第13話 王様修行


 さてさて、金のかんむりを奪い返した勇者たちは、ロマリア城下町で一泊してから王様の所へと向かいましたよ。しかしまぁ、長かったですねぇ。


ほだか(以下、ほだ)「ようやく、僕を勇者として認めさせることができる!」

 この人、こればっかり(笑)。


まさはる(以下、まさ)「とにかく、『魔法のカギ』の情報が得られなければとっとと出発しよう。それでいいよな?」
ともき(以下、とも)「ああ、それで問題ない」
ひでかず(以下、ひで)「どうせはがねのつるぎを買えるお金もないしね」

 この人もこればっかり(笑)。
 それはともかく、王様に謁見です!



ほだ「ふふふ、チョロいもんですよ」
まさ「ずいぶん苦労しましたけどね」


 王様は上機嫌です!

王「そなたこそ まことの勇者!
  一国の 国王としても
  ふさわしい人物じゃ!


ほだ「まぁまぁ、そんなに誉めないで下さいよ……当たり前のことなんですから」
ひで「は?ちょっと変になってきてるね」

王「というわけで どうじゃ?
  わしに かわって この国を
  おさめてみる気は ないか?


ほだ「ぬおー立身出世街道まっしぐら!これがアメリカンドリームってやつだねおっかさん!」
とも「おお取り乱しとる取り乱しとる」


 なんか話が変な方向に進んでいませんか?

王「そなたが はいと答えるだけで
  すぐにでも 王位をゆずろうぞ!
  どうじゃ?


まさ「ちょっとちょっとほだか、俺たちの目的を忘れたのか?魔王バラモスを……」
ほだ「やりますやります、やらせてくださ~い!!」
とも「あっちゃ~、ダメだこりゃ」

王「よろしい!では これより
  ほだかが この城の王さまじゃ!


ほだ「よっしゃ~!」







 ……というわけで、王様になったほだかですが。

まさ「なー、もう行こうぜ?王様になるのが目的じゃなかったんだからよぅ」
とも「そうそう、魔法のカギのヒントだって貰えなかったし、とっとと次の街に行こうぜ」
ひで「ほら、そんなローブ脱いじゃえよ、な?」


まさ「この野郎、本気で居座るつもりだ(怒)」



 仲間たちはあきれてものも言えません。

まさ「……ま、飽きるまでやってな。俺たちは宿屋にいるから」


 あらあら、行ってしまいました。


ほだ「ちぇ、何怒ってんだよ……少しくらい息抜きさせてくれたっていいじゃんかよぅ」


 さてさて、城の中や城下町をうろつく勇者……いえいえ、ほだか王。次第にその表情が沈んでいきますね……どうしたのかな?


ほだ「つまらん。みんなお世辞をいうばっかりで、しかも城の外に出して貰えん。こりゃ、失敗したかな?」


 後悔先に立たずって奴ですね。


ほだ「こうなったら、誰かに冠盗ませておいて、どこぞの勇者に取りに行かせ、王位を譲るしかないか?いやいや、それじゃ時間がかかりすぎる」

 またバカなこと考えてますね(笑)。


ほだ「このまま王様で暮らすとなると……バラモスはどうなる?それに、税金だとか執務だとか外交だとか、僕にはできないぞ……ううむ、こりゃ参ったなぁ」


 闘技場の前で、戦士が声をかけてきました。

ほだ「なに?人に面倒押しつけて!」


 階段を降りると、まわりの客がどよめきます。王様だ、王様が来たぞってな具合でね。お城の警備をサボって遊びに来ていた兵士が、慌てて顔を隠していますよ。


ほだ「あっ、いたいた!王様、王様!」

*「しかし しょみんは いいのう。
  かけごとが こんなに面白いとは
  思わんかったわい!

ほだ「のんきなもんだね、全く」

*「そなた がんばって
  この国を おさめてくれよ。

ほだ「嫌です、もう飽きました」

*「なんと 王さまになってるのは
  もう いやじゃと申すのか?

ほだ「はい、申し訳ないんですけどね」

*「そうか……。いやなものを
  続けさすわけにも ゆくまい。

ほだ「別に、心底イヤっていうわけでもないんですけどね……外にも出られないのは、ちょっと」

*「わしも しばらくではあるが
  すこしは 息ぬきが できたしな。

ほだ「その代わり、僕は息苦しくて仕方なかったですよ」

*「あいわかった! ほだかよ!
  そなたは やはり 旅を
  続けるが よかろう!




 そういうわけで、またほだかは仲間たちと旅を続けることになりました。

まさ「どうだった、王様気分は?」
ほだ「食事は毒味のために冷めててしかも箸つけてあったし、商人は税金の話しかしないし、外には出られないしみんな注目するし、全然良くなかったよ」
ひで「ええ、食事がおいしくなかったの?それじゃあ意味ないよね」
とも「それはともかく、結局魔法のカギについての情報がまるでなかった。とっとと先を目指したほうが得策みたいだな」
まさ「そうするか。じゃ、アッサラームへ出発だ!」






ほだ「……あんた、わざと言ってないか?」





 とにかく!次なる目標は「魔法のカギ」です!勇者の父、オルテガが目指したというアッサラームへと、勇者たちは旅立ちます!といった所で今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 ロマリア城下のモンスター闘技場ですってんてんになる勇者たち。腹いせに飲んだ酒場でもボラれ、宿屋は門限を過ぎてしまい泊まれない。寒空の下で一夜を過ごす勇者たちだが、その時あやしげな男たちの会話を偶然耳にする……


まさ「な、なに~!?なんでビール2本とお好み焼きで5000ゴールドなんだよ!」
店員「ビール一本500ゴールド、お好み焼きは1000ゴールドですね。あと席代が1500、サービス料と女の子の料金が1500。しめて5000ゴールドと、こうなっております」
まさ「こ、これってキャッチバーじゃね~か!」
店員「またまた人聞きの悪い……きちんとした明朗会計ですよ、うちは」


ほだ「そこだ!行けトロルキング!……ああっ、なんで、なんでスライムに負けるんだ?」
とも「さっきはヒドラが大ガラスにKO負けしてたしね……なんか変だよ、ここ」


???「チッ、小僧がいきがるな!」
ひで「小僧がどうした、てめぇよか強えぇぜ!」
???「ボ、ボス!」
???「騒ぐな!……このケリは俺がつける、てめえら黙って見てろよ、この小僧が死んでいくザマをな!」
ひで「甘いよアンタ……僕に勝てると思っている、その性根がとことん甘いよ!」



 ほぼ私怨のみのマフィア退治だったが、それでも民衆の歓喜に勇者たちは照れ笑い。結果オーライで突き進む、勇者たちの明日はどっちだ?

 次回、ドラゴンクエストIII「ゴッドファーザーへの挽歌」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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