ
  まほうのカギが なくても
  道をきりひらいたであろう。
  オレも あの男のように
  なりたいものだ。


ひで「う〜ん、やっぱりオルテガさんはすごい人だったんだなぁ。それに引き替えその息子は……」



*「おお! わたしの ともだち!
  お待ちしておりました!
  売っているものを 見ますか?

ほだ「え?僕初対面ですけど……ま、見せてもらいましょうか。なになに……あっ、そろそろ薬草が切れかけてたっけね。薬草、いくら?」

*「おお! お目が高い!
  128ゴールドですが
  お買いになりますよね?

ほだ「何が『お買いになりますよね』だ馴れ馴れしい。それになんだよその値段は……暴利をむさぼるとかそういう可愛いレベルじゃないぞ、それ」

*「おお お客さん
  とても 買いもの上手。
  わたし まいってしまいます。

ほだ「いや、そうじゃなくて、相場から離れすぎてるっちゅうに」

*「では 64ゴールドに
  いたしましょう。
  これなら いいでしょう?

ほだ「……他の街にルーラして買ってきた方が安いぞ。いいわけないじゃないか、普通の値段で売ってくれよ!」

*「おお これいじょうまけると
  わたし おおぞんします!
  でも あなた ともだち!

ほだ「いつ友達になったんだってば!……それに、そんな高値で売るなんて仕入れはどうなってんだ?賞味期限とか切れてないだろうね?」

*「では 32ゴールドに
  いたしましょう。
  これなら いいですか?

ほだ「高い」

*「おお あなた ひどいひと!
  わたしに 首つれといいますか?
  わかりました。

ほだ「とっとと死ね」

*「では 16ゴールドに
  いたしましょう。
  これなら いいでしょう?

ほだ「……それでも定価の2倍じゃないか。僕をバカにしてるのか?買わないぞ」

*「そうですか。 ざんねんです。
  また きっと 来てくださいね。

ほだ「二度と来るか!」
ひで「なにやってんだか」


 悪徳商人のお店から出てきた一行。ま、人の多い街ですから、こんなこともありますって。


とも「すみません、魔法のカギについて、なにかご存じではありませんか?」

*「さばくを 南にいき
  山づたいに 歩いていくと
  沼地に ほこらがある。

とも「そこにカギが?」

*「そこの 老人が
  まほうのカギのことを
  知っているらしいのだ。

とも「貴重なヒントをありがとうございました!」

 ほほう、さらに一歩前進と言ったところですかね!カギの情報は砂漠の南にあるほこらの老人が知っている!着実に情報集めが進んでいきます。


*「あなた 知っていますか?

ひで「いや、いきなりそう言われても……知りません」

*「西の さばくには
  イシスという国が あるそうですよ。

ひで「ほほう!となると、砂漠は西にある→その砂漠の南にはほこらがあり、カギのヒントを知る老人がいて→砂漠のどこかには国がある、ということか」
とも「じゃあ、次はその砂漠に行けばいいわけか」
ほだ「いいねぇ、ラクダに乗って楽だ〜、なんつったりしてな」


 くっだらない(笑)。


とも「しかし、どっちにしろ今から出かけると、向こうにつく頃には夜になっちまう。ダンスを見せる劇場もあるし、今夜もここに泊まって明朝出発、てのはどうだ?」
ひで「賛成。ベリーダンスが名物らしいんだよね、昨日はまさはるの「ぱふぱふ」で見られなかったから、ちょっと見ていこうよ」
ほだ「……そうすっか!一日くらい羽伸ばしたっていいよな、な!?」


 うーん、メンバーに女性がいればきっと『何言ってんのよ、いやらしい!』ってな感じで却下してくれるんでしょうが……こりゃまた無理ですね。みんな若い健康な男の子ですから(笑)。


まさはる(以下、まさ)「うう……屈辱だ……武闘家の名門カワッセ一族の名折れだ……シクシク」



 まだ言ってます(笑)。さて、いよいよ明朝、砂漠に向けて出発だ!といった所で、ちょっと早めですが今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 母と死に別れた少女の前に、死んだはずの母親が現れる。抱き合う母子、しかしそれは魔王の手先による卑劣な罠だった。怒りに身を任せた少女は、その体に流れる鬼の血の力で魔物を引き裂くが、我に返った少女は己が行状の凄惨さに怯え、自らを崩壊していく塔の中に閉じこめてしまう。



???「来ないで……父さまも母さまも死に、私はひとりぼっちになってしまいました……醜い鬼の姿まで晒してしまい、もう私には、生きる勇気も力もありません……」
ひで「……君は一人じゃない、僕たちは仲間なんだ。君が背負っている悲しみ苦しみも、全部まとめて今日から僕が背負ってやる!……運命なんて、自分の力でいくらでも変えられるんだ!運命なんてな、運命なんてな、くそっくらえだ!」


とも「……駄目だ、死んじゃいけない!」
???「……私、アンサンがたのヘルパーできたこと、ハッピー思います……私とブラザーエビス丸、いつまでもアンサンたちを見守ってマース……グッバイ、マイフレンド!」


???「勇者さん、危ない!!」
ほだ「うわっ!……だ、大丈夫か!!」
???「よかった、勇者さんが無事で……あたしたち、伊賀に帰ろうと思ったんだけど……暗黒ランが咲いたっていうから、急いで戻ってきたの……でも、あたしの命で勇者さんを守れて、良かった……」
ほだ「諦めちゃダメだ!ほら、おぶさって!」


???「……このあたいが、人助けなんて馴れない真似するから、このザマだよ……うちのじいさんの借りは、確かに……返したよ……さぁ、早く行くんだ、世界を救えるのは……あんたたち……だけなんだからさ……」
まさ「……女のくせに、忍者みてぇな泥臭いことやってよ、本当の楽しさも幸せも知らずに死んじまって……教えてくれほだか!俺は、あいつらのために何が出来る?何がしてやれるんだ、教えてくれ!……俺はバラモスを絶対に許さねぇぞ!」


 少女は生きる力を取り戻した。しかし、手段を選ばぬ魔物たちへの怒りは着実に勇者たちを強くしていく原動力になる。悲劇の数だけ強くなる、その存在そのものまでも悲劇へと変えて、それでもなお勇者たちはバラモス打倒へと突き進むのだ。


 次回、ドラゴンクエストIII「Far West of EDEN」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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