第12話 盗賊たちよ
さて、いよいよシャンパーニの塔を目指す勇者ほだかたち!カザーブの村を抜けた所で、勇者がふと立ち止まりましたね…… ほだか(以下、ほだ)「あっ、そうだ」 ふくろからなにやら取り出すほだか。それは……小さな毛皮のアクセサリーですね…… まさはる(以下、まさ)「なんだそりゃ」 ほだ「ああ、あのエルフの娘……シンシアに貰った飾りだよ。『うさぎのしっぽ』だってさ」 まさ「ほほう、またラブコメに話を持っていくのかね?」 ほだ「しつっこいなぁ、いいじゃんか別に。装備するぞ……っと、あれれ?性格が「しあわせもの」になっちまったぞ」 ともき(以下、とも)「ま、人間をあまり信用しないエルフに好かれたんだ、そういう意味でも『しあわせもの』なのかもな」 ほだ「冷やかすなよ」 ひでかず(以下、ひで)「いいなぁ、アクセサリー……あれ、ともきも何か装備してるじゃん」 そう言われれば……ともきの首からは、綺麗な十字架が下がっています。 とも「へへへ、洞窟の中で見つけた「銀のロザリオ」さっ」 ひで「なんかちょっと前から妙な言動が多いと思ったら、『ロザリオ効果』で性格がロマンチストになってるぞ!?」 とも「ふっ……詩文を愛さない君たちには、愛情の素晴らしさが判らないだろうがね」 まさ「そんなことはどうだっていいんだよ、さっさと行こうぜ」 ずんずん西へと進みますが……あれれれれ? ![]() ひで「なんだ、何もないじゃないか」 塔どころか、ほこらさえありませんね。突き当たりは海ですよ…… まさ「担がれたのか?」 ほだ「まさか」 ひで「うん?南に橋がある、南に進もう」 西って聞いたのにな、とぶつくさ言いながらも橋を渡って歩いていくと、ありました。塔です。 ほだ「なんだよ、だったら『西』じゃなくて『南西』って教えてくれよな」 まぁまぁ(笑)。いちおう西の方角にあることは確かなんですから。 予想以上にきたない塔へ、勇者たちは入っていきます。中は薄暗く、とても人の住んでいる雰囲気ではありません。 まさ「俺は頼まれたってこんな場所をアジトにはしないぞ、うん」 どんどん登って行きましょう、今回でカンダタイベント終わらせたいんですから。途中のザコバトルは省略しますね、イモムシとかカニ見ても嬉しくないですもの。その代わりに、塔を登っているシーンの画像を貼っておきますね。 ![]() とも「しかしなんだね、いったい誰がこんな不便な場所に塔を建てたのかねぇ」 ほだ「知らないよそんなこと」 とも「見れば石造りのしっかりした建物だ、何か理由がなければ塔なんか建てるはずないもの」 ひで「ナジミの塔は?」 まさ「ありゃ灯台跡だよ。誰も漁なんかしなくなっちゃったから、ほったらかしになってるんだ」 雑談をしながら登っていくと、おや?何か部屋のような場所にでくわしました。そして、そこには二人のモヒカン野郎がいますが…… まさ「なん〜だありゃ」 ![]() まさ「おめーらの方が変だって」 ほだ「そういう問題でもないと思うけどな」 ひで「あ、あの、カンダタさんいらっしゃいます?」 ふたりのモヒカンは、その言葉に反応して後ずさりします!おお、妖しい! とも「しかし、なんだいその挨拶は(笑)。悪人にさん付けしてどーすんだよ」
ああっ、モヒカンたちは後ろの階段から上の階に逃げてしまいました! まさ「よし、追うぜ!事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」 ああ〜すみませんすみません(汗)。観てないです観てないです。 とも「とにかく、上に上がろう!注意して行くぞ!」 ひで「おう!」 めいめい武器を手に、そろそろと階段を登っていきます……すると、上の階で待っていたのは! ![]() ほだ「うわっ、何あの格好!パンツ一丁だぞ」 ひで「怪人パンツ男にほめられても、嬉しくないね全然」 カンダタ「黙れ!オレさまはパンツ男じゃない!カンダタさまと言えば泣く子も笑う大盗賊よ!」 まさ「笑ってどうすんだよ」 カンダタ子分「かしら、『泣く子も笑う』じゃなくて『泣く子も黙る』ですぜ」 カンダタ「う、うるせぇ!だいたいの意味が伝わればいいんだよ!」 とも「賢さが低そうだな」 カンダタ「人が気にしていることを……だいたいお前ら、何しに来た?」 さぁ、正義の味方の自己紹介!ヒーローものの定番ですよね。 ほだ「我はアリアハンの勇者ほだか!ロマリア王の王冠を返して貰いに来た!」 まさ「ちょっとちょっと、俺たちの紹介は?」 ほだ「勇者とその仲間、じゃ駄目?」 ひで「ひっどいなぁ」 カンダタ「何をごちゃごちゃヌカしてやがる!……ここまで来た度胸だけは誉めてやるぜ」 とも「だから、パンツ男なんかに誉められても嬉しくないって言っただろうが」
