第7話 よりみち


 さてさて、北の村・カザーブを目指してロマリアを旅立った勇者一行でしたが、今回はどこにいるんでしょうか?


ほだか(以下、ほだ)「ちくしょう、あの王さんに絶対勇者として認めさせてやる!」
ともき(以下、とも)「そんなにカッカしなくてもいいじゃん」
まさはる(以下、まさ)「そうそう。別にお前が勇者だろうと遊び人だろうと、誰も困りゃしないから」

 なんだかえらい言われように、さすがの「お調子者」ほだかもムッとしてますよ?

ひでかず(以下、とも)「遊び人はまさはるだろ?」

 ロマリアを出てまだ全然進んでいないのに、ひでかずはおべんとうを取り出しました。パンとチーズとオレンジジュースです。

とも「おいおいもうメシにすんの?」
ほだ「敵も出ないし、天気はいいし、まぁ絶好のピクニック日和だねぇ」
まさ「のんきなこと言ってんじゃないよ全く」

 口ではそう言いつつも、めいめい自分の道具袋からおべんとうを取り出しました(笑)。


ひで「やっぱりこういう環境で食べるごはんはおいしいよね」
とも「まあね。でも俺は、どっちかと言えばご飯党だからな……」
まさ「そうだったっけ?俺なんか、パンの方が好きだけど」
ほだ「へっへっへ、ちゃ〜んと宿の人に頼んで、おにぎりつくってもらったもんね!」
とも「かーっ、抜け目がないなぁ。性格判断、間違ってるんじゃない?」


 そう、ロマリア地方でもお米って食べるんですね。パエリアとか。でも、アリアハンも米食文化なのかな?


ほだ「うへー、中身梅干しだよ……おかかにしてくれって頼んだのに……」


 はたしてロマリア地方に梅干しがあるのかないのか、そのあたりを追求しないでくださいね。


とも「さて、と。お腹もくちくなったことだし、そろそろ出発するか?」
まさ「へへへ、『くちくなった』なんて随分と古風でおじゃりますこと」
とも「麻呂はやんごとなきお家柄にて、雅な物言いがくせになっておじゃる」
ひで「なにがなんごとなきお家柄だよ」


 お昼ご飯を早めに食べてしまったので、なんとしても夜までにカザーブの村に着かなくてはならないのですが、一行何を思ったか昼寝を始めましたよ?

ほだ「あ〜眠い。一時間したら起こしてよ」
まさ「俺も寝るわ。悪いけどファ〜ア、なんだか急に眠くなってきた」
とも「なんだいみんないい加減だなぁ」

 ともきはため息をついて、道具袋をまくらにして自分も寝てしまいました。

ひで「まぁいいか、聖水で結界を張っておけばモンスターも襲ってこないしね」

 道具袋から聖水を取り出すと、ぐるりみんなを囲むように中身を地面にこぼすひでかず。あーあ、本当はそうやって使うものじゃないのにね。行軍に使うものなのに。


























ひで「しまった、もう夜だ!」
とも「ン?何かあったのか?」
ほだ「あーよく寝た」
まさ「ZZZ……」

 一行は見事に寝過ごしました。辺りはもう、とっぷりと日が暮れています……

ひで「どうする?ロマリアに戻る?」
まさ「あれっ、もう真っ暗じゃん」
とも「さすがにそういうわけには行かないよ。予定通りカザーブを目指そう」
ほだ「くそー、腹減ったなぁ……」
ひで「そうだね」
まさ「野宿はしたくないし、な」
ほだ「仕方ない、行くか」

 夜のフィールドは敵がわんさか出る!ということを知識として知っている一行、おっかなびっくり北へと進みます。と、その先に何か建物が見えてきましたよ……


ほだ「村にしちゃ、小さいな」
まさ「なんでもいいから入ろうぜ」



 さて、建物の中に一行が入ってみると……なんだか豪華絢爛な内装ですねぇ。でも、王宮と違って、高級品は一切使ってない、安物で飾り立てているケバケバしさが目立ちます。


ひで「なんだかパチンコ屋に似た雰囲気だね」
まさ「……確かにそんな感じ」


 と、突然天井がぱかっと開いて、妙な男が落ちてきましたよ???


*「あいやーっ。
  また だめだったあるよ!


ほだ「あいやー、じゃないよもうビックリしたなぁ」
まさ「か、からくり屋敷か?」

*「でも わたし あきらめないね。
  いつか きっと
  あがってみせるあるよ。


ひで「あがる?なんのことだろう?」


 おや?ともきが、へんちょこりんな像の前で手招きしてますよ?

とも「おい、へんなのがあるぜ」


 上半身ハダカの筋肉男が、サイコロを高く掲げている金色の悪趣味な銅像(長い)があります。これはちょっと、いくらなんでもな品物ですね(汗)。


ほだ「ひょっとして、『なにがでるかなっ、なにがでるかなっ』……ってやつ?」
まさ「それはまた別の話じゃないか……」
ひで「え、バラモスとかスライムとかをゲストに呼んでほのぼのトーク?」
まさ「そういう現実ベースのギャグをやるなってば」
とも「ここって、一体何のための建物なんだろう(汗)」

 このけばけばしい内装から察するに娯楽施設のような気がするのですが……と、階段をみつけた一行はさっそく登ってみましたよ。すると、一段高いステージになにやらパネルが並べて置いてあり、そこにはいろんな文字が書かれているではありませんか。


ひで「ひょっとして、すごろく?」
ほだ「そういえば、どこかで『すごろくけん』っていうの拾ったっけ」

 しかし規模が違います。お正月にやるすごろくなんてそんなに大きくないですからねぇ。


とも「あ、誰かいるぞ」

 ともきは、スタートと書かれたパネルの前にいる男に話しかけました。

*「ようこそ 旅人のすごろく場に!
  すごろく1回につき
  すごろく券 1枚です。
  おやりに なりますか?


まさ「おい、誰が行く?」
ひで「あっ、僕やりたい」
とも「いやいや、ここは俺の出番だろう」

 新しい物好きな一行、自分がやるいいや俺だと主張を初めましたが……


ほだ「いや、やはりここは私が行くべきでしょう」
まさ「なぜ?」
ほだ「回復魔法を使えるのは俺だけさ。途中で何が起こるか判らないじゃないか」
ひで「うむむむむむむ……」
ほだ「ま、そういうわけだから」


 やっぱり主人公がおいしい所を持って行くべきですよね(笑)。まだ不満そうな一同を無視して、道具袋からすごろく券を取り出すほだか。

ほだ「はいはい、僕が行きま〜す」


 さぁ、すごろくが始まりましたよ……ところが、宝箱とか壺にはまるで止まらずにゴール手前まで来てしまいました……途中にはお金が貰える場所もあったのに……


ほだ「よいしょっ、と……5か。1、2、3、4、5っと。うわああ!」

まさ「何やってんだよ、もったいない!」
ほだ「うるさいなぁ、しょうがないだろ?」


 あーあ、お金ばらまいちゃいました(笑)。

ひで「せっかく貯めたお金が……」
ほだ「まぁまぁ、あと3が出ればゴールだぜ?」
とも「そう簡単に行くとはど〜しても思えないんだけどね」

 外野の騒ぎを無視して、ほだかはサイコロを投げます。


ほだ「なにがでるかなっ、なにがでるかなっ、ちゃちゃちゃちゃんちゃんちゃちゃちゃちゃん!……6!略して、6!」
ひで「何言ってんだか」
ほだ「さて、と……1、2、3……えっ、戻るの?仕方ないなぁ……4、5、6……って、オイ!」

まさ「馬鹿!」
ひで「こりゃブーイングものだね」



 また落としました(笑)。

ほだ「い、いいじゃんか!5出してたら落とし穴だぞ?」

 そう言われれば確かにそうなんですが。とにかく、合計で100ゴールドの損失です。


ほだ「要は次で3を出せばいい話だろ?……ほれみろ、3が出た」

 なんかちょっとインチキ臭い投げ方でしたが、とにかく3!


ほだ「おっしゃ、ゴールインだぜ!」

ほだ「ば、馬鹿!こんな至近距離で花火を……あちちっ!」
ひで「花火ならまだマシだよ」



 ゴールの扉の向こうには、宝箱が二つ。「はがねのつるぎ」と「500ゴールド」をゲット!


ほだ「こりゃ当然俺が装備で決定だな」
ひで「ずるいよ、じゃんけんで決めようよ」
ほだ「よし。出したら負けよ、じゃんけんぽん!」
ひで「あっ……」
ほだ「出したな(ニヤリ)?」

 普通は「出さなきゃ負けよ」ですよねぇ。なんだかずるっこな感じです。性格判断が間違っていたのでしょうかねぇ?


まさ「……しかし腹減ったなぁ。ここ、食堂ないんだもの」
とも「結局問題は何も解決してないのか」
ひで「……行こうか」


 そういうわけで(どんなわけだ)、夜もとっぷりと更けた山道をさみしく北上する勇者たちでしたとさ。


ほだ「うー寒い。まだかなぁ……」
とも「腹減った……」




 さて、単なる寄り道に一話を費やしてしまいましたが……いいんでしょうかね、こんなんで。とにかく、しらけずにお付き合いください。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 新しい出会い……突然現れた少女は果たして敵か味方か?その拳の、あまりの強さに疑念を抱き始める勇者。そう、彼女こそは遙か過去より勇者たちの元に送られた最強の味方であると同時に、魔王が送り込んだ最凶の刺客だったのだ!


まさ「……こうか?」
少女「もう少し突きを早く。突いたら、勢いを殺さずに蹴りに転ずるの。同時に腕は防御に入る」
まさ「なるほどね……」


少女「来ちゃいけない!私をこのまま死なせて!」
ほだ「いったいどうしたって言うんだ?……戻れ、危ない!」
ひで「そっちは崖だ!行っちゃ駄目だ!」
少女「キャアアアア!!」


少女「あなたには……本当のことを教えておくわ。私の正体はね……」
とも「そんな!それじゃ、あなたは……」
少女「そう、私のこの命は仮の命。この命の間で、彼に全てを伝えたいの」
とも「……判った。今は剣を収めよう。しかし……」
少女「ええ、もしそうなったら……遠慮せずに、殺して……」


 感慨すら許さない、魔王バラモスの卑劣な罠。骸を抱き、武闘家は打倒バラモスをもう一度誓う。それは、利用されることを甘んじて受けた美しい魂への誓いでもあった。
 夕日の丘で唇を噛み締めて痛恨の呻きを漏らす友に、勇者はかける慰めの言葉が見つからずただ涙する。その想いが、明日への糧になってくれると信じて……



 次回、ドラゴンクエストIII「過去との決別」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







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