と、突如勇者たちの足下の床が抜けました!落とし穴だ! ほだ「痛ててててて……畜生、いきなり何しやがる!」 あっ、珍しく怒ってますね。 まさ「頭きた。とっ捕まえてぶん殴ってやる!」 ひで「鉄の槍が、血を吸いたいと騒いでいる……フフフ……」 とも「新しく覚えた魔法の実験台に、ちょうどいいかな?」 一同が階段を駆け上がると……そこには誰もいません。無論宝箱もカラ。どこに消えたんですかね、カンダタたちは? ほだ「チッ、すばしこい奴らだ!」 まさ「まぁ待て。この高さから飛び降りれば無事ではすまん。丁度我々は最上階にいるわけだし、一階づつしらみつぶしに探してやろう」 ひで「今宵の槍は血に飢えている……五体満足で帰れると思うなよ……」 とも「だったら、さっさと行こうぜ?こんな所で吠えてても、どうにもならん」 階段を降り、フロアをしらみつぶしに探していく勇者たち。目が血走っているような気もしますが、これは正義を愛するため……ではないですね、きっと。 ほだ「へっへっへ、見つけたぞパンツ男!」 カンダタたちは2フロア下でゆっくりとコーヒーを飲んでいました。階段のルートから外れた場所でしたから、しっかり探さなければ見過ごすところでしたね。 とも「カンダタ、覚悟!」 ![]() ほだ「ふっ、この超破壊力打線の力を思い知らせてやる!いくぞみんな!」 結果から言うと、バトルは楽勝でした。ともきはひたすら「スクルト」で防御力を上げ、残りの攻撃要員はとにかく、力まかせにぶん殴る!カンダタたちの攻撃もヒットはするものの、毎ターンのスクルトで勇者たちの防御力はムチャクチャ上がっており、良くて1ポイントというダメージ量。 回復役がいないことが功を奏したのは、これが初めてです(笑)。 まさ「うっしゃー、勝ちぃ!」
あちこち傷だらけのあざだらけ、半べそをかきながらカンダタは懇願します。 ほだ「嫌だ」
ほだ「嫌だ」
ほだ「嫌だ」
とも「……いい加減、許してやれよ」 ほだ「嫌だ」
まさ「早いところ帰ろうぜ……もう二度としないと言うなら、許してやろう」 ほだ「だってこいつ、『二度としないから許してくれ』とは言ってないんだぜ?また同じことする。絶対する。昼間っからパンツ一丁でうろつくような変態は、許しちゃなんねぇ」 ひで「もういいよ、ほら、金の冠返しな。そしたら許してあげるよ」 ほだ「あっこら、勝手に……」 ![]() ほだ「忘れてくれて結構だ!」 カンダタは子分たちと一緒に、そそくさと塔から飛び降りて……行かずに、宝箱をほだかに差し出してから子分たちの後を追っていきました。 カンダタがおいていった宝箱を開けると……おお、目的の「金のかんむり」が入っていましたよ! ほだ「よっしゃ、これで僕が勇者だと証明してみせる!」 まさ「どうだっていいけどな、そんなこと」 ようやく一仕事終えた勇者たち。ロマリアに戻って宿を取り、いよいよ明日は王様に対面です!といった所で今回はおしまい。さてさて、これからどうなりますやら。 では、次のお話でお会いしましょう。 世界がこのまま平和でありますように…… 次回予告 ロマリア王に頼まれ、近くの街まで届け物をする勇者たち。しかし、その届け物は異空間へと繋がる罠だった!空間の裂け目から次々に現れる強力なモンスターたち。苦戦する勇者たちの前に現れたのは、ジプシー風の姉妹だった…… とも「なにそれ」 ???「フフフ、これは『銀のタロット』って言うの。引いたカードによって、効果が違う便利なアイテムよ……それっ!」 ひで「……で、何が出たの?」 ???「あ……引いてはいけないカードを、引いてしまった……」 とも「そんなの最初っから入れるなよ〜!」 ひで「うわー、助けて〜!」 ほだ「あ……あんた、何者?」 ???「アイツはあたしたち姉妹の父を殺したカタキなの!どこで手に入れたのか、時空間を越える技まで身につけて、こっちの世界にちょっかい出し始めたのよ」 ???「グフフフ、そうか、お前たちはエドガンの娘たちか!大きくなったもんだな!」 ???「お黙りなさい!向こうの世界では飽きたらず、ここまでその毒牙にかけようなんて随分と欲張りになったものね!」 まさ「もう、帰っちゃうのか……」 ???「ゴメンね……あたしたちは違う世界の人間だから……あまり長くはいられないんだ……」 まさ「そっか……仕方ないよね……」 ???「本当は……帰りたくないけど……あたしたちには、元の世界でやるべきことが残っているからさ……」 勇者たちと姉妹の奮闘で、異世界の魔物は倒れ地下牢から王は救い出される。しかし、守られた場所である筈の城内でさえも魔の手が伸びているという現実に、改めて人々は恐怖した。 その恐怖を打ち払うために武闘家は拳を振るう。二度と会うことのない、少女のために…… 次回、ドラゴンクエストIII「すり替わった国王」、ご期待ください! (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください) 第13話へ 「DQ3-Replay」トップに戻る | |||||